加速度計


 これまでで、ブースト計、油温計、排気温計を取り付け、ノーマルのおおよその状態は把握できたので、次は当然マフラー、エアクリーナー、燃調へと手を付けるわけだが、その前にノーマルのデータを記録しておかないといじって良くなったのか悪くなったのかハッキリしない。人間の感覚は結構いい加減なので、できれば客観的なデータとして残しておきたい。シャシダイがあれば、馬力やトルク等が詳細に計測できて一目瞭然なのだが、当然こんな機械個人で買えるハズもないし、乗用車系のチューニングショップでも持っている所は数少ない。だいたい相場は1回の計測で8,000円位だろうか? その店でマフラーなどを購入すると、取り付け前と取り付け後で、計測してくれたりする。
 1回に何千円も払うと、いじっている途中は何回か計測する事になるから、その費用もバカにならないし、いちいち店まで行くのも面倒だ。タイトルにもあるとおり「イカサマチューニング」なので、適当な直線を見つけてストップウォッチで計るっていうのも安直でGood!だと思うが、も〜ちょっと何とかならないかなぁ・・・? 例によって色々調査をしてみると、ちょっと面白い加速時計を発見した。


● 加速度計

 この加速度計、私達にはほとんど馴染みがなく、テスターの様に街で売られているのを見かける事もない(アキバでも見かけた事はない)が、結構以前からあって色々と使われているようだ。加速度計の心臓部は、当然、加速度センサーなワケだが、こちらの方は色々なタイプや感度のものがあって、身近なところではエアバッグやトラクション・コントロールなどに使われている。特にエアバッグに使われているセンサーは外国製がほとんどだそうで、最近はエアバッグの普及率が高いせいか、精度が高くコンパクトで安いセンサーが出回るようになったらしい。

 で、今回見つけたのは乗用車系ではちょっと名の知れた「テクトム」が販売している製品。製品自体はアメリカの会社のものらしく TESLA electronicsのロゴが入っている。



● 使用方法

使い方は簡単で、レーダー探知機と同様にして、シガーライターに電源を差し込み本体をフロントウィンドウにセットするだけ。この製品の面白い点は、マイコンが内蔵されていて加速度以外に、加速度の平均値やピークホールド、ゼロヨンタイムや馬力等が測定可能なこと。取り説(ワープロをコピーした殆ど直訳の胡散臭いヤツ)によるとRISC系CPUが使われているとのこと。価格は19,800円だった。


 ここで不思議なのが、なぜ加速度センサーとマイコンでのゼロヨンタイムや馬力が計れるのかということ。ゼロヨンタイムは単位時間当たりの加速度から演算し400mを検出していると思われる。馬力の方は、計測前に車重(Kg)を入力するため、単位時間当たりの加速度と重さから算出しているのだろう。
 時間の方は、マイコンの水晶発振のクロックから算出しているのではないかと思われる。 ちょっとバラしてみる。


 色が変なのはスキャナで直接スキャンした為。驚いたことにマイコンには、あのアンテナコントローラで使用したPICが使われている。わっ、はっ、はっ、はっ! ウン、確かにRISC系CPUだ。クロックは水晶発振で4MHzだ。上の白い四角いヤツが7セグメントLED。4桁あるからダイナミック点灯か? 下の白いV06IUEと書かれたヤツが電源レギュレータ。真ん中の下矢印が加速度センサーだろうう。先程のセンサーと比べてかなり小さい。全体的に、コンパクトに大変良くできている。


● 測定

 前置きが長くなったが実際に測定してみる。と、行きたいところだが、ゼロヨンをやるには1000m位のフラットで水平な交差点や民家等の無い直線が欲しい。例によって、仕事をしつつ地図ソフト検索モード・・・。やはり工業団地や湾岸付近は広く長い直線が多いが、実際に行ってみるとゼロヨン禁止用の舗装がしてあったりする。(特にお台場のヤツはハンパじゃない! 四駆でもショックがすごい!) 何とか場所を見つけてゼロヨンタイムを計測し、400mの誤差を確認する。これによって、ある程度の誤差(プログラムの作り)が分かるだろう。

 で、結果としては誤差は数m以内でバッチリ! バッチリ! これには正直驚いた。なかなか正確だ。時間の方は水晶発振だから、その辺の時計よりも正確だろう。次に馬力測定の方だか、こちらは検証のしようがない。計測時は車重を正確に入力しないといけないので、55の方は車検で実測をしているから問題ないのだが、69の方は実際に計った訳ではないので、車検証を信用するしかない。ま、どちらにしても「どう変わったか?」という客観的なモノサシが必要なのであって、絶対的な数値を求めているワケではないので、これでGood! Good!。特に四駆の場合、どうせ上は回らないから、絶対的なパワーや最高速度よりも加速度が良ければ良い。

 55と69の両方について何回か計測し平均を取って見ました。
 55の方は例の月まで行く仕様。69の方はドノーマル。

0-400m(Sec)

終速(Km/h)

馬力(PS)

UBS55

19 .0

115

116

UBS69

20.5

110

95



 因みに、ゼロヨン計測中0〜100Km/hまでの時間も計測できるので、こちらの方が街乗り等を考えると、より実践的かと思ったが、69の方は下の加速が悪くゼロヨンと判断され計測不能となってしまった。従って、終速自体はあまり代わり映えしないという事は、55は下の加速は良いが上の伸びはイマイチ。69は下の加速だダメだが、上の伸びでカバーしているという事か。

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