加給圧上昇大作戦


 Webって毛筆ってできないのよね。このレポートを会報に書いたときは縦書き・毛筆の巻物だったのですが、仕方がないのでテキストをそのまま転載します。ま、細かいことは気にせず読んでちょ。

 八月ももうすぐ終わりだと言うのに、いや〜 暑いですね〜! こう暑いと野外作業(私の車庫は高さ無制限!)は辛いです。さて、先月までは工作ものばかりでした。う〜む! これではいかん! という事で、今月は過給器付き内燃機改良の定番、「過給圧上昇大作戦」をやります。

 ところで、みなさん過給圧上昇の効果については十分理解されていますか? まぁ、ここで改めて説明するまでもまく、雑誌等にはよく出ていますし、特に軽油自己着火型内燃機の場合、原油を蒸留して最初に得られる揮発油型内燃機ほど燃調にも厳しくなく、お手軽改良の定番となっています。それでは早速、本題に入りましょう。


てきとう改良その一、 内燃機を良く眺め配管などを確認しろ

 私の車、大角(四じぇいびい一)の場合、だいたいこんな感じでしょうか。内燃機からの排気は過給器を通って消音器へ。空気清浄器からの吸気は過給器から暖気弁(寒冷時の暖機運転を早めるため、吸気を絞る弁)を通って過給気冷却器を経て吸気多岐管から内燃機へ。私の車は乗用登録なので、吸気多岐管には排気煙再循環装置が付いている。

 過給圧の制御は、過給器に取り付けられた加動器で逃がし弁を駆動し排気を調整する事によって行われている。加動器の過給圧の取り出しは、過給器(過給器住宅)から直接取り出している。


てきとう改良その二、 過給圧計は必ず付けろ


 過給圧をいじる場合、忘れちゃならないのが過給圧計です。これがないと現在の過給圧が分かりません。


てきとう改良その三、 過給圧は吸気多岐管から取れ

 過給圧計を購入すると、一緒に過給圧計に接続する配管や過給圧を取り出すための三つ又の分岐(筍などと呼ばれている)が付いてきます。さて、過給圧の取り出しですが、過給器の逃がし弁の加動器の導管を切断し三つ又の筍を付け、そこから過給器計に接続しているのをよく見かけますが、これでは正しい過給圧が取れません。空気が溜まっている状態(流れていない)の場合には、同じ配管内ならどこから取っても同じ圧力ですが、走行時には内燃機は動いているので、空気は吸気多岐管から筒内へと吸い込まれていきます。気体も水と同様、配管の抵抗や導管の太さの変化等により損圧が発生します。更に、過給気冷却器付きの内燃機の場合、過給気冷却器で圧縮した空気が冷やされるため、圧力が低下します。
 従って、過給器の出口と吸気多岐管では過給圧が変化します。四じぇいびい一の場合、吸気多岐管の排気煙再循環装置弁が取り付けられている吸入器溜まりの部分が良いでしょう。

 ところで、四じぇいびい一の場合吸気多岐管には圧力を取っている口がありません。この場合、吸気多岐管に穴を開け筍を取り付けます。ところがこの筍、ちょうど良い大きさの物がなかなか有りません。「あなた自身でそれをしなさい商店」で売っている気動工具用は太すぎです。長谷川さんの会社では一個単位で販売していますが、一個だけ頼むのも何ですし(最近は黄色い帽子でも売っている)。壊れた自伝車の制動器鋼索の留め具が手頃な大きさだったので、これを加工し取り付けました。

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 さて、作成した圧力取り出し口に過給圧計を接続したら、実際に走行し過給圧を確認します。これで、正確な過給圧を確認する事が出来ます。走行状況によって最大過給圧が多少違うので、色々試してみます。


てきとう改良その四 邪魔者は殺せ


 次に過給圧上昇をやる前に抵抗となる不要な弁を殺します。四じぇいびい一の場合、暖機弁は抵抗になるので取ってしまいましょう。暖機弁は過給気冷却器に取り付けられているので全て取り外します。暖機弁の加動器と弁接続されているねじを緩め弁の中身を全て取り出します。
 このままでは、弁の軸の穴が空いたままになってしまうので、軸の不要な部分を回転砥石で切り落とし、合成樹脂系接着剤で元通り接着します。ほ〜ら、これで外見は純正のまま、不要な抵抗物はなくなりました。

 次に排気煙再循環装置弁を殺します。排気煙再循環装置弁は加動器に接続されている導管を抜いても殺せますが、過給圧がかかったときに多少漏れるようです。排気煙再循環装置弁を外し防漏板を取り出します。適当な金属板を用意し、防漏板から型取りし切り抜きます。あまり薄い板は不可です。軽量合金板だったら拾五分の一寸くらいでしょうか? 私は拾った「車でお金貸します」の看板を二枚重ねで使いました(これだと金鋏でれるし何しろただ。但し、後で腐食して穴の空く可能性あり!)。
 実は、暖機弁は排気側にもあるのですが今回は見送りました。消音器を交換した時にでも一緒にやりましょう。


てきとう改良その五 過給上昇


 いよいよ過給を上げます。まず最初に過給器の逃がし弁の加動器の取り出し口を変更します。加動器から導管を外し適当なねじで導管を塞ぎます。次に長めの導管を用意し加動器と吸気多岐管側の過給圧取り出し口を繋ぎます。導管は車関係の部品を扱っている店なら太さを指定して購入できますが、やはり、ここは拾ってきましょう。その辺に放置してある車から導管類を外します。燃料系導管でも良です。金魚鉢の導管じゃだめですよ。耐熱・耐油管が良いでしょう。純正の導管の太さは負圧系導管より一回り太い物になっています。吸気多岐管側は、過給圧計を繋いだ所から三つ又の筍で分岐させるか、新たに吸気多岐管に筍を追加します。

 次に過給上昇ですが、過給を上げるにはいくつかの方法があります。一番お金のかからない方法は、逃がし弁の加動器がねじ止めになっている場合には、ここに座金などを挿入すれば良! 過給圧の調整は座金の枚数で行います。次に簡単なのは、過給圧調整器を買ってきて取り付ける方法です。具体的な取り付け方法は製品に付いている説明書を見れば分かるでしょう。(今回はこの方法は採用しません。高いから) さて、究極の方法は、先の丸いタガネと金槌を用意し、加動器の棒を気合い一発!! はっきり言ってこの技は難しい! 13湯麺のバブしか出来ないかもしれない…。 力加減はバブに聞いて下さい。

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 要はこんな感じに曲がれば良いでしょう。曲げが済んだら実際に試走し、過給圧のかかり具合を確認します。過給圧が上がりすぎる場合には、逆から金槌で叩いてやります。四じぇいびい一の場合、だいたい一キログラム毎平方センチメートル前後まで大丈夫です。がんばれば、一.二キログラム毎平方センチメートルまで行けるらしい…(私はそこまで試したことがない)。

 さて、以上で過給圧上昇は完了です。過給圧計はしようがないとして、できるだけ安く上げたつもりです。更に良い案がありましたら、ご一報下さい。

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