B. ISLAMIC ART AND ARCHITECTURE

B イスラームの 美術と建築

神谷武夫

George Michell
"Architecture of the Islamic World"

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ISLAM, Art and Architecture * : Markus Hattstein and Peter Delius (eds.) : 2000, Konemann, Koln, 32 x 27cm-640pp. 5,400yen.
広大なイスラーム世界の美術と建築を、歴史と地理区分をたくみに組み合わせた章立ての中に、O・グラバールをはじめとする世界のイスラーム美術・建築史家 20人が分担執筆した大著。 膨大な内容が大型本に密度濃くレイアウトされ、約 1,000点のカラー図版が美術書のように配される。 オリジナルは独語だが、同年に英訳版が同じ版元から出版され、版を重ねている。 これほどの豪華本が、どうして このような価格で出版されうるのだろうか?

ISLAM AND MUSLIM ART * : Alexandre Papadopoulo, 1979, Harry N. Abrams, New York, 32cm-630pp. antique 14,700yen.
分厚い「世界の美術」シリーズの 1冊で、1976年の仏語版より ROBERT ERICH WOLF による英訳。 パパドプロによるイスラーム美術論に豊富な大型図版をあわせるが、PRINCIPLE SITES は地理の広大さに比して分量が少なすぎる。

MANUEL D’ART MUSULMAN, Vol. 1 Architecture : H. Saladin, Vol. 2 Les Arts Plastiques et Industriels : G. Migeon, 1907, Auguste Picard Editeur, Paris, 2vols. 23.5cm-620pp. + 560pp. 1 set 20,000yen.
フランス語で書かれた、最も初期のイスラーム美術と建築の概説書。 上巻が建築を扱い、下巻が絵画と工芸を扱う。 上巻の内容は、総論に、アラブ、マグリブ、ペルシア、トルコ、インドの順。 図版はほとんどが写真で、手書きスケッチと図面を加える(すべて写真製版)。

MANUEL D’ART MUSULMAN, L’Architecture, Tunisie, Algerie, Maroc, Espagne, Sicile : Georges Marcais, , 1926, 1927, Editions Auguste Picard, Paris, 2vols. Soft cover 23cm-980pp. 1 set 12,000yen.
前掲書の20年後に、同書店から同書名の 2巻本として出版され、多少の写真図版を受けついでいるが、内容はまったく別物で、マグリブとスペインの建築のみを扱う。 上巻は 9世紀から 12世紀、下巻は 13、14世紀に宛てる。 図版は写真よりも ディテールの手書きスケッチが多い。 本文仏文。

ISLAMIC ART AND ARCHITECTURE 650 -1250* [Pelican History of Art] : Richarad Et-tinghausen, Oleg Grabar and Marilyn Jenkins-Madina, 1940, 2nd ed. 2001, Yale Univer-sity Press, New Haven and London, paper 28.5cm-350pp. 4,100yen.
ペリカン美術史シリーズのイスラーム編・上巻で、イスラームの誕生からモンゴル遠征以前の時代を扱う。約500点の図版の多くがカラー。

THE ART AND ARCHITECTURE OF ISLAM 1250 -1800* [Pelican History of Art] : Sheil S. Blair and Jonathan M. Bloom, 1994, Yale University Press, New Haven and London, paper 28.5cm-350pp. 4,100yen.
ペリカン美術史シリーズのイスラーム編・下巻で、モンゴル遠征以降の時代を扱う。ブルーム、ブレア夫妻が執筆、400点の図版の多くがカラー。

イスラーム美術[大系世界の美術 8.] : 深井晋司編, 1972, 学習研究社, 34cm-370pp. 9,500yen.
・ 総説、第1章 建築、第2章 絵画、書、装丁、アラベスク、 第3章 工芸、資料からなる、大型の美術全集の1冊。

イスラーム[世界美術大全集・東洋編 17.]: 杉村棟編, 1999, 小学館, 37cm-470pp. 20,000yen.
・ 大型の豪華美術全集のイスラーム編だが、建築よりも工芸や装飾美術を主としている。

イスラーム美術[岩波 世界の美術]: ジョナサン・ブルーム+ シーラ・ブレア, 枡屋友子訳, 2001, 岩波書店, soft cover 22cm-450pp. 4,400yen.
・ イスラームの発生、地域文化と地方権力、大帝国時代 の3章に分けて概説する。ヨーロッパ美術中心のシリーズなので、それ以外の地域は 内容が薄い。

イスラーム建築(その魅力と特質): 神谷武夫, 彰国社, 20 x 20cm-210pp. 予価 3,500yen. (covoer photo)
・イスラーム建築の原理と特質を、すべての記述に実証的な写真を添えながら解明するコンパクトな書。 2007年初めに出版予定だったが、出版社がマフィアの圧力に屈して、出版契約も無視して出版拒否をしている。
2014年に、やむをえず 著者が「私家版」として、ハードカバー100部を出版した。

イスラムの建築文化 : アンリ・スチールラン、神谷武夫訳, 1987, 原書房, 28cm-290pp. 22,000yen. (普及版 1990, 9,800yen.) (sample page)
・ イスラーム世界全体の建築文化を、豊富なカラー写真と図面を用いながら明らかにする 美麗な作りの本。 イスラーム建築全体の歴史と地域的特性を知るには 最も優れた書。 アンリ・スチールランはスイス人で、原著は仏語。

Stierlin

ISLAMIC ART AND ARCHITECTURE, from Isfahan to the Taj Mahal : Henri Stierlin, 2002, Thames & Hudson, London, 36cm-320pp. 5,100yen.
アンリ・スチールランが その後イスラームの美術と建築について書いたものを集め、500点以上の図版を加えた オールカラーの豪華大型写真集。 今回は東方のイスラーム(ペルシャ圏とインド)のみを扱う。

ORIENTAL TREASURES IN THE MEDITERRANEAN, from Damascus to Granada : Henri Stierlin, 2005, Thames & Hudson, London, 36cm-300pp. 4,900yen.
前掲書の後編で、西方のイスラーム(トルコからスペイン)を扱う豪華大型写真集。

イスラム建築 [図説世界建築史 6.] : ジョン・D・ホーグ, 山田幸正訳, 2001, 本の友社, 26cm-300pp. 12,000yen.
・ ネルヴィ監修の 世界建築史シリーズの 1冊。 たくさんの建築作品をとりあげ、その個々の作品を順次記述していくことによって イスラーム建築全体の流れとするところに特徴がある。

ISLAMIC ART AND SPIRITUALITY : Seyyed Hossein Nasr, 1997, Suhail Academy La-hore, Pakistan, 23cm-220pp. 1,800yen.
精神的な内容に焦点をあわせて建築、書道、文学、音楽、美術を論じたイスラーム文化論。

L’ARCHITECTURE SACREÉ DE L’ISLAM : Yves Korbendau, 1997, ACR Edition, Paris, 28 x 26cm-480pp. 15,200yen.
イスラーム世界全体の建築を紹介する オール・カラーの写真集で、アルファベット順に国を配列し 簡略な説明をつける。 広大な地域を 1人の写真家が撮影した労作だが、質は最上とは言えない。 テキスト仏文。

ARCHITECTURE BEYOND ARCHITECTURE, Creativity and Social Transformations in Islamic Cultures : Cynthia C. Davidson (ed.), 1995, Academy Editions, London, 29cm-176pp. 3,700yen.
1995年のアーガー・カーン建築賞の受賞作品12点をカラー写真をいれてヴィジュアルに紹介するとともに、現代のイスラーム建築が抱える問題点を編者たちが論じる。

ISLAM+ARCHITECTURE : Sabiha Foster (ed.), 2004, Architectural Design vol.74, John Wiley & Sons, London, paperback 29cm-130pp. 5,100yen.
現代建築の種々の観点から イスラーム建築の歴史と現在を見直す『アーキテクチュラル・デザイン』誌の特集号。

世界のイスラーム建築 : 深見奈緒子, 2005, 講談社・現代新書, 17cm-285pp. 740yen.
・ 世界各地の代表的なイスラーム建築作品をとりあげて、その歴史的背景を解説する。

イスラーム建築の見かた (聖なる意匠の歴史) : 深見奈緒子, 2003, 東京堂出版, 22cm-190pp, 2,500yen.
・ 教祖と建築、イスラームの広がり、ドーム、ミナレット、ミフラーブ、ムカルナス、幾何学性、イスラームの美、の8章で概説する。

LA CIVILISATION DES ARABES : Gustave le Bon, 1884, New ed. 1969, reprint 1996, Editions de la Fontaine au Roy, Paris, 27cm-490pp. 4,500yen.
ギュスターヴ・ル・ボンが社会心理学者として高名になる以前の考古学時代に書いたアラブ文明の概説書。 10点のカラー・リトグラフのほかに多量のエッチング図版を挿入。 ”La Civilisation de l’Inde” のインド文明と対をなす。 本文仏文。

DISCOVER ISLAMIC ART in the Mediteranean [A Book by Museum with no Frontiers]: Eva Schuberst et alt., 2007, Museum with no Frontiers, 29cm-272pp. 1,200yen.
地中海地方のイスラーム建築と美術を豊富なカラー写真とともに紹介する概説書。 "INTERNATIONAL MUSEUM WITH NO FRONTIERS EXHIBITION CYCLES"の 1冊だが、ハードカバーの大型本。

CAPITAL CITIES OF ARAB ISLAM : Philip K. Hitti, 1973, University of Minnesota Press, 2305cm-180pp. antique 2,200yen.
イスラーム圏の6つの都市 メッカ、メディナ、ダマスクス、バグダード、カイロ、コルドバを一般向けに概説する。

イスラーム都市 (アラブのまちづくりの原理)* : ベシーム・S・ハキーム, 佐藤次高監訳, 1990, 第三書館, 26cm-240pp. 5,250yen.
・ アラブ・イスラーム世界の都市の歴史的分析と 現代都市への応用について、歴史家ではなく 建築家 / プランナーによって 1988年に書かれた書。

URBAN FORM IN THE ARAB WORLD, Past and Present [ORL-Schriften 46.] : Stefano Bianca, 2000, Institut fur Orts-, Regional- und Landesplanung, ETH Zurich, papaerback 24cm-350pp. 5,400yen.
アラブ圏のイスラーム都市について、スイスの建築家で歴史家のステファーノ・ビアンコが 歴史的都市の分析と現代への適応を、具体的計画提案に基づきながらスタディする。モノクロ図版多数。

イスラーム世界の都市空間 : 陣内秀信・新井勇治編, 2002, 法政大学出版局, 22cm-580pp. 7,980yen.
・ 法政大学の陣内研究室を中心にした、イスラーム世界各地の都市のフィールド調査と論考集。

UNDERSTANDING ISLAMIC ARCHITECTURE : Attilio Petruccioli and Khalil K. Pirani (eds.), 2002, Routledge Curzon, paperback 28cm-150pp. 5,800yen.
アカデミックな学者よりも現実に設計をしている多数の建築家を巻き込んで イスラーム建築を論ずる書。 信仰との関わり、建築史との関わり、現代の潮流の 3章から成り、17人の論にそれぞれ論評の やりとりをつける。

ARCHITECTURE OF THE ISLAMIC WORLD, Its History and Social Meaning : George Michell (ed.), 1978, Thames and Hudson, London, A4-290pp. import 8,400yen. Paperback ed. 1995, 4,300yen. (sample page)
イスラーム建築を歴史的にではなく、さまざまな現象面から7人の学者が考察する 優れた概説書。 豊富な写真とそのキャプションが理解を助け、巻末には世界のイスラーム建築案内を載せる。

ISLAMIC ARCHITECTURE, Form, Function and Meaning * : Robert Hillenbrand, 1994, Edinburgh University Press, Edinburgh, B5-700pp. import 12,000yen.
イスラーム建築を歴史的にではなく 建物種別によって探求した浩瀚な書。 230葉の図面と 300枚のモノクロ写真を挿入しているが インドは扱われていない。

FORMAL STRUCTURE IN ISLAMIC ARCHITECTURE OF IRAN AND TURKISTAN : Klaus Herdeg, 1990, Rizzoli, New York, 33.5cm-70pp. antique 3,300yen.
イスラーム圏から イスファハーンを主とするイランの5都市、そしてウズベキスタンの3都市を選び、そのイスラーム建築や地区を図面化してその構造を分析する。 C-5のインド編の姉妹編。

ISLAMIC SACRED ARCHITECTURE, A Stylistic History : José Pereira, 1994, Books & Books, New Delhi, A4-390pp. import 15,600yen.
C-32 の著者がイスラーム諸国の宗教建築を集大成して 歴史順に論じた書。 わずかな写真を除いてすべて図面で通しているので 図面集の役割も果たす。

TRADITIONAL ISLAMIC PRINCIPLES OF BUILT ENVIRONMENT : Hisham Mortada, 2003, Routledge Curzon, London, 24cm-210pp. 11,000yen.
イスラーム世界における近代的な都市建設に 伝統的なシャリーア(イスラーム法)に基づく原理を盛り込んで サステイナブルな都市をつくるべきことを、サウジアラビアのヒシャームが 豊富な実例を援用しながら論じる。

PATTERNS OF STYLISTIC CHANGES IN ISLAMIC ARCHITECTURE, Local Traditions versus Migrating Artists [Hagop Kevorkian Series on Near Eastern Art and Civilization] : Michael Meinecke, 1996, New York University Press, 27cm-180pp. 3,600yen.
1995年に没したミヒャエル・マイネッケの遺稿集。「ラッカ」、「ボスラ」、「ハサンケイフ」、「オスマン様式の形成」の 4論文を収め、モノクロ写真 36ページを付す。

TRADITIONAL DOMESTIC ARCHITECTURE OF THE ARAB REGION : Friedrich Ragette, 2006, Edition Axel Menges, Stutgart and London, 31cm-295pp. 8,000yen.
アラブ圏の住宅建築を広くサーヴェイして記録する後半と、気候風土から説き起こして構法、機能装置、設備、プランニングまですべてを説明しつくそうとする前半とを、写真を用いず、手描きのスケッチと図面を大量に添えて描ききった意欲的な書。

Traditional Domestic Architecture

MIMAR HOUSES [A Mimar Collection] : 1987, Concept Media, Singapore, paperback 30cm-190pp.
第三世界の建築雑誌『ミマル』に掲載された住宅作品を 20点再録した本。 イスラーム圏に限らないが、オールカラーの写真と図面が豊富。

A SHORT ACCOUNT OF EARLY MUSLIM ARCHITECTURE : Keppel Archibald Cameron Creswell, Revised and Supplemented ed. by James W. Allan 1989, Scolar Press, Berkeley, 26cm-460pp. import 16,150yen.
初期イスラーム建築を研究した クレスウェル(1879-1974)の不朽の名著。イスラーム建築関係の書物の中で、おそらく引用された回数の最も多い本。 最初は 1932~40年に2巻本で、第1巻が UMAYYADS, A.D. 622~750 : WITH A CONTRIBUTION ON THE MOSAICS OF THE DOME OF THE GREAT MOSQUE AT DAMASCUS/ BY MARGUERITE VAN BERCHEM、第2巻が EARLY ABBASIDS, UMAYYADS OF CORDOVA, AGHLABIDS, TULUNIDS, AND SAMANIDS, A.D. 751~905/ WITH CONTRIBUTIONS BY FELIX HERNANDEZ, GEORGES MARCAIS, 'ABD AL-FATTAH HILMI AND HASAN 'ABD AL-WAHHAB のタイトルで CLARENDON PRESS, OXFORD から 46cm の大型本で出版された。 1969年には第1巻が増補改訂されて2分冊となり 38cm の大きさで同出版社から刊行された。 全巻を要約した1巻本は 1958年にペンギン・ブックスで出版され、クレスウェル死後の 1986年にジェイムズ・アランによって増補改訂されたのが本書。 第1部でウマイヤ朝時代、第2部でアッバース朝時代を扱い、随所に図面とモノクロ写真を挿入している。

A Short Account

THE FORMATION OF ISLAMIC ART * : Oleg Grabar, 1973, Yale University Press, New Haven and London, 26cm-330pp. Antique 2,400yen.
イスラーム初期の数世紀の間に、いかにしてイスラーム美術と建築が形成されていったかを叙述する。 巻末に 80ページのモノクロ図版。

EARLY ISLAMIC ART AND ARCHITECTURE [The Formation of the Classical Islamic World 23.] : Jonathan M. Bloom (ed.), 2002, Ashgateb Publishing, UK and USA, 25cm-450pp. 16,000yen.
イスラーム初期(AD 600-950)の美術と建築に関する 14人の学者の既存の論を集成したアンソロジー。

FOUR CALIPHATES, The Frmation and Development of the Islamic Tradition [A History of Architecture 6.] : Christopher Tadgell, 1998, Ellipsis, London, 10.5x10.5cm-260pp. 1,800yen.
世界建築史をめざすタジェルによるシリーズ第6巻、簡略な初期イスラーム建築史。 こんなに小さな本にしたのは、電車や飛行機の中で読ませるためだろうか。 カラー写真多数。

THE MOSQUE, History, Architectural Development and Regional Diversity : M. Frishman and H.U. Khan (eds.), 1994, Thames and Hudson, London, A4-290pp. import 9,000yen.
世界のモスク建築について 多数の執筆者が豊富な図版を添えながら概説する。 インド亜大陸の章は P. HASAN が担当する。

THE CONTEMPORARY MOSQUE, Architects, Clients and Designs since the 1950s* : Renata Holod and Hasan-Uddin Khan, 1997, Rizzoli, New York, 32cm-290pp. 6,700yen.
20世紀後半における世界の新しいモスク・デザインを オールカラーの写真と図面、解説で紹介する美術書。 章立ては地域別ではなく、建設主体の種類別による。 題名は異なるが、THE MOSQUE AND THE MODERN WORLD, 1997, Thames and Hudson は、全く同じ内容の本である。

モスクが語るイスラム史 (建築と政治権力) : 羽田正, 1994, 中公新書, 250pp. 780yen.
・ モスク建築の流れを追いながらイスラームの歴史を語っているが、インド亜大陸は含まれていない。

MINARET, Symbol of Islam* : Jonathan Bloom, 1989, Oxford University Press, Oxford, B5-220pp. antique 5,600yen.
ミナレットの、主として起源を探究する。 インドに関する記述は少ない。

-> G-27. THE MINARETS OF CAIRO : Doris Behrens-Abouseif, 1985
-> M-5. THE MANARA IN INDO-MUSLIM ARCHITECTURE : A.B.M. Husain, 1970

THE DOME, A Study in the History of Ideas : E. Baldwin Smith, 1971, Princeton Univ ersity Press, Paperback 28cm-235pp. antique 2,500yen.
主としてヨーロッパ建築における ドーム建設の歴史を 中東の木造ドームから説き起こして論じ、構造というよりは シンボリックな意味を探る。 巻末にスケッチ図面 60ページ。

LE MIHRAB, Dans l’Architecture et la Religion : Alexandre Papadopoulo (ed.), 1988, E.J. Brill, Leiden, 28cm-270pp. 10,600yen.
アレクサンドル・パパドプロが主催して1980年にパリで行われた、ミフラーブに関する国際研究会の記録。20人の学者の論集であるが、基本的に、ミフラーブとは単にマッカの方向を指示するものでなく、ムハンマドの居場所を示すものだという パパドプロの学説を支持する内容。 本文仏文、72ページのモノクロ写真。

ORNAMENT

SPLENDORS OF ISLAM, Architecture, Decoration and Design : Dominique Clevenot, 2000, The Vendome Press, 33.5cm-225pp. 6,700yen.
イスラーム建築における装飾の方法、モチーフ、材料を探求したオール・カラーの豪華本。 見事な写真は GERARD DEGEORGE の撮影。

ISLAMIC ARCHITECTURE AND ITS DECORATION A.D. 800-1500 : Oleg Grabar, 1964, 25cm-380pp. antique 6,200yen.
DEREK HILL が撮影したペルシア圏のイスラーム建築の装飾を グラバールが整理して解説をつける。国別に 527枚のモノクロ写真を 284ページに収める。

THE SYSTEM OF GEOMETRIC DESIGN, Islamic Art and Architecture : Issam el-Said, 1993, Garnet Publishing, UK, 35cm-135pp. 4,200yen.
建築家でもあった著者はイスラームの幾何学的デザインの原理を探求していたが 1998年に 50才で急死した。その理論を作図した Tarek el-Bouri による 100以上の図版を編集して見事な幾何学ブックにしたのが本書。 3色刷りだが写真は用いてない。

ISLAMIC GEOMETRIC PATTERNS : Eric Broug, 2008, Thames & Hudson, Softcover 24.5cm-120pp + CD-ROM, 2,000yen.
イスラームの幾何学デザインの、段階的練習帳。 CDにそのパターンと写真などを収録する 新しい形の出版。

イスラム書道芸術大鑑(その歴史と全時代にわたる珠玉の名品):イスラム歴史・芸術・文化研究センター(トルコ)編・監修, 本田孝一訳・解説, 1996, 平凡社, 42cm-130pp+カラー図版190pp. 120,000yen.
・ トルコのイスタンブルで1990年に出版された豪華本の日本語版。ムスタファ・ウウル・デルマンの編集、ニハード・チェティンの序論、サーレフ・サウダーウィーのアラビア語翻訳、エクメレティン・イフサン・オウルの諸言。

ISLAMIC CALLIGRAPHY : Sheila S. Blair, 2006, Edinburgh University Press, paperback 2008, 24.5cm-720pp. 5,900yen.
アラビア語のカリグラフィーの歴史を、170点ものカラー図版を収録して解き明かした大部の書。 書物のカリグラフィーを主とする美術書であもあるが、建築装飾としてのカリグラフィーを理解するための基礎となる。

イスラームの美術工芸[世界史リブレット76.]: 真道洋子, 2004, 山川出版社, 21cm-90pp. 700yen.
・ ガラス工芸を主とするイスラームの工芸論。


DICTIONARY

DICTIONARY OF ISLAMIC ARCHITECTURE : Andrew Petersen, 1996, Routledge, London, B5-350pp. import 13,000yen.
個人の執筆によるイスラーム建築事典で、インドネシアからブラック・アフリカまでカバーする労作。 多数の地名や建物名が見出しとなっている。 図面や写真も添えられているが十分ではない。

THE GROVE ENCYCLOPEDIA OF ISLAMIC ART AND ARCHITECTURE : Jonathan M. Bloom & Sheila S. Blair (eds.), 2009, Oxford University Press, New York, 3vols. 26cm-540+570+530pp. 1set 18,100yen.
1996年に刊行された オクスフォード大学の「グローブ世界美術大事典」が 1997年にオンライン化され、随時増補改定されている。 その内 イスラーム関係の項を ジョナサン・ブルームとシェイラ・ブレア夫妻が編集して、3巻の紙の事典にした。 執筆者は世界 250人におよび、現在最も詳細な イスラーム美術・建築事典となっている。 ただ図版が少なく、たいした質でないカラー写真を 各巻 16ページの口絵とするくらいなら、すべてモノクロの図版を 全項目に付すべきだったろう。 今時、ヴィジュアルでない美術事典は 価値半減である。

JHAROKHA, An Illustrated Glossary of Indo-Muslim Architecture : R. Nath, 1986, The Historical Research Documentation Programme, Jaipur, B5-130pp. 1,800yen.
インドのイスラーム建築に関する用語辞典。 挿図の数は十分でなく、説明も概して短いが、単独の著者による労作。 ジャロカーというのは、透かし彫りの格子細工のある、石造の出窓のこと。


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