『そして汽車はゆく』
古ぼけた汽車にのった
うつろな瞳のぼくが
冷えた身体を抱いて
車窓を見つめている
こうもり色をした
ちぎれた風景画
モノクロームのパノラマは
なまえのない世界
座席にもたれながら
水色のペンで
物語を綴ろう
頁をめくるたび
きみを想おう
きみはドレスの裾を気にしない
グレーの無印良品のトレーナー
ジーンズにバックパックを背負って
地面を蹴って走り去る
いまぼくはきみから離れていく
遠くの街へと離れていく
目を閉じなくてもはっきりと浮かぶ
白粉と角隠し
そしてきみはもうだれかのもの
真っ黒な煙を吐いて
古ぼけた汽車はゆく
うつろな瞳のぼくが
車窓を見つめている