4JG2燃料 調整


 さて、前回まででマフラーとインダクション・ボックスは完成したので、残るは燃料の調整。
早速、今回もテキト〜に行って見よう!


●ポイント

 ディーゼルの燃調のポイントは黒煙をどう押さえるか? 基本的にディーゼルは燃料を食わせた方が調子イ〜ので、パワーを出そうと思うとどうしても燃料が濃い方に進む。今回は、普通に走ってる分には煙はノーマル同様。ここ一発、ガバッと踏み込んだ時の煙は気にしない、ということでインチキチューニングを実行する。


●吸気系の見直し

 吸気系はキノコでかなり改善されたものの、EGRや暖気バルブがあってはほとんど意味がない。確かにEGRはNOx低減には効果があるが、EGR制御のタイミングチャートを見る限り、ある一定範囲内でしか効いてないし、EGRをかけると二酸化硫黄と水で生成される硫酸でエンジン内部が侵される(100万キロ保証の大型ディーゼルでEGRが難しいのはこのためだそうだ)。そもそも、燃焼温度が上がる加速中にEGRが効いていないのでは意味がないし、黒煙も多くなる。そうまでして制御を行っているという事は、エンジンにとってEGRがかなり良くないのではないか? と変に勘ぐってしまう。黒煙とNOxを考えた場合、黒煙の方が見た目良くないのでEGRをカットする事にする。


 EGRのカットは、EGRパイプにめくら蓋をする。EGRバルブのアクチュエータを殺す手もあるが、排圧が高くなる開いてしまうという噂もあるし、ここで殺すと先程の化合物でEGRアダプタが腐食して穴が空くのでNG! 従って、めくら蓋もEGRパイプ(鉄製)とEGRアダプタの間に装着。アルミダイキャストより鉄パイプの方が腐食しにくいだろう・・・。


 次に殺すのが吸気系の暖気バルブ。これは抵抗以外のなにものでもない。バルブを取っ払い、シャフトを金ノコでカットしてエポキシ系接着剤でリンク類を接着。外見はノーマル風に見せるのが当研究所のモットー。




●ポンプ調整

 次にポンプ調整。これが、ノーマルのブーコン・シャフト。


 ノーマルは、カラーが入っていて上の方の燃料を規制している。これが80Km/h以上で吹けない原因だ。ノーマルのストロークは3.2mm。これを取っ払うとストローク6.5mm。今回の設定では最大Boostを1.1Kg/Cm2までを想定し、1.1Kg/Cm2でフル・ストロークするようにスプリングを調整する。

 次に調整するのが、燃料の増加量。ブーコンシャフトを削り、黒煙が出過ぎない程度にBoostに見合った燃料を増加する。Boost0.1Kg/Cm2で0.6mm弱ブーコンシャフトが沈むので、(実測)これに合わせ現物あわせで増加量を決める。

 上がノーマルのブーコンシャフト。下が現物あわせで削ったブーコンシャフト。これは上に行って、いきなり燃料が増えるタイプ。ちょっと削りすぎかな?
 ポイントとしては、下の方はあまり削らず上の方で削ってやること。下の方は煙が目立つが、上の方はスピードが乗ってしまうので、あまり煙が目立たない。全域で燃料を増やす場合は、スモーク・セット・スクリューを調整すれば良いので、ここではあくまでも空気が増えたことに対する燃料の増加パターンを調整する。試走しながらの試作で、今回は5パターン作成。本当は、図面を書いて金属加工屋さんに出そうと思ったが、複雑な加工になって結構高いものについてしまうとのこと。仕方がないので、グラインダーとベルトサンダー、ヤスリなどで頑張った。


 さて、ブーコンシャフトが出来たら、ここ一発の増量仕様としてリスピード・ミッタ・スクリューを調整する。これも現物合わせ。併せて、スモーク・セット・スクリューを調整し、アイドリングとアイドル・アップを調整しとりあえず作業完了。


●試走

 一通り調整が完了したら、試走を繰り返し最終的な調整を行う。加速時はどうしてもアクセルを踏み込みがちになるので、ブーコンシャフトはもう少し押さえ目の方のが良いかも。燃料が多いと排気温が高過ぎになるので注意が必要だ。排気温の上がり具合と煙の状況を確認しながら最終的な調整をする。
 タービンの方はそのままの状態で、瞬間最大1.1Kg/Cm2。排気温は全負荷で950℃。EXマニで取っていないので、タービンのINではもう100〜200℃位は高いか? 油温はもう少し走り込んでみないと分からない。


 さて、実際のパワーアップ度だが、例の機械で測定。当研究所のテストコースで前回と同じ条件で測定。それによると、0〜400mで18.24Sec、131PS、終速123Km/h。まあまあの成績だ。今回は噴射タイミングについては手を付けなかったが、そのうち暇になったらやることにしよう。



 さて、この状態で半年ちょっと乗った経過をお知らせしよう。Boostは全体的に0.1〜0.2 Kg/Cm2下がった。スプリングがへたった為だろうか? その分、煙も多くなったので燃料をちょっと薄めに調整。ここ一発ガバッと増量仕様では、すばらしい道へクロカンへ行った時にスコップ隊にに迷惑をかけることが発覚したので、一発増量を半分に減らした。また、夏の高速で32×11.5R15のマッテレを履いて130Km/h以上で巡航すると油温の上昇が激しい。105℃強を記録した。これはオイルパンの温度だから、かなり正確。4JG2はオイル容量が増えたので安心していたのだが、副燃式なぶん熱損失が大きいのか? オイルクーラーが必要かなぁ?


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