火曜日の夢
 不思議にあなたの夢を見る 
  火曜日のわたし 
  目覚めてもなお 
  隣に気配だけ残して 
  
  無造作に活けた花 
  窓辺に置いたグラス 
  硝子越しに朝日を浴びて 
  部屋の中を水と光で満たす 
  
  天井で揺れる光に 
  夢の残滓が過ぎる 
  続きを見ていたくて 
  閉じた瞼にも光 
  
  
  遠ざかるあなたの夢を追う 
  火曜日のわたし 
  どこだってもう 
  行かれない世界はないけど 
  
  無秩序に並んだ街 
  身軽に跳ねる月面 
  鏡越しに姿を見ても 
  プディングに似て喉を滑る 
  
  覚醒に揺れる背中に 
  夢のしずくを垂らす 
  続きが見当たらなくて 
  閉じた瞳にもしずく 
  
  
  あなたの夢を見ている 
  火曜日のわたし 
  
  目覚めてもなお 
  それだけを覚えている