5.ピロリ菌感染が便の検査で確認された方は、胃内視鏡検査をうけましょう。(早期胃がんの有無とピロリ菌抗生剤感受性を調べます)

糞便ピロリ菌抗原陽性の方については、胃内視鏡検査の目的で協力病院の内視鏡科を、紹介します。挿入方法には経鼻挿入と経口挿入とがあります。ご希望と状態に応じて選択しています。所要時間は20分から30分です。この検査の目的は、早期胃がんの有無の確認と、抗生剤感受性検査の為のピロリ菌採取ですピロリ菌採取培養による抗生剤感受性の実施は当院の特徴でこの結果に従って、除菌抗生剤を選択しています。対象抗生剤は、クラリスロマイシン、ミノマイシン、アモキシシリン、メトロニダゾール、シタフロキサシンの5種です。抗生剤の感受性検査の結果は、胃内視鏡検査実施の日から約一か月後に当院に報告されます。それに報告されている5種それぞれのMIC(最少発育阻止濃度)に基づき、次の表1.の判定表を用いて、患者さんの状態も考慮して、使用薬剤を決定します。AMPC(アモキシシリン)については、臨床的に除菌可能な菌株の測定MIC(μg/ml)は、その血中濃度半減期が約1時間と極めて短いことなどから、最高血中濃度:Cmax(μg/ml)の値(4.5)では除菌不可で、経験的に表のように0.06以下の MICが必要です。内服終了後、6週間以上過ぎてから、再び糞便ピロリ菌抗原検査を行い、除菌されたことを確認します。
除菌が確認された方は、その後再感染することは、ほとんどありません。

1.ピロリ菌除菌薬感受性判定表

薬剤名略号 ・薬剤名 一回投与量mg

B.最高血中度:

Cmax(μg/ml)

C.血清蛋白結合率 B×C

最高血中濃度到達時間:

Tmax(hr)

血中濃度半減時間(hr) T 1/2

血中濃度下面積(μg・hr/ml):

AUC 0-24hr

尿中未変化体排泄率24時間後(%) 臨床的に除菌可能な菌株の測定MIC(μg/ml) Ca,Ma,Al,Feの併用 患者のピロリ菌のMIC
(μg/ml)
CAM ・クラリスロマイシン 200 0.47 0.3 0.14 1.78 3.18 2.9 * <=0.14 不可
MINO ・ミノマイシン 100 1.44 0.3 0.42 1.8 9.2 12.97 主に胆汁排泄 <=0.42 不可
AMPC ・アモキシシリン 750 5.68 0.8 4.5 4.2 1.15 27 * <=0.06 可能
AMPC 1000 10.05 0.8 8.04 1.67 1 29.04 * <=0.06 可能
MNZ ・メトロニダゾール 250 3.7 0.8 2.96 2 6 44 10〜20 <=2.96 可能
STFX ・シタフロキサシン 50 0.51 0.5 0.26 1.2 6.2 2.62 70 <=0.26 不可
STFX 100 1 0.5 0.5 1.2 5.7 5.55 70 <=0.5 不可