『素顔』


善い人だとか
悪い人だとかいうのは
本当はないんだ

人は独りで生きてゆく
仮面を着けて
そして
こうありたいという姿を
演じながら

その人の眼に映る
あなたが
その人にとってのあなた

紅い仮面を着けていれば
紅い人になれる

いくら違うと言っても
決して届かないもの
それが
ほんとうのあなた

しかし人は
最初に感じた違和感を
ずっと持ち続けることは難しい

いつしか仮面は肉に食い込み
鋭い触手は
骨まで達するが
不思議と痛みはない

そうやって
時間とともになじんだ仮面を
人は疑問もなく呼ぶ
わたしの素顔と


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