[指令] ウィンチをウィザードに搭載せよ!
[主な登場人物](敬称略・私以外は登場順)
私 … |
しま。この指令の実行者、日常は商業施設を経営している会社に勤め、(自称)華やかな仕事に携わっているが、その実態はUBS研究所の研究員としてUCSウィザードの研究を担当し、スクエア船橋に入り浸っては勝手にコーヒーを啜っているふとどきなヤツ。 |
所長 … |
UBS研究所のいしざき所長。自らのUBSを実験台として日夜開発に努める。多大な研究成果は、他のUBS研究機関達の目を引くに留まらず、クロカン学会にも大きな波紋を呼んでいる。しかし、お蔵入りになった失敗作品の数を、当人は誰にも教えない…。 |
イカク〜チョ… |
イカク〜ギャザリングの所長。UBS研究所とは協力関係にありチープな改造に関する研究はUBS研究所にも引けを取らず、また家族への思いやりに対する研究には誰も及ばない。私も参考にさせていただいている。 |
相馬 … |
ハーレーとヒップホップを愛する、スクエア船橋の店長兼TRAC事業本部の司令塔。この頃は特に店内の活性化に力を注ぎ、他の情報機関との連絡も絶やさない。裏ではUBS研究所の主任研究員をも努める。 |
おっさん… |
UCS兄弟の長男。兄弟の中で先行してウィンチ(XD9000)を搭載した経歴を持つ。時々ハンドルをスティックに持ち替え、廻りを興奮と感動の渦に巻き込むという魔術を屈指する。なお、使う魔術はスティックだけではないようだ。 |
まぁ坊… |
Magic Beat代表。独自で研究を行っており、研究の奥深さに加え特殊能力を屈指したパーツの製作能力は群を抜いている。これからはUBS研究所との共同開発にも携わる事が多くなり、今後登場する機会も増えるであろう事が予想される。 |
[序章]
●99年秋
所長が、他国から新たに開発されたウィンチの資料を手に入れた。このウィンチ(WARN HS9500)は今までの流通品のスペックを凌ぐ性能を持っており、時代がこのウィンチによって新たな旋風が巻き起こり世代交代の起きることを敏感に感じた所長は、次回の長期研究課題に是非とも必要である旨研究員に説いた。そして協力関係にある研究機関:イカク〜ギャザリングのイカクーチョ氏をも巻き込み、WARN
HS9500の長期研究はスタートされることになる。
●99年冬
第1段階として、所長から数台のWARN HS9500を導入する方針であることをうち明けられた。これにあたって、私は現地の動向を極秘に探る任命を帯び、直ちにアメリカ西海岸に飛んだが、情報不足がたたり現地の販売店にもたどり着けず、結局ウィンチを搭載する車両を一台やっと見つけただけに終わってしまった。
●ミレニアム1月
所長から5台のWARN HS9500が割り当てられ、その内の一台が私の元に届いた。そしてケースには… “指令:ウィンチをウィザードに搭載せよ!”
こうして Mission 2W (WINCH WIZARD) は発動されたのである。
[起章]
指令の実行にあたって、与条件の整理を行った。まず先立つ与件は、
●安い経費で取り付ける
●見てくれはさほど気にしない
●丈夫なこと(そんなにちょこちょこ金は出せない)
の3つとなる。
次に相反する課題となる部分をまとめてみた。この辺りは研究所でも議題となることが多く、また他の研究機関もこの辺りは共通見解となるのではと思う。ここから方針を探る。
項目 |
A案 |
B案 |
方針 |
手法 |
ワンオフ
うまくやれば値段が安い(設計までお任せは市販品より高い)ただしそれだけの知識と技術・インフラ(友人関係?)が要求される。
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市販品
値段は高くなるが、安心と後々のアフターが期待できる(?)
|
市販品状況を調べ、両方を視野に入れながら検討を進める。 |
ベッド |
(水平)ベッド設置型
ウィンチのメンテナンス性に優れるが、一般的に重量増・アプローチアングルの減少となるケースが多いようだ、ワンオフはこれが主流。
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バンパーポン付け型
バンパー位置に来るためアプローチアングルの確保にはよい反面、作業性がとてつも悪い、メジャーな市販品はこのタイプ。
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“手法”に絡む部分もあるが、出来ることならメンテナンス性を優先したい。 |
取付位置 |
フレーム直近水平部分
フレームにかかる負荷は張力が中心となり、引っ張りには強い鉄で出来ているフレームにとっては優しい反面、アプローチアングルの減少は否めない。
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上方部分
アプローチアングルの確保には都合がよいが、フレーム位置が低いUBS・UCS系には曲げ方向に力が加わり、負荷が大きい。
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市販品となればその位置にせざる得ないが、ワンオフとなればリバティバランスを探ることとする。 |
素材 |
鉄
値段の安さ、加工のしやすさからワンオフの常套素材。但し重量増は否めない
|
アルミ
素材が高く、加工には相応の設備が必要なことから市販品が主流。
|
これはワンオフとするか、市販品とするかで自ずと決まる。 |
色々検討した結果、市販品とすれば自ずと相反する課題も決まることとなるようだ。ワンオフの場合は更なる検討が必要となることであろう。
ここで自分に与えられている状況へ立ち返り、“極力早く取り付ける”ことはもちろんであるが、指令に与えられる金(略すと与金であるが、正しくは預金という)を探った結果、市販品に手を出しても大丈夫であろうとの結論に至った。ついては、ワンオフも視野に入れながらもターゲットを市販品に置き検討を進める。また、併行してウィザードのフレーム・フロント廻りの実測も行う。

資料として4×4マガジンの発行するパーツガイドブックを調べた。が、ウィザード用の市販品は無かった…。しかし過去にミュー(UCS55DWM)を研究材料としていた私は、記憶からマウント位置やフレームの先の形状がほぼ同じということに気づいていたのである。そして、この車種での取付互換性に自信を持ち、おっさんが使用しているものがARBであることからロデオ用のものまでも視野を広げ、パーツガイドブックも10年前のものまで遡り市販品の調査を行った。この調査により、
●ミュー用: ギブソンバー・オージーブルバー・WARNコンボキット
●ロデオ用: ARBバンパー
が候補としてあがった。
次に、これらの製品の提供機関にダイレクトにマイクを向け、確認できた事項や分かたことを表にまとめてみた。
製品名
|
確認事項
|
ギブソンバー |
●価格は8万円程度
●日本にストックが無く、この頃納期が滞りがちになっていることから、かなり待つこととなる。
●期間なんて分からない。
|
オージーブルバー |
●価格はギブソンバーと同じ程度。
●日本にストックが無く、かなり待つこととなる(3ヶ月は当たり前)。
●形状はギブソンバーと同じだがこちらの方が板厚がある。 |
WARNコンボキット |
●パーツガイドには載っけたが、実際にまだあるのか(製作しているとか・作ってくれるとか)は不明。
●額は不明だが、10万程度は覚悟してほしい。
●納期なんて言えるわけない。
|
ARBバンパー |
●材質は鉄なのでとにかく重い。
●他製品の納期が分からないのに、こいつが早い分けないであろう(しま予測)。 |
いきなりの挫折であった… しかし、へこたれているわけにはいかない。もうひとつ視野に納めていたワンオフについて舵を取り直し進めることとする。
これも予想はしていたのであるが、ノーマルバンパーを取り外してみると、UCS55・69とUBSとはノーマルバンパー取付位置の形状が同じである。つまりUCSとUBSはグリルやボディとの干渉や車幅の違いを無視すれば、ノーマルバンパー同士は取付部だけに関して互換性があるのだ。ただしこの取付位置はフレーム延長上から外側へオフセットしており当然ここだけでは強度が出ないので、市販品のウィンチ取付可能バンパーはフレーム延長上付近の別の場所からもアンカーを取っている、この付近についてはUCSとUBSとの互換性はない。後ほど他の事例を参考にしながら詳細の検討を行うこととして、実際のベッド等について検討を行った。
ワンオフを安く上げるにはどうすればよいだろうか? これについて素人ながら考えたことは、“設計を自分で起こすこと”
“極力規格材(鉄)を使うこと”であった。鉄の素材特性についてはある程度知識はあるのだが、その他のことには自分はあまりに素人であるため、溶接や曲げの特性・加工しやすさ、規格材の寸法について先行した調査を行いこちらについてもある程度の情報は得られた。早速設計に取りかかった。
ラフな設計はできあがったが、やはり課題はフレーム取付部のステーになりそうだ。ここについてはもっと他の事例を調べてから詳細設計にかかるとして、大体の概算額を知るため、溶接屋さんを探してどの程度の額かかりそうかを探ることとしたのであるが…。
まず、仕事中に発注先のゼネコン担当者から仕事の件で電話があった。頭がどっか別に行っている私は、「ねぇ、溶接屋知らない?」
ゼ「埼玉の三郷に下請けありますけど・・・」
おっ、いいじゃん! ということで紹介願った。
溶「ご協力しますよぉ〜!」ということで
私「車に着けるウィンチってのがあって、その取り付け台作ってもらいたいんだけど」
溶「はぁ〜、だいたいわかりますけど、具体的にはどんなものでしょう、とりあえずどんな
ものか図でいいから教えて貰えますかぁ?」
ラフスケッチで描いてFAXする。
と〜ぜん、だいたいの使用部材とか寸法とかは書いて…。
私「どんなものでしょ、大枠でいいからどれぐらいかかります?」
溶「はぁ〜、何ともいぇません。」
規格材とか調べたのに… この溶接屋も案もボツになるのか…。
[承章]
またしてもスタックしてしまった。それも今回は腹底全体ベッタシの状況である。一度考えをおさらいして、時間はかかれど腰を落ち着けてじっくり見る必要がありそうだ。場合によってはオージーなどの市販品3ヶ月以上の納期待ちや、UBS用の市販品を加工することも視野に入れなければならない。こういうときは気持ちが回復するまで“たばこ一服”が鉄則なので、情報収集がてらスクエア船橋にタダコーヒーを啜りに行く。
そして今までの状況を相馬さんに話すと、「あれ〜、アイバのウィンチコマンダーはチェックしなかったの、UCS用のものもあったんじゃなかたっけ?」 えっ、本当にそうだとするならばこれはうれしい話だ。また、他の市販品と同等かちょっとお安いらしい。
ここでまた方向修正を行いウィンチコマンダー(鉄)について調査検討を行う事とし、アイバにマイクを向けヒアリングを行った。以下の表はその結果である。
項目 |
ヒアリング回答・及び調査解明事項 |
UCSの設定 |
UCSは無し、UBSワイドのエアバック用はある |
構成内容 |
ステー、(水平)ベッド、バンパー部、スキッドプレート |
使用部材寸法 |
ステー・ベッドは4.5mm(ステーはフレーム接面補強入り)、バンパー部は2mm程度、スキッドプレートはアルミの肉厚物 |
設計思想 |
●フレームにかかる負荷を少なく、また部材の使用量を削減しウィンチによる負荷がかかる部分の軽量化と相対強度を重視した。その結果フレーム直前で極力延長上にウィンチを装着する設計とした。
●メンテナンス性を考慮し、バンパー兼用ベッド(裏側ポン付け)ではなく水平ベッドとした。またバンパーはベッド上のステーにボルトオンとした。
●現代の風勢から、乗者を守るためにウィンチ負荷のかからない部分は無意味な強度は持たせないこと、また壊れてもパーツ交換が出来るよう検討した。その結果バンパー部は肉厚2mm程度とし、尚かつ中央・左右と3分割構造とした。 |
上記のことから、UCS用の設定はないが、かなりの手応えは有った。UBSとUCSのフレーム延長ステー取付部分(ノーマルバンパーステー位置はOK)、バンパーの納まり等を考慮すればワンオフよりも実現性がある。また、加工するからには強度が不安なのだが、アイバの回答から分かるとおり、ウィンチ搭載部分がフレームに近くまた延長線上のため、強度の不安も何とかなりそうな上に水平ベッドのためメンテナンスもしやすい。
ということでUBS用のものをUCSに取り付ける前提でUBSの実測を行い、課題と対策を検討した。
項目 |
課題 |
対策 |
補強ステー取付ラケット部分 |
UBSのブラケットと違い、UCSはクラッシャブルのねじり形状のパイプがオフセットして着いている。 |
UBS用ウィンチコマンダーが前記の位置からフレーム延長ステーがのびている場合は、UCSのクラッシャブルパイプをカットし、ステーに合う様ブラケットを装着する。 |
バンパー納り |
UCSに比べてUBSは、低い位置でより前になっている、車幅が違う。 |
装着には問題ない、バンパーは少し前に張りだし、横にはみ出る(カットは可能であろう)。 |
ポジション・
ウィンカランプ |
UCS(ウィザード)はバンパー内にポジションとウィンカが納まっているが、UBSにはない。 |
バンパに穴開け、装着できるようにするか、ポジションをヘッドランプ内に移設する(ウィンカはヘッドランプ脇にもあるため必要なし)。 |
よっしゃ〜、行ける行ける!
再度アイバに確認を取ったところ、在庫はあるのですぐ発注できるとのこと。早速相馬さんにビッグホーン用ウィンチコマンダー黒BH-119(グリルガード無し)を発注願った。
[転章]
ブツが届いた、早速構成部品の確認を行った。ひとつひとつの構成部品仕上がりはとてもよく、さすがアイバである。また、とにかくボルト・ナットがやったら多く数えてみると30組以上ある。ここいら辺もアイバらしい。
主な構成部品は下記の通りである。
部材・
板厚
|
鉄・4.5mm
|
鉄・2mm程度
|
アルミ板 |
部品
|
ウィンチベッド |
延長フレーム |
取付ブラケット |
ベッドブラケット |
センターパネル |
サイドパネル |
ナンバー移動ブラケット |
スキッドプレート |
部数
|
1 |
左右1 |
左右1 |
左右1 |
1 |
左右1 |
1 |
1 |
実際に取付を行う。まずは取付ブラケットであるがこれはノーマルバンパーの取付ステーに当たり、69・25用と73・26用のポジション(ボルト取付穴)がある。私は迷わず奥に引っ込む69・25用のポジションに合わせた。しかしこの位置では、オフセットにもよるが大径タイヤ装着の場合、フルストロークとハンドル操舵が重なった時に緩衝しそうだ、ひどい時はブラケット後端をベビーサンダー等でカットする必要がある。(実際多少の緩衝はしているようである)
やはり延長フレーム取付ができない、クラッシャブルパイプ部分と緩衝している。またベッドブラケットもエアバック装着車と無し車では違い取り付けできない。このためベッドも装着できない状況である。
 
このため、まずはクラッシャブルパイプの除去を行った。用意したものは革手、ベビーサンダー、使用した歯の枚数は3枚、手は白老病、髪の毛はちりちり、目はしょぼしょぼと言う状況になったが、ウィンチ装着のためにはいとわない。2回目作業からは帽子と防爆メガネを着用したことは言うまでもない。

おかげでベッドはまだ着けないながらも、日本で一台のウィンチコマンダー装着UCSウィザードの完成、見た目はちょ〜かっこいぃ〜っす! ただ、このままではポジションランプが点かないため、H4ヘッドランプにくくりつけられるポジションランプキットをカー用品店で購入し取り付けた。しかしこれだけではウィンカーを一組取ったことが影響し、ハイフラッシャー状態となってしまった。これは後ほどウィンカー・ポジションランプをバンパー内に埋め込むこととする。

次にフレーム延長ステーを取り付けるためのブラケットを、フレーム側に取り付けねばならない。当日はウィンチコマンダー取付が行えただけで満足していたのだが(本人は大変疲れた)、たまたまそこに居合わせた所長が自らブラケットを設計し、独自の研究開発を行っているまぁ坊さん(Magic
Beat代表)のご協力をいただきブラケット製作をしていただいた、このことへの感謝の気持ちはそう言葉には表せないぐらいである。
ちなみにこのブラケット、こんな小さなものでも手が込んでいる。溶接はとてもきれいで、その上これをフレームに溶接するために、表面の脱脂まで行ってくれていた。またボルトをとめるために裏にナットを溶接してもらったが、なんとブラケット本体にもタップを切ってあるのだ。こういうところはそこら辺の鉄工所では気が回らない。流石に四駆というものを知っている、使う場所をも研究した、まぁ坊さんの気配りの入った一品であった。
次はブラケットのフレームへの溶接である。前述の三郷の溶接屋に行き、フレームへの溶接を願った。ブラケットの位置決めはウィンチコマンダー装着状態でボルト止めし、スポット溶接を行ってもらったのだが、車に興味を持った専務と話しているうち、従業員が位置決めの溶接作業を終わった際には、せっかくまぁ坊さんが着けてくれたナットの溝に溶接飛沫が…。結局使えなくなったナットを酸素で切ってもらい、手持ちのT7強化ナットを改めて溶接しなおした(これでも失敗は多々あった)。
色々あったが無事ブラケット装着が終わり、支払いを行いたかったのであるが、相手側の拒否にあったため(要は仕事をくれっちゅうーことだ)。念のために用意してあった一升瓶(浦霞生一本)を渡すことで商談は成立した。汚職を良しとしない私としては、この様な用意は当然の心構えであろう。でもほんとはこの酒、自分で飲みたかった…。
フック上が取り付けたブラケットです
ここまでの中で何度もウィンチコマンダーの脱着を行ったのであるが、そのためにボルトナットの締め忘れ等による欠品が何個も生じたことを付け加えておく。
あと、ベッドブラケットも取り付けたいのであるが、取付のためのフレーム側への加工は難しいこと、それと今までの加工で引っ張り側に対しての強度は出ているはずであるから、様子を見ることとし、必要で有ればまた別途考えることとする。
[結章]
とうとうウィンチをマウントする時が来た。とりあえず動作するかのテスト及び強度テストが中心なので仮付けとする。しかしこうなると気がはやり、ろくな作業は出来ないものだ。用意したのは自在スパナ、プライヤー、メガネレンチである。ウィンチはアメリカ製のためボルトナットともインチである。後々のメンテナンスのため、こいつをmmに直すことも検討し、mmの強化ナット・ボルトも用意はしておき、作業を行いながら判断することとした。
ウィンチ本体取付で有るが、mmもののナットは取付が難しかったためあきらめた(この時点でmmボルトナット計画とん挫)、これ以外は無事本体取付完了。マイナスケーブルの取り回しについてはあまり気を遣わず配線。
次にバンパー上にリレーBOX位置を想定してみる。今回は補助ランプ取付穴を利用して装着することとし、補助ランプ装着時は別の箇所に移すこととする。リレー以降の配線が短いことが課題であるが、ここからは無事ウィンチ本体に届くことが分かった。リレー以降とウィンチ本体の配線についてはプライヤーを使い完了。途中バンパーに接触するので、ここにはバンパー側にモールを配した。
所長や一部の方は、リレー保護のためリレーBOX本体をエンジンルーム内に移設されるているが、私の場合は根が億劫なこと、バンパー自体の不安があることから、メンテナンスの際に脱着が楽なようバンパー上に残すこととする。
フェアリードの装着を行い、リレーの固定にはエーモンのステーを使ったが、このステーがインチ用のピッチに穴が空いていないため、既存穴を長穴に改良したことを付け加える。
次にリレーからバッテリーへのプラスケーブルについては、極力ボディ等に触れないよう配線した。プラスケーブルは結構長い為、今後なにがしかの処置が必要であろう(そうは考えていたのであるが、このとき万全な対処を施さなかったことが後ほど仇となる)。
そして、ワイヤーにフックの取付はスムーズに完了。このとき面白がってワイヤーを必要以上に伸ばして作業を行った(これも仇になるとは…)。これで導通テストの準備は万端。
さぁ、リモコン取り付けてスイッチを入れると…。ん、もう一度…。えぇっ、動かない! 配線やらなにやらチェックし、リモコンもつけ直したがうんともすんとも言わない。私は今までの苦労が走馬燈のように横切り、思わずへなへなと這い蹲った。
なんとか少し気力を持ち直し“ベリオへのクレームは次週以降としよう”というところまで回復し、引き出してあったワイヤーをえっちらおっちら一生懸命ドラム手回しで納めた、あまりにも虚しい作業であった。皆さん導通テストはワイヤー関連作業の前に行うことを勧める。
最後に試しにもう一度だけリモコンを差してスイッチ操作すると、“ウイーン…” おぉ〜 やったぁ! 結局、リモコンとリレーBOXの接触が悪かったようである、さすがアメリカ、造りがざっぱだ。これはオフロードの際致命的なミスとなり兼ねないので、頭の中によ〜く焼き付けておこう。とりあえずリモコンピンとリレーの差込口にCRCぶっかけたのは言うまでもない。
定期連絡を兼ね、所長への作業進度の報告を行った、所長もほとんど作業が終わり、マスター巻きを兼ねた強度テストにかかるとのことである。ということで合同強度テスト行うこととなった。
仮付けは完了したがバッテリー配線について不安を覚えていた私は、ターミナル端子の加工を行おうか途中にブレーカーを設けることを考えていた際、共同研究を行うこととなっているイカク〜ギャザリングのイカク〜チョさんより蝶ねじ端子の情報を得た。
これは安い! ということで早速ジョイフル本田にて購入し、いざ装着…。と行きたかったが既存の車側ケーブルの穴が小さく、後付端子に入らない! このことをイカク〜チョさんにお話ししたところ、「ね、そうでしょ! 私なんか気がせいてて、ジョイフル本田の駐車場で作業してたから気づいたんで、その場でリーマー買っちゃった! だってそのためにリーマー買ったなんてHPに書けないじゃん!」 イカク〜チョさ〜ん! 蝶ねじ端子より高いじゃんかよ〜。私が所長の協力を得て車側ケーブルの加工を行ったことは言うまでもない…。
所長と強度テストを兼ねたマスター巻きを行った。当日は研究熱心なMagic
Beatのまぁ坊さんにもテストの評価を願い実験を行ったが無事クリア。ただしこのテストでは、正面水平方向からの引っ張り強度テストのみに終わったため、実際オフロードにて下方向や左右方向からもテストしたい。また、このテストの際リモコンケーブルを自車で踏んでしまったこともあり、遊んでいるリモコンケーブルを掛けられるケーブルフックを右フェンダーに着けることにしよう。

ここでバンパー自体の残した課題について、検討を行った。ひとつはワイドボディ用のものをナローボディに着けたが為のバンパー横のはみ出し、もうひとつはウィンカー・ポジションランプである。
バンパーの横はみ出しについては、現状のはみ出ているところをカットし再度フタを着ける事を考えたが、ど〜せぶっけてひん曲げる事考えた場合、無理して今のものを加工するよりも、起章でワンオフ考えた際に生じたアイデア“規格材の利用”で行けそうである。使用するのは軽みぞ鋼100×50×3.2で、リブを左右ともVカットを行い、ここを曲げて溶接する事でバンパーとして利用する。

転章の項でも触れたがウィンカー・ポジションランプについては、ポジションランプの方は良いが、ウィンカーがハイフラッシャー状態で保安基準に引っかかるかのギリギリの状態である。結局、バンパーに穴を開け標準のウィンカー・ポジションランプを装着することとなった。
まずはマーキングを行いベビーサンダーでカットを入れる。私がやるとどうしてもいい加減になってしまうのだ。
ここで自分以外のウィンチ搭載UCSに(WARN HS9500にも)興味を持っている、UCS兄弟で唯一ウィンチ搭載していた、長男のおっさんが登場! 私の作業を見てベビーサンダーを奪い取り、これにジグソーを加え瞬く間に角穴開けてくれました。スティック以外でもおっさんが手にするもんは、命を受けたように踊り出すという様をまざまざと見てしまった。

ついでに配線をチェックしたところ、一部プラスケーブルの被覆が剥げている! 当初バッテリー装着状態でチェック済みであったのだが、バッテリーターミナル蝶ねじ化によって外してあったケーブルがファンベルトと干渉していたのであった。幸い導線は痛まず被覆が剥げたのみで済んでいたためビニールテープを巻き、更におっさんが配線の取り回しをチェックしてくれた。持つべきものは友なりである。
こうしてMission 2Wは無事達成できたのであるが、このあと実際にオフに行った際、横方向の強度が弱いことが判明した。ウィンチで斜め横45°程度に引く際は問題ない程度であるが、出っ張ったバンパーの横をぶつけた際に、すこ〜しズレたようである。あまり強度を出してフレームに負荷をかけるよりはこの程度の強度で良しとし、今後ぶつからないようバンパー本体横のカット、または先の規格材バンパーを装着することを考えている。
またプラスケーブルには更なる被覆を施すことを考えている。方法としては電設屋さんが用いるチューブを考えているが、一般的なCD管ではなく火災時のことも踏まえPF管を奢りたい。
ここに、この指令に要した費用が10万円を切ったことを報告しておく。なおウィンチ本体及び加工に関する工具は含まない、また細かい支払額については企業秘密である。
最後に、報告書に登場していただいた方々、及び文面の都合上紹介できないが、陰ながら協力していただいた方々に感謝の意を述べたい、本当にどうも有り難う!
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