4JB1燃調



 クラッチの不調に始まる一連の不具合。クラッチ交換、マスター/スレーブシリンダ交換、フライホイル研磨、クランクシール(フロント/エンド)交換、カムシール交換、タイミングベルト交換など、地道な作業により快調(?)に月まで走るビッグホーン! 20万キロを突破し、「エンジンのアタリも出てGood!Good! 絶好調!」と思っていたのも束の間、実は新たなトラブルが発生していた。(@_@)



 事は前回のタイミングベルト交換時、噴射ポンプの回りが湿っぽくホコリがたまっているの気がついた。まぁ、水漏れ、オイル漏れはイスズの標準装備なので、あまり気にせず乗っていた。何週間かすると駐車場のコンクリートの上に、オイルのような滴が垂れていた。サラサラしていて透明感がある・・・。そう、軽油だ! 噴射ポンプからの燃料漏れである。「う〜ん、噴射ポンプかぁ〜。」\(>_<)/

 次に休日、噴射ポンプ回りを洗い漏れている場所を確認する。ちょっと分かりにくいが、ポンプ本体の上の方、コントロールレバー、ブーコンシャフトが取り付けられている付近からだ。アクセルワイヤーが繋がっているコントロールレバーの陰からヘキサゴンのボルトの頭が見える。バラせるという事か? 「噴射ポンプを交換した」という話は聞いたことはあるが、「バラした」という話は聞いたことがない。回りの人に聞いてみても、「外注に出す」「リビルド品や新品と交換する」といった話ばかり・・・。修理書等を見ても、噴射ポンプのオーバーホールのついては一切書かれていない。「ここは手を出すなっていう事か(それも素人が)…。」(^_^;)

 本屋に行って整備関係の本をあさるが、仕組みについては解説した物はあるが、オーバーホールについて詳しく書かれた物は見あたらない。半ば諦めかけていた頃、部品が出るらしいとうい情報を入手した(と言っても、部品があるから直せるとは限らないが…)。早速、4JB1のパーツカタログを見ると、確かに品番が載っている。漏れの場所からいって、ポンプボディーと上蓋のシールらしい。「シールだけなら簡単だ! よっしゃ! よっしゃ!」 早速、シールの部品を発注する。(^o^)

 しかし、これだけでは情報が不足している。パーツカタログには全体的な分解図しか出ていないので、オーバーホールの手順が分からない。ポンプの心臓部、プランジャーはポンプボディーの下の方にあるし、それをコントロールするガバナーとコントロールレバーは、何らかの方法で繋がっているハズだ。それに、ガバナーにはテンションスプリングが組み込まれており、バラした後、上手く組めるかが問題だ。そうは言っても、やってみないと話は進まないので、次の休みにトライすることにする。


1.まず最初に、ポンプ回りを洗い良く乾かす。左フロントをジャッキアップし、タイヤ、インナーフェンダーのカバー(ゴムのビラビラしたヤツ)、EGRのバキュームホースやアクセルワイヤーなど、不要な物を外す。これで準備OK!。

2.ポンプ本体を、エンジンから外してやるのが正しいやり方だと思うが、タイミングベルトを外したり、噴射タイミングを調整したりするのが大変なのでエンジンに乗せたまま作業する事にする。
 ポンプ上蓋のヘキサゴンのボルトは、燃料パイプやスロットルポジションセンサ(みたなヤツ)、マイクロスイッチ(EGR制御用か?)等で隠れている。これらを全て外さないとボルトの頭が出て来ない。インマニが邪魔してかなり狭い。これらを慎重に外し、マイクロスイッチのネジを緩めると(2本)、ナットの代わりに入っていたプレートがポロッと落ちてきた。
マ・マズイ。(・ ・;)
 ここは、ど〜やっても手が入らない。う〜ん…。後で考えることにしよう。先に進む。

3.ブーコンシャフト関連はそのままにして(外さなくて大丈夫だと勝手に判断した)、ポンプ上蓋のヘキサゴンのボルトを緩める。かなり堅い。スモークセット・スクリューは、スプリングのテンションがかかっているので外さなければならないが、燃調が狂うのでそのままにした。

4.ボルトを緩めると燃料が漏れてくる。上蓋を軽く持ち上げると、やはり何かでつながっている様子。タイヤハウスに頭を突っ込んで、上蓋を少し斜めにしてよく観察する。バッチッ!っといって上蓋が外れた。なんとなく、かなりマズイ。(・ ・;;)

5.ポンプ本体には、プランジャーやガバナー関係が見える。上蓋には、コントロールレバーと一緒にガバナスプリング、スモークセットスクリューが付いてきた。簡単な構造だ。分解図にはない部品も付いている。案の定、シール(ゴムパッキン)は潰れて堅くなっている。


6.ここで焦って組むとロクな事はない。素人整備はテクや道具が無い代わり、時間はいっぱいあるのだ。BOSS +1 を飲んで一休みする。


7.まず最初に、マイクロスイッチを止めているプレートを如何にして止めるかを考える。ここはやはり瞬間接着剤の登場だ! もと付いていた場所と思われる位置をマーキングし、よく脱脂した後プレートを点付けする。

8.次に、上蓋のシールを交換し、組み付ける手順を考える。ガバナスプリングのシャフトにガバナの穴を上手く通さなければいけないが、プラプラしている上、スモークセット・スクリューのスプリングのテンションが強くて上手く入らない。更に、ポンプ本体がエンジンに付いているため、見ながら作業ができない。
 精密ドライバーを使って、スプリングを押しておき、そぉ〜っと、一気にはめ込むが上手く入らない。

        
・・・ 30分格闘 ・・・ (* *;)

 しかたがないのでスモークセット・スクリューを外し、細くて丈夫なひもでコントロールレバーを固定した上で、ガバナスプリングのシャフトにひもを引っかけ、引っ張りながらはめ込む。これは手応えがあった。上手くはまっている様なので、ひもを外し上蓋を止める。

9.スロットルの動きを確認し、噛み込み等が無いかを確認する。後は逆の手順で組み付ける。スモークセット・スクリューは、外した際のネジ山の位置を覚えておくこと。

10.エンジンをかける。ブォ〜ン! ブォ〜ン!。 お〜! ばっちり! ばっちり!。
試走して最終確認する。う〜ん。カンペキ。燃料漏れもない。\(^○^)/

11.これだけだと面白くないので、スモークセット・スクリューをいじったついでに燃調を少し薄めにセットした。
 実は、だいぶ前から気になっていたのだが、黒煙がだんだんと多くなってきたようだ。ノズルは磨耗やカーボン等により燃料がきれいに気化されなくなっているとは思うが、それにしても、燃調が濃くなっているようだ。ディーゼルエンジンの特徴だろうか? ついでに、私の調整(?)方法を紹介しておく。


12.ディーゼルエンジンのパワーは、「如何に多くの燃料を燃やすか」で決まる様だ。当然、燃料に見合った分の空気も必要になるが、ガソリンエンジンほど空燃比にこだわる必要はないらしい。(空気が足りないと、黒煙が多くなる)
 以前にも書いたとおり、マフラー、エアクリーナーを交換し、暖気バルブ関係は抵抗になるのでとっぱらう。EGRも当然カットしておく。この状態で、市販のブーコンシャフトに交換しても、そこそこのパワーは出るようだが、ブーコンシャフトはブーストが上がってからの燃料増量になるので、アクセル踏み初めの一発目を考えた場合、基準噴射量と噴射タイミングを調整する。


13.基準噴射量は、スモークセット・スクリューを調整する。1/4〜3/4くらいだろうか? あまりやりすぎると、黒煙が多くなる。

14.噴射タイミングは、ポンプをエンジンに止めているネジを緩め、ポンプを回せば調整できる。UBS55の場合、RとSで1度ちがう。もっと早くしたい場合は、タイミングカバーを外しタイミングベルトのコマを進める。但し、上を伸びを良くすれば下のトルクがなくなるのでバランスが重要だ。

15.ブーコンシャフトから、シャフトの移動量を規制しているカラーをとっぱらう。これでシャフトがめいっぱい移動できるようになった。(これだけで、上の方はかなり増量になる)

16.次が難しい。ブーストがかかった時の燃料増量はブーコンシャフトの削れ具合で決まるのでブーコンシャフトを削るのだが、フルブーストでブーコンシャフトがフルストロークするように調整しながら削る。ブーコンシャフトの沈み具合は、スプリングの強さとブーストのバランスで決まる。ここでやっかいなのが、燃料の量によって、ブーストが変わってしまう点。(この時点で既にブーストは上がっているハズ)
 できれば、ブースト0kg/cm2〜1.1kg/cm2くらいまでで、ブーコンシャフトがフルストロークする様にスプリングを調整しておき、これに合わせて削る方が理想的。ここはズバリ、中から上の方を削る。要は、下の方はスモークセット・スクリューで調整し、それ以外はブーコンシャフトで調整するって寸法だ。削り方によって、黒煙の出方がかなり変わるので、何本か予備を用意しカット&トライだ!(黒煙は出さないようにね〜!)


17.最後に、コントロールレバーのリミッター・スクリューを調整するするのだが、ディーゼルの場合、ガソリン以上にオーバーレブは禁物だ。ピストン・スピードが早くなると、ピストンやコンロッド等が慣性に耐えられなくなってしまう。(慣性エネルギーは速度の2乗) 私は、これについてはあまりいじらない。

18.ついでに、謎のマグネット・パワーを付けると黒煙も薄くなってGood! Good! ま、これについてはそのうち…。

 以上のチューニングには、ブースト計は必須。本当は、排気温計もあると良いんだろうけど、けっこう高いんだよネ。ま、素人のイカサマ・チューニングだから・・・。
 注意する点としては、あまりやりすぎないように。黒煙は、燃料と空気の量によって決まるので、下の方を優先すると、どうしても黒煙が多くなってしまう(上の方を増やす分には走っているから目立たない)。耐久性もなくなるしね。


 以上の仕様で20万キロ以上走破しているが、黒煙と振動は多くなったもののエンジン自体には大きなトラブルもなく快調に動作している。燃費も、街中で気持ちよく走って7Km/L〜8Km/L、郊外で10Km/L程度だ。エンジンの吹け上がりもGood! Good!。オイル交換こそ3000km毎にちゃんとやっているが、それ以外は割とい〜加減。オルタネーターに至っては1回もオーバーホールしていない。(ラジエータは現在水漏れ中)
 こうしてみるとイスズの直噴ディーゼルって優秀なエンジンだと思う。確か生産量は世界一だったかな? ガバッとアクセルを踏んだときのトルク感・レスポンスは直噴ならでは。4JG2になって直噴ではなくなってしまったが、やっぱりイスズのディーゼルは直噴だ! 是非、排ガスをクリアして直噴を復活させてほしいと思う。


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