陰嚢水腫の罹患率は日本では・・%とまれではない男性の疾患です。致死性はありませんが、日常生活に多大な不満足性を与えます。
過去に、日本でもこの陰嚢水腫に対して、観血的手術ではなく、硬化療法剤を使用した排液・硬化療法剤注入療法がおこなわれ形跡があります。しかし、現在、陰嚢水腫の硬化療法剤を使用した、排液・硬化療法剤注入療法の提示は、インターネット上で検索した範囲では、日本では皆無でした。(ホームページにお知らせしないで実施している医療機関はあるかもしれませんが。)
陰嚢水腫の排液・硬化療法剤注入療法が日本でほとんど実施されていない理由を考えてみました。
第一、保険診療に、この治療法は記載がありません。あるのは手術療法だけです。K835 陰嚢水腫手術 1.交通性陰嚢水腫手術 3620点(36200円) 2.その他、2290点(22900円)。それゆえ、硬化療法は保険診療できず、自費診療になります。
第二、硬化療法に使用する薬で、陰嚢水腫の硬化療法に保険が適応できるものがありません。ただし、ピシバニールはリンパ管腫およびガマ腫に対して保険適応があり、実際に使用されています。(ピシバニールは欧米では販売されていないので、欧米では使用されていません。)このピシバニールは、筋肉内注射、皮下注射のみならず、胸腔内、腹腔内投与もできる安全な薬剤です。5KEで12337円の薬価です。
以上の2点の理由から、日本では泌尿器科での硬化療法の実践は廃れています。
しかし、今回、荒木常男が文献検索したところ、陰嚢水腫の排液・硬化療法はいくつかの硬化療法剤の使用実績において、適応患者に制限はありますが、手術と同程度の治療効果があり、数回繰り返すことでほぼ全員治癒し、感染、疼痛、血腫、、浮腫などの合併症が少なく、入院も必要ないという利点があることがわかりました。それで、今のところ、自費診療になりますが、薬剤注入後の痛みが少なく、日本でリンパ管腫やガマ腫への使用経験のある、ピシバニールの使用を特に推挙します。患者さまは担当医にここに提示した資料を見せて、実施を頼んでみてください。
診療報酬点数表(2020年)ではリンパ管腫へ適用は処置扱いで、J017-2リンパ管腫局所注入.1020点(10200円)、6歳未満加算55点となっています。