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西洋美術史 年表 
ピーテル・ブリューゲル
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Pieter Brueghel the Elder (1525-1569)
フランドル  北方ルネサンス

デューラーと並び北方ルネサンスを実現し、近代絵画の原点を創ったのが、ブリューゲルである。「農民画家」と呼ばれた。現在のベルギー、リンブルク州に生まれたと推定される。
「農民」という異名は、ブリューゲルには似つかわしくない。彼は見識豊かな教養人であった。
フランス、イタリアへ旅したにもかかわらず、古典的な理想の姿を追求する、イタリア的なところは少しもない。彼の作品にはボッシュの空想力、パティニールの敬虔で大きな風景の影響が強く現れ、北方の伝統が色濃い。

東方三博士の礼拝
1556-62  122 x 168 cm  ブリュッセル王立美術館

種まく人の譬えのある風景
1557  70 x 102 cm   ティムケン・アート・ギャラリー 、サン・ディエゴ

イカロスの墜落のある風景
1558 Oil on canvas, mounted on wood  73.5 x 112 cm  ブリュッセル王立美術館
神話を扱った唯一の絵画。

オヴィディウスの『転身物語』より

物語の情景は
魚をとっている漁師、杖に寄りかかっている羊飼い、鋤で耕している農夫。

左手奥にはユノーの島サモス、右手奥にはラビントスと蜜の豊かなカリュムネ。

右側、船と釣り人の間に足をばたつかせているのが、落ちたイカロス。

おおいなる無関心が画面を覆っている。

イカロスの叫び声を聞いたような気がして上を向いているのは羊飼い。しかしぼーっと上空を仰ぎ見ているだけで、何をしようともしない。

馬に鋤を引かせ畑を作っている農夫も、何事もなかったように黙々と働いているだけ。

釣り人にしても然り。目の前にイカロスが足をバタバタさせているのに、まったくどうでもいい。

ヒトゴトなのである。とても想像力のある人間の世界とは思えない。


12のネーデルラントの諺
1558  75 x 98 cm  マイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美術館、アントウェルペン

ネーデルランドの諺
1559 Oil on oak panel  117 x 163 cm  ベルリン国立絵画館
左下方:

柱に噛みつく男:偽善者

悪魔を枕に縛りつける女:不明

片手に水、片手に火を運ぶ女:二重人格

鰊の卵(数の子)のために鰊を焼いている:あまり報いのないことに一生懸命になる

二つの椅子の間の灰の中に座る:チャンスを逸する

左側:猫の首に鈴をつける:危険な計画に乗り出す

右側:大きな魚は小さな魚を食う:弱肉強食


謝肉祭と四旬節の喧嘩
1559 Oil on oak panel 118 x 164.5 cm  ウィーン美術史美術館

子供の遊戯
1560 Oil on oak panel  118 x 161 cm  ウィーン美術史美術館
  
      
      
      
      
  

気狂いフリート
1562 Oil on panel 117.4 x 162 cm  マイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美術館 アントウェルペン
(諸説あり)

妖怪、悪魔、廃墟、大火災など地獄の様相である。

その中を大きな女「気狂いフリート」が、力強く左へと闊歩していく。周囲の地獄図など関係ない。


彼女は地獄そのものより、なお悪である。なぜなら地獄からの略奪物をたくさん抱えていて、さらにまだ略奪する物はないかと探し歩いている様子である。

彼女には、悪魔でさえも害を与えられない。悪魔たちは単なる小さい生物のようである。

悪魔さえも手だしをしない「ガミガミ女」が気狂いフリートである。

キリスト教の7つの大罪の「食欲」の擬人化でもある。「食欲」の他、他の大罪もこの絵の中にあるそうだ。

      

死の勝利
1562 Oil on panel  117 x 162 cm  プラド美術館 マドリード
ブリューゲルにとって死は、人生のはかなさの帰結ではなく、罪の帰結である。

死神たちは運動能力に優れ身軽な骸骨。

左端、下方にいるのは皇帝と枢機卿。間にあるのが金貨の入った樽。ブリューゲルが描いた皇帝の枢機卿の罪は「守銭奴」である。

        
  

二匹の猿
1562  20 x 23 cm  ダーレム美術館 ベルリン
猿が土牢の中にいるような雰囲気。
鎖で繋ぎ止められている。

背景はアントウェルペンの港と街。

ネーデルランドの諺で「はしばみの実のために裁判所へ行く」というのがある。

右側下方にはしばみの実の殻が置かれている。

猿たちは、はしばみの実のために自由を放棄してしまったのだ。欲望によって罠にかけられたのである。

もちろん猿たちは、ここでは人間を表している。

物質的な利益のために、自分の自由と真の幸福を売りわたす、という人間の愚行を批評している。


反逆天使の墜落
1562  117 x 162 cm  ブリュッセル王立美術館
ブリューゲルが早い時期から「第二のボッス」と言われた所以になる絵。

中央の、痩せすぎの大天使ミカエルが、ヨハネ黙示録に記された悪竜を下方に叩きつけている。

ミカエルの左右には、白い法衣の助勢者。ラッパで勝利を吹奏している天使たち。

ミカエルの下方には怪しい美しさを放つ蝶がいて、罪の魅惑を表現している。

上方には日輪が広がっている。
  

サウルの自害
1562  34 x 55 cm   ウィーン美術史美術館
サムエル記9−31

ペリシテ軍の軍勢が、ギルボア山でイスラエルの軍を打ち破りつつある場面。

サウルの3人の息子もすでに殺された。

右下方は、勝ち誇るペリシテ人の軍勢と闘争逃走するイスラエル人。
左側、山の台座に頭に王冠を付け、甲冑姿で倒れているのはサウル。

敵側に捕らわれる危険から逃れるため、剣の上に倒れて自害したところ。

横の従者もサウルに従おうとしているところ。
中間の断崖の上では、虐殺が行われている。

その上部には、背景として町を捨てて逃げる人々が描かれている。



ダンテが神曲・地獄篇で、サウルの死は「傲慢の罪」としたが、ブリューゲルも同じ考えであった可能性はある。
    

バベルの塔         主題解説:聖書の物語へ行く
1563 Oil on oak panel 114 x 155 cm   ウィーン美術史美術館

主題解説:バベルの塔  創世記11

ノアの洪水の後、人間はみな、同じ言葉を話していた。

人間は石の代わりにレンガをつくり、漆喰の代わりにアスファルトを手に入れた。こうした技術の進歩は人間を傲慢にしていった。天まで届く塔のある町を建てて、有名になろうとしたのである。

神は、人間の高慢な企てを知り、心配し、怒った。そして人間の言葉を混乱(バラル)させた。

今日、世界中に多様な言葉が存在するのは、バベル(混乱)の塔を建てようとした人間の傲慢を、神が裁いた結果なのである。

『バベルの塔』は恐ろしいほど複雑である。高慢な権威に縛られた人間を、小さく描き、巨大な建造物の中で働く者たちを、まるで、アリのように、小さく小さく描いている。

これがバベルの塔である。我々の狭い見識の現れである。哀れで、うぬぼれた人間である。

ブリューゲルは、高い教養を持ち、知的に洗練された画家である。神話や伝統への洞察力は学者並みである。

彼の『バベルの塔』は、単なる、聖書の物語のイラストではない。

ブリューゲルは決して、表面的な浅い絵を描かない。いつも深いものを描いた。ギリシャ神話の『イカルスの堕落』だろうと、聖書の『バベルの塔』だろうと、深く、意味を掘りさげて描いた。
      
      

バベルの塔       主題解説:聖書の物語へ行く
1563  Oil on panel  60 x 74.5 cm  ポイマンス=ファン・ブニンヘン美術館  ロッテルダム

エジプトへの逃避途上の風景
1563   37 x 56 cm   コートールド美術研究所  ロンドン

東方三博士の礼拝        主題解説:聖書の物語へ行く
1564 Oil on canvas 111 x 83.5 cm   ロンドン・ナショナル・ギャラリー


月暦画シリーズ  1565
1.暗い日(2月)  月暦画シリーズ  1565   118 x 163 cm  ウィーン美術史美術館  
2.干し草の収穫(7月)     月暦画シリーズ  1565   117 x 161 cm  プラハ美術館
3.穀物の収穫(8月)   月暦画シリーズ 1565  118.1 x 160.7 cm  メトロポリタン美術館
4.牛群の帰り(11月)   月暦画シリーズ 1565  117 x 159 cm  ウィーン美術史美術館
5.雪中の狩人(1月)  月暦画シリーズ 1565  117 x 162 cm  ウィーン美術史美術館

鳥わなのある冬景色
1565 Oil   38 x 56 cm  デルポルト・コレクション  ブリュッセル

鳥わなは、「わなに落ちる」「欺かれる」の意味をもち、寓意画ともなっている。
  

画家と買い手
1565 Pen and black ink on brown paper 25 x 21.6 cm  Albertina, Vienna

キリストと姦淫の女
1565  24 x 34 cm  コートールド美術研究所  、ロンドン

雪中の東方三博士の礼拝
1567  35 x 55 cm  オスカー・ラインハルト・コレクション 、ヴィンタートゥール

聖パウロの回心
1567  108 x 156 cm   ウィーン美術史美術館
    

農民の踊り
1568 Oil on oak panel  114 x 164 cm  ウィーン美術史美術館

農民の婚姻
1568 Oil on wood 114 x 164 cm  ウィーン美術史美術館



ブリューゲルの「農民画家」という異名は、農民を多く描いた点にある。それらの作品は風刺的だと言う人もいれば、哀れみ、愛情深いとする人もいる。

『農民の婚礼』で、粗野でまのぬけた客たちが取り囲んでいるのは、丸々として愚かそうな顔の花嫁である。紙で作った王冠の天蓋の下で酒を飲んで赤い顔をしている。

痛ましい姿である。貧しい家庭に育った娘。彼女の長い人生の内の、たった数時間の栄光である。

客たちは粗末な小屋で、粗末な食器でふるまわれるポリッジ(かゆ)か、カスタードをがつがつ食べている。貧しい者たち、しいたげられた者たちの哀れな祝杯。

子供が、空になった皿を、おいしそうになめつくしている。

楽器の演奏者たちは、食事を受け取るまで演奏しなくてはならない。本当にお腹が空いているのである。じっと運ばれてくる食べ物を見つめている。

無神経にこの絵を眺めていると、農民のこっけいな姿の絵にしか見えない。まるで道徳のテストのようでもある。しかし、見落としてはいけない

単に堕落した労働者階級をユーモアを持って描いたのではない。ブリューゲルの深さを理解しなくては、我々自身がダメになってしまうような、厳しい絵なのである。

乞食たち
1568  Oil on wood, 18 x 21 cm  ルーヴル美術館
カーニバルに出かけようとする乞食たちを描いている。解釈に関しては諸説あり、定まっていない。

支配者の腐敗への告発という説もあれば、この5人の乞食はそれぞれ、王、僧侶、兵士、ブルジョワ、農民を象徴しているという説もある。衣服に付いているキツネのしっぽは、「乞食党」という、当時、スペインの圧制に反抗した集団の象徴だという説などある。

盲人のたとえ
1568 Tempera on canvas, 86 x 154 cm   ナポリ、国立カポディモンテ美術
新約聖書、マタイ伝から主題をとっている。

「もし盲人が盲人を手引きするなら、二人とも穴に落ちこむであろう」というものである。

背景にある教会は救済を意味する。盲人たちは、教会に背を向けて歩いている。

絞首台の上のカササギ
1568  46 x 51 cm   ヘッセン州立美術館  ダルムシュタット
   




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