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西洋美術史 年表 
コラム


道化
道化師の歴史は、5世紀エジプト王朝にまでさかのぼる。ローマ帝国においても、お金持ちは道化を雇って、祝宴の席などで余興をやらせていた。その他フランス・イギリスにおいても、王家や貴族は道化師をかかえていた。
道化師とは大きく分けて3種類ある。一つは身心障害者あるいは精神薄弱者を道化として雇う。あるいは小人である。そして、障害の無い人間が道化師として働く場合である。
中世以前のヨーロッパでは、障害児は「悪意の無い人」で「純粋で無邪気な心から出てくる無意識の知恵」というのが自然から与えられたものであって、ある意味、敬愛の対象であった。村の人々や宮廷人がそれぞれ面倒を見ていた。もちろんスケープゴートとしての役割が彼らにあったことは否定できない。
1400年代になると、障害者は伝染すると言われ,忌み嫌われた。これは宗教者が、障害は罪である、と言ったからである。障害者にとって、苦難の始まりである。
およそ宗教者たちが人々の気持ちを傷つけずにいることなど、現代社会においてもない。日本においても、障害児は徳が無いのだ、などと平気で言う宗教家は多い。
しかし、王族や貴族は、相変わらず道化を雇った。障害者は社会で自立できない可哀想な者たち、という考えがあった。王族や貴族が彼らを雇うのは義務であると考えられていたからである。ある意味ステイタス・シンボルでもあった。

道化の役割
障害の無い人間が道化になるのは、愚か者のふりをすることで、なんのお咎めなしに、自由にものが言えることにある。
古代の王は絶対であった。影があってはならなかった。道化は王の影の部分を引き受けるスケープゴートであった。
日本人がよく言うタテマエとホンネというのがある。王はその絶対性ゆえに、タテマエを生きなければならない。しかし、そのままでは溢れ出てくる自身の中にある影(ホンネ)を抑えきれなくなる。そこで道化が必要となる。
王はタテマエを通しつつ、自己のバランスを取るために、道化にホンネを語らせるのである。道化とはタテマエ(外部)とホンネ(内部)の二つの世界に通じるものである。しばしば道化の衣装が白と黒、白と赤などのまだらの衣装であることは興味深い。
道化の危険性もある。道化の一言が王を愚者に貶め、愚者である道化を王に祭り上げることもある。英雄である。道化のアクロバットやとんぼ返りは、規範の破壊を意味している。
古い規範を破り、新しいものを人々が求めるとき、英雄は誕生する。しかし、英雄は戴冠の瞬間から英雄性をうしなう。
日本の豊臣秀吉がそうである。秀吉は道化から始まり、英雄、新王そして硬直した老王の悲劇と、一人で全てを演じきった。秀吉の人気はここにある。秀吉が新王となったとき、曾呂利新左衛門(そろりしんざえもん)という道化を持つ。
    
キリストも道化として見ることができる。旅芸人のように放浪し、規範に縛られた人々に、非日常を垣間見させる。最後は茨の冠をかぶせられ、嘲笑され十字架に処される。
しかし、復活するのである。キリスト教として、制度が確立される。キリストは王に祭り上げられるのである。王としてのキリストは、もう救済者ではない。君臨するのである。カソリックは制度のなかに埋没してしまうのである。
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ベラスケスは17世紀の宮廷画家であるが、宮廷に雇用されている小人を多く描いている。
The Dwarf Francisco Lezcano, Called "El Nino de Vallecas"
c. 1642-45
Oil on canvas
42 1/8 x 32 5/8 in. (107 x 83 cm.)
Museo del Prado, Madrid
No. 1204

ハルスも17世紀の画家である。大変に楽しそうな道化を描いている。なおそれぞれの絵については、それぞれの画家の章で説明している。
Jester with a Lute
Oil on wood
28 x 24 1/2 in. (71 x 62 cm)
Musee du Louvre, Paris


ヴァトー
Mezzetin
Oil on canvas
55.3 x 43.2 cm
Metropolitan Museum of Art, New York
Pierrot
Oil on canvas
73 x 59" (185 x 150 cm)
Musee du Louvre, Paris

ジェロ−ム
Duel after a Masked Ball
detail, 1857

Oil on canvas; The Hermitage, St. Petersburg

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