サスペンション グレー巣編

足回りの補強が終わったので、そろそろバネに手を着けることにする。狙いとしては、スキーやキャンプ、通勤、冠婚葬祭など、我が家のファースト・カーとして月まで走る予定なので、オンロードを無視したチューニングは行わない。デフロックをかけて耕しながら走るのは70かトラクターに任せるとして、あくまでも「クロカンもできるRV」という路線は崩さず、UBSの長いサス・ストロークを上手く引き出してやることを目的とする。
●基本性能のチェック
足回りの補機類を外し、サスのストロークを計測する。計測のポイントは、ショック・マウント間とスプリングシート間の二ヶ所だ。UBSのバンプストッパーはバネの一部として、フルバンプ時のショック吸収に一役買っているので、これが潰れた場合も考慮して計測する。手で潰して計るのは、超人ハルク(懐かしい)じゃないと不可能なので、あくまでも潰れたイメージで計測すること。そして、足は両足が伸びた状態(ジャンプしたとき)、両足が縮んだ状態(着地したとき)、片側だけ縮んだ状態(クロカン時)があるので、各々計測する。(あ〜めんどくさ!)
更に、この時、ついでに各補機類(ブレーキホースやサイドのワイヤー、ブリーザーパイプなど)をセットし、無理が出そうな所をチェックしておく。(あぁ〜めんどくさ!)
そして、更に更に、タイヤを着け、インナーフェンダーやフェンダーアーチに当たらないかどうかチェックする。当然、タイヤは装着予定のオフセットとサイズのものを借りてくるなりして用意する。(あぁぁ〜めんどくさ!)
ここまでやればカンペキだ!(本当にこんなことやってる奴いるのかぁ〜?)
●検討
上記のチェックで問題になったのは、ブレーキホースとサイドのワイヤー。ブリーザーホースは、目一杯だが弾力性があるので何とか行けそうだ。サイドのワイヤーは、アウターが引っ張られる形となりパンパンである。こちらは、ブラケットに止まっているアウターの位置を全体的ずらすことにで解決。ブレーキホースの方は、ほんの少し足りないだけなので、ホースが止まっている台(正式名称不明)自体をステーを噛ませて浮かすことで解決した。
タイヤの方は、235/85R16、32×9.5R、32×10.5R、7.50-16といった、外径820mm、幅270mmあたりまでは何とか収まる(フルバンプ時に多少干渉するモノもある)。それ以上のサイズになると、フルバンプ付近でファンダーやインナーフェンダーに干渉する。縮み側を殺せば、もっと大きなサイズのタイヤも収まるので、サス・ストロークを取るかタイヤサイズを取るかは難しい問題である。当然、障害物の乗り越えなんかは大きなタイヤの方が有利だが、クラッチやブレーキといった問題も出てる来る。
さて、補機類が問題なくなればショックの選定。縮み側は、計測した最短距離からブルバンプ時の安全マージン引いたもの。伸び側はサスの自由長と同程度のもの。以上の条件でカタログをチェック。銘柄はお好み次第だろう。今回は、後でバネを変えたりすることも考慮して、ランチョのRS9000をチョイス。縮み側はスッと入り、伸び側は固さをダイヤルで調整可能のスグレもの。ショックの選択のポイントは縮み側。クロカン時の車の安定性は縮み側の善し悪しで決まる。
次に、ショックのカタログを見つつバネに行く。当然、サスの自由長より長いバネじゃないとバネが外れてしまうので、計測した値より長いものを探す。因みに、サスの自由長は左右違うがショックマウントで約570mm、ノーマルショックの長さは約500mm。長いものがが無ければ、ショックで伸び側を規制するしかないのでショックのカタログを見つつバネを選定する。しかし、バネのカタログって「何インチUP」としか書いてないものが多く、選定は大変だ。また、バネの硬さは材質以外に径や巻き数などで変わるので、一概には何とも言えない。
実測では、グレー巣の3インチが自由長もクリアし材質もまずまず。気になるのはヘタり具合だが、話によると、ヘタってもあまり自由長は変わらないとのこと。ホントかなぁ?(これが後で悲惨な結果を招く) ま、他にめぼしいバネも無かったグレー巣の3インチUPに決定。
バネの自由長から安全マージン(今回は20〜30mm)を引いた長さを元に、ショックの長さを計算し、再度、実車で長さをチェックしショックを決定する。今回使用するショックは9008だ。(本当は、バネの縮み側の長さもチェックしなければならないのだが、難しいので今回はパス。UBSのフルバンプ時のバネスペースはそこそこあるので良しとする。)
●試走
さて、当然、そんな変な長さのショックは店に在庫してないので、バネだけ入れてショックは取り寄せてもらう事にする。バネを入れアクスルの中心からフェンダーの高さまでを実測すると、実に80mmもリフトアップした。
グレー巣3インチアップの感想は、なかなかしっかりした感じ。ま、巻き数が少な目だから、硬めなのも当然か。スタビリンクを外してもコーナーであまり不安は感じない。縮み側も、バンプストッパーまでキッチリと縮む。
犬ション台は高さが足りなくなった
目一杯までキッチリ縮む
●予想外の展開
ショックの取り寄せには1ヶ月程度かかった。やはり、あまり出回っていないサイズだからだろうか。早速、ショックを交換しようとジャッキアップし9008を入れようとすると、これが何と! すんなりと手で入ってしまう。この間、オフロードには1〜2程度しか行っていないのだが、初期のヘタり(馴染みとも言う)は早いようだ。しばらく様子を見ることにする。
バネ交換から約1ヶ月半。近所の土手で左右の足を揉んでいたら、とうとうバネが脱落してしまった。ショックにはバネが当たって凹んだ跡が残っている。複筒式で良かった。
 
実測してみるとリフトUP量は45mm。35mm落ちた計算だ。試しにバネを外すと自由長はグレー巣の2インチアップとほぼ同じ長さになっていた。騙された! こんなに早く、これ程自由長が減るとは思わなかった。ま、雑誌の広告を見ると「ロングで2インチUP」って書いてあるから、あながち嘘ではないが売り方は問題だ。入れたばかりのバネを捨てるのももったいないし、かといってショックを交換するのももったいないので、当研究所の思想に反するが仕方なく50mmのソーサーを入れる。

上が新品の2インチアップ
下がヘタった3インチアップ
例によって、伸び側と縮み側のチェックをするため犬ション台の乗せてみる。こういったチェックをするには犬ション台は大変便利(ジャッキじゃ怖い)。この位になると今までの犬ション台では高さが全然足りなくなってくる。
縮み側のバネはひん曲がって厳しそう。折れ癖が更に付きそうだ。一点に力が掛かるとバネを痛めるからあまりよろしくない。ま、仕方がないので当分この仕様で乗ることにする。
[TOP] |