更年期を迎えられた方へ
若さを保つため10年以上のホルモン補充療法をしてみませんか?

1.女性の更年期は正常な生理的現象でしょうか?それとも内分泌障害でしょうか?
女性は50才前後で閉経しますが、それは卵巣が老化して卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が無くなるからです。エストロゲンが欠乏し始めるとまず、のぼせ、顔のほてり、発汗などの症状(更年期障害のおもなるもの)が出ます。閉経から数年も経ちますと、萎縮性膣炎・外陰部炎が起こり易くなり、膣の萎縮がひどくなるとセックスが辛くなります。又、骨がかすかすに成る状態(骨粗鬆症)の人は閉経から急増加して60才台で53%、70才台で69%、80才台で77%になり、寝たっきり老人になるきっかけの背骨(椎体)の骨折、大腿骨頸部骨折が起こりやすくなります。この他、エストロゲン不足が閉経後女性の心筋梗塞の増加と関係があると考えられています。

2.ホルモン補充療法をすると、どのような利点が有るのでしょうか?
ホルモン補充療法にはエストロゲンとして結合型エストロゲン(プレマリン0.625mg錠)を内服します。エストロゲン単独使用の副作用を無くす為に黄体ホルモン(デュファストン5mg錠)も飲みます。

内服方法は、プレマリン錠は連日、デュファストン錠は10日連日後20日休薬となります。

そうすると2週間以上で萎縮性膣炎や更年期障害のうちの、ほてり、のぼせ改善されます。1年以上で骨粗鬆症の予防効果が現れ(骨塩量が約7%アップ)10年以上で30才台と同じ骨塩量になります。2年以上で心筋梗塞や脳梗塞に対する予防効果が出てきます。(エストロゲンの内服により、総コレステロールや悪玉コレステロールのLDLコレステロールが低下し、善玉コレステロールのHDLコレステロールが増加した結果です。)又、プロゲステロンを併用することにより子宮体部癌の発生率は無治療のグループより減少します。

3.ホルモン補充療法の副作用は?
@乳癌、子宮体部癌、血栓症、心・腎不全、肝機能障害の方は病気の悪化の恐れがあるので使用出来ません。
Aエストロゲン単独療法だと子宮体部癌の発生頻度は増加しますが、エストロゲンとプロゲステロンの併用療法ではその率は減少します。乳癌の発生頻度は一定した結論はでていません。
G治療開始後6か月までの間、半数の方に少量の子宮出血が起こりますが、その後は1割位の方に毎月2-3日のそれが起こります。

4.ホルモン補充療法中の検査は?
一年に一回子宮癌検診、乳癌検診、すこやか検診をします。異常の見られた方はさらに適宜追加検査をおこないます。子宮癌検診で治療効果も分かります。

2002.6.25. 2014.4.20 改訂 荒木産婦人科肛門科TEL072-223-7959戻る

参考資料

1. 健康な閉経後女性へのエストロゲン/プロゲスチン投与の危険性と有用性

Women's Health Initiative(WHI) ,Rossouw JE et al. (JAMA.2002;288:321〜333)2002.7.9.

2. ホルモン補充療法の適応変更に関する警告(米国)についての日本産婦人科医会の指針 2002.7.24.

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