また、明日

 

「ねえ、これさあ、半分出してよ。」
洋子はよくこの台詞を使う。今日は、シャンプーの詰め替え用ボトルを握って、「2個買えばだんぜんお買い得だって、ラッキー」などとつぶやいている。
洋子はあたしが喜んで買ってくれると信じている。
だから。
それなら自分で2個買えばいいじゃないという台詞は、あたしの口から出てこない。

あたしは自分の部屋を思い出す。
あと、3回分で洗剤は無くなるし、歯磨き粉やシャンプー類も同じぐらいで切れるはず。
ただ、冷蔵庫の中身は毎日補充しているから、仕方なく買い物に出たのだ。
今日、もう少し空腹を我慢すれば、洋子とばったり会うことさえなければ、あと1週間で全てが終わったのに。

洋子は知っているだろうか。
あたしの部屋が殺風景なぐらいに片付いている本当のわけを。
すべてのものがちょうど一緒に切れたとき、あたしが全てを終わらせようと決めているのを。

洋子は知っているだろうか。
あなたがあたしの命を今日も延ばしたことを。