サスペンション TRAC編


TRACサスペンションについての問い合わせが多いようだ。週末、SQUARE船橋でコーヒーを飲みながら研究レポートを書いている間にも、「何インチ上がるんですか〜」とか「乗り心地はどうなんですか〜」と言った問い合わせのTELが掛かってくる。在庫の本数も減っているし、ポツポツと出ているようだ。そこで、今回は仕事中にも関わらず、TRACサスペンションについて研究しよう。



 あっという間にヘタってしまったグレー巣。(初期馴染みが35mmもあると言った方が正解か?) かと言って、代わりになるような長いバネもなく悶々とした日々を過ごしていた。ある日、スクエア船橋に行くとSま氏が新しいバネを作ったという。色々な本を買い込んで、ゴソゴソとやっているのはいつもの事だが、バネを研究していたようだ。犬ション台も新調して、かなり本気の様子。絶賛する彼らを尻目に、かなり疑いの眼差しを持ちつつ試作のバネが装着されているSま氏のUBSを見せて貰う。

 う〜む、確かにバネスパンは長そうだ。材質はSUP12だそうで、巻き数を多くすることにより粘りがあってヘタりにくい物にしている。Sま氏は調子いいと絶賛するが、やはり自分で使ってみないと何とも言えない。ヘタりの問題もあるし・・・。当研究所のモットーは自分の目で善し悪しを判断すること。そこでボクが長期テストをすることになった。
suspention1.gif (336805 バイト)

 

 

 

 

 バネの長さのは約520mm。
 新品のグレー巣にソーサーを
 足したのよりちょっと長い。

 左がグレー巣3インチ+
       ソーサー2インチ
 真ん中が試作TRACサス
 右がノーマルサス

 

 

 



 足の動きの方は、伸び側は変わらない。ま、当然か。縮み側の方は、ソーサーなんていう突っかえ棒がなくなった分、バンプストッパーまでキッチリと縮む。クロカンの基本は縮み側だ。これは多少期待でそう・・・。
TRAC犬ション台.gif (169865 バイト)新調した犬ション台
TRAC伸び.gif (196276 バイト)伸び側もなかなか
TRAC縮み.gif (315021 バイト)

 

縮み側も目一杯
タイヤはちょっと太めの32×11.5R15
タイヤの上端はインナーフェンダーに軽く接触している(走行上支障はない)

 

 

 

 



 次に街乗り。路面からのショックの突き上げは、グレー巣よりも断然良い。長いバネスパンが効いている証拠だ。直線路は、よ〜く気をつけてると多少お尻を振るのが分かる。直線と言っても路面は平らじゃないし、ラテラルロッドが下がっている分、サス・ストロークによるホーシングのズレは全て片側に出る。最も、これは普通にリフトアップすれば全てそうなるので、それ程気になるレベルではない。


 次に交差点。ハンドルを切るとお尻が外に出ていこうとしているのが分かる。これは、トレーリングアームの沈み込みによる4WS現象だが(当研究所命名)、リフトアップして柔らかいバネを入れると出やすくなる。一応「クロカンもできるRV」を謳っているボクのUBSにとってはチト気になる点ではある。

 次に高速。直線は全く問題ない。市街地より路面が良好なので、お尻の振りも気が付かない。コーナーはちょっと怖い。特に首都高のように水切り板がコーナーの途中にある所は要注意だ(慣れの問題もあるが・・・)。感じとしては、バイアスのスワンパーで高速を走る感じ。ま、普段からハイトの高いクロカンタイヤやバイアスタイヤを履いている人にとっては全く関係ないか・・・。高速をそれなりのスピードで走るボクにとっては、ちょっと気になる点である。

 次にクロカン。これは調子いい。モーグルに対し足がグネグネと付いていく感じでグリグリと進む。隊長やバブと何回かクロカンに行ったが、後ろから見ているとアクスルが外れたように動いていて、「気持ち悪り〜」と言う始末。後ろからまじまじと眺めていた隊長は、その後、ボクが知らない間にバネとショックを注文していた。

 さて、問題のヘタり具合だが、ボクが装着してから2ヶ月ちょっとで10mm程度車高が落ちた。初期馴染みはどのバネにもあるから、この程度は問題はない。今のところグレー巣のようになることは無い。この辺は問題無さそうであるが、疑り深い私は、もう少し耐久テストを実施するこ事にする。



 今回のレポートは、「クロカン用」として作られた製品に対しての見方としては、ちょっと厳しすぎるかな? と言った感はある。総合的に判断すると、大変良くできているバネだと思う。高価なバネ材をふんだんに使った割に価格が安いのはSまさんが趣味同然でやっているからか? 個人的には、もう少し自由長を伸ばして欲しいといった感はあるが、これ以上バネレートを下げるワケにもいかないし、これ以上高い材は、ジオラマのように超高級バネとなってしまうので不可能か?
 ところで、色々と実験してるうちにちょっと面白いことに気が付いた。スタビを付けると街乗りのソフト感は失われず4WS現象が押さえら、シャッキリとした感じになる。スタビを入れてこんなに変わるとは思わなかった。これはおいしい・・・。これで、ワンタッチでスタビが外せれば、オン・オフ完璧! 研究してみる価値はあるな。



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