あんずとつばめの不満箱 こ のページでは、私があんずとつばめ(あんつば)を連れていて、言われたり耳にする困った発言、また思い出に残る笑い話を列挙してみたいと思います。「不満 箱」ならぬ「愚痴り箱」とでも思ってください。言っているほうに悪気はないのでしょうが(あったら許さんぞ)、こちらの虫の居所が悪いときはひどく腹が立 つこともあります。類似表現は( )内に書いてみました。
01:「すげー、でけー、こえー」
02:「あの黒いやつと茶色いやつ」
03:「みてごらん、あれはね、ハスキーだよ」
04:「盲導犬の、あの犬ですね」
05:「あれは(黒い)セントバーナードよ」
06:「ハイジの犬」「フランダースの犬」
07:「かむから気をつけて」
08:「この犬かみますか?」
09:「ハッピーと太郎」事件
10:「こんなに/あんなに大きくなっちゃうんだ」
11:「わん、わん、わん!」
12:「おすわりできるかなー、できないのかなー、どうかなー・・・」
01:「すげー、でけー、こえー」(「すげーな」、「チョーでかくない?」「おー、こえっ」など)
A: 若い男性に多いパターンで、ときどき高校生くらいの女性もこう言います。あんずだけのときは言われたことはなかったのですが、つばめを連れて歩くように なってからはよく耳にするようになりました。特に私は身長が低いのでそう見えるでしょうし、確かにつばめは小さかないです、はい。要するに話し方の問題で すね。もちろんこうも言われます。「うあー、すごいねぇ、大きいワンちゃん」これなら言われても不快ではありません。人が着ている服や持ち物について、相 手に聞こえるような声でいろいろ言う人はまずいません。でも連れている犬になら平気でこういう言い方をするのです。日常的に耳にするので慣れてはいます が、ちょっとうんざりします。ただ、ときたま「すげー、でけー」の後に、「かっこいー」というオチがつく場合もあって、これは許してさしあげます。02:「あの黒いやつと茶色いやつ」(「黒いの」「でっかいほう」など)
A: どうしてもつばめのほうが目立つので、つばめのことをさして言われることが多いですね。犬は確かに人間ではありませんが、物でもありません。それに飼い主 が連れているのですからこういう言い方はないでしょう。「あの黒いほうの犬」とか「大きいほう」ならOKですよね。以前、やはりバーニーズを飼っている 60代の男性が自分の部下らしき人に向かって「うちにもこいつと同じやつがいるんだっ」と言っているのを聞いたことがあります。がっかりしました。その他 に、「おれは茶色いほうが好きだけど、おまえは?」って、人んちの犬で比べるな!03:「みてごらん、あれはね、ハスキーだよ」
A: もうずいぶん前につれあいがあんずを連れているとき、通りの向こう側で父親が小さな息子に教え諭すようにこう言っていたそうです。たぶん、一度ハスキーが 大ブームだったので、「大きめの犬=ハスキー」と覚えていたのでしょうか。父親の自信ある偽りがその後息子にどう影響したか・・・。04:「盲導犬の、あの犬ですね」(「あっ、ゴン太だ」)
A: あんずは仔犬のときはとくに毛が短かったので、よくイエローラブに間違われました。飾り毛が出てきてからも、全体に毛が短めでつるっとしているのでラブだ と言われました。その極めつけが、CMでおなじみの「ゴン太」だったのです(ちなみに、本物のゴン太もメスが演じているそうです)。この場合、話している 相手が自分の間違いをすぐに認めれば話はすっきりと終わるのですが、ときどき次のような変な会話に陥ることがあります。相手(自信ありげに)「これ、盲導犬の犬ですよね」
私「(おっ、きたな)いいえ、それはラブラドールですね。この子はゴールデンです」
相手(不思議そうな顔で)「あの盲導犬のとは違うんですか?」
私「(ちょっとややこしくなってきた)ゴールデンの盲導犬もいますけど、ラブとは違いますね。ゴールデンは毛が長いですから」
相手(考えながら)「あー、毛が長い・・・。そう言えば、黒い毛の犬もいますよね」(これなら知ってる、という感じで)
私「(だんだんずれてきたな)えーっと、それはゴールデンじゃなくて、フラット・コーテッドですね。ゴールデンと感じは似てますけど、ゴールデンに黒はいないです」
相手(とうとう観念して)「あー、あれはゴールデンじゃないんですか、違うんですね」
・・・操縦不能・・・一体何のことを話していたのやら分からなくなってしまうことがあります。
05:「あれは(黒い)セントバーナードよ」(雪山で救助する犬、ボーダーコリー、雑種など)
A: つばめの場合は、やっぱりセントバーナードが一番多いですね。でも、まあこの間違いは理解できます。厳密に言うと、セントバーナードは本当の意味での超大 型犬で、黒い毛色はありません。すれ違いざま、自信たっぷりに、「ほら、今の、セントバーナードだ」と断言されると、ずっこけそうになります。タイミング さえ合えば振り返って、「違います。バーニーズです」と訂正しておきます。大抵相手は私がことばを返したことにひどく驚きます。自分の発言が聞こえていな いとでも思っているのでしょうか。ボーダーコリーは、ちょっと色が似ていなくもないので、まあ分かります。一番おかしかったのは、あるイベントで、つばめ と一緒に囲いの中のあひるを見ているときでした。私の隣から二人くらい離れたところで男性がつばめをじーっと見つめ、不思議そうな顔をした後に、本当に小 さな声で、「あれは、なんの雑種だろう」とつぶやいたのです。友人もその男性の隣でこれを聞いていました。その人がじっくりつばめを観察した後にようやく 思い至ったのがこの結論だったので、友人と目を合わせるなりくすくすと笑ってしまいました。06:「ハイジの犬」、「フランダースの犬」(パトラッシュ、アニメの犬など)
A: 「ハイジの犬」は、『アルプスの少女ハイジ』の「ヨーゼフ」、「パトラッシュ」は『フランダースの犬』に出てくる犬のことですね。前者は一応セントバー ナードらしいのですが、どちらにしても当たらずとも遠からず、いえ、近からず当たらずですね。アニメーションで見る限り、どちらもからだの大きさだけはだ いたい当たっていますが。
「フランダースの犬」については、かなりややこしいんです。アニメのパトラッシュにならまあ似ていると言えるかもしれないけれど、本当の「フランダースの 犬」には似ていません。フランダースの犬は、正式には"Bouvier des Flandres(ブヴィエ・デ・フランドル)"と言います。短く言って「ブヴィエ」、普通「ブービエ」と呼ばれています。日本ではまだまだ珍しい犬種で す。全体にもじゃもじゃした毛で、口ヒゲがあって、断尾しています。黒い毛色ならジャイアント・シュナウザーに似ています。ということで、バーニーズとは 全然違います。おそらく、ブービエの飼い主さんたちもアニメの「フランダースの犬」との違いに説明に困っていると思います。お察しします。07:「かむから気をつけて」(「ほら、かまれちゃうよ」など)
A: 母親がこどもを連れていることが多いので、これは女性の発言に多いのですが、こちらにも充分聞こえる声でこう言う人たちがいます。これを聞いたときの腹立 たしさはことばでは説明できません。犬が嫌いでこどもに近づかせたくないのなら、「ワンちゃんが来ているからこっちにおいで」と言えば済むでしょうに。こ ういうことばを聞いて育つこどもが、「犬=かむ」と刷り込まれてしまって、理由なしに犬嫌いになることを想像すると気がめいります。その人にしてみれば、 過去に嫌な思いがあるのかもしれませんが、だからといって、目の前でこう言ってもいいとはならないですよね。一番腹が立つのは、まず女の子が「きゃー、い ぬぅー、こわーい!」とかわい子ぶりっ子で言った後に、母親の「かまれるよ」が続くと、「よーし、あんつば、食っちゃえ」と嫌味のひとつでも言ってやりた くなります。08:「この犬かみますか?」(「この犬大丈夫ですか?」)
A: 07のバリエーションのひとつですが、これは私に直接、それもまじめに聞いてくる質問です。「この犬かみますか?」とは、なんとストレートな言い方なんで しょう。でも、この質問をする人は、あんつばがかむかどうかを聞きたいのではなくて、もしかまないのなら触りたいという意味で使っています。それなら、 「この犬に触ってもいいですか?」じゃーないですかい?だって、例えば相手が信頼できる人かどうかを知りたいときに、「あなたうそつきですか?」とは聞か ないでしょうに。09:「ハッピーと太郎」事件→類似事件はこちら(「どうぶつ日誌:2003年01月26日)
A: ある日、線路の工事をしているところを通りかかりました。数人の作業服姿の若い男性がちょうど線路脇からぞろぞろ道に出てきたところでした。予想通りその 中の一人が、「おい、見てみろよぉ、すっげーぇー、でけーぇー」と言いました。ここらへんは慣れているのでぐっと我慢。男性の一群を背に、気にせずずんず ん歩きました。その後も男性はなにかいろいろとコメントを付け加えていたように覚えているのですが、そのうち、「あれさー、なんかハッピーと太郎って感じ じゃねぇ?」と笑いながら言ったのです。「ハッピーと太郎だって??人の犬に勝手に名前をつけやがって」(ことば使いが悪くてすみません。もちろん心の中 のことばです)。そう、お察しのとおり、そのとき私は虫の居所が悪かったのです。
私は突然立ち止まって振り返り、「そういうこと言うのって、失礼じゃないですか!」と一喝。きびすを返して再びすたすた歩き出しました。その男性は恥ずか しさもあいまってか、「ありっ、オレ、怒られちった?!」と悪びれるふうもなく軽薄に言いました。このときは、私はもうはらわたが煮えくりかえるほど怒っ ていて、頭の中では、「おい、見てみろよぉ、すっげーぇー、でっけーぇー」、「あれさー、なんかハッピーと太郎って感じだよなぁ」、「そういうこと言う のって、失礼じゃないですか!」、「ありっ、オレ、怒られちった?!」ということばが何度もこだましていました。
それがなぜだかよく分からないのですが、突如、どちらがハッピーでどちらが太郎なんだろうと疑問に思ったのです。しばし考えた後、たぶん、うす茶色で穏や かそうなあんずがハッピー、黒くて元気いっぱいの大きなつばめが太郎に違いない、ということは、あんずはメスのハッピー、つばめがオスの太郎。なるほど。 ここまできて、さっきまでの怒りが一気に飛んでいきました。もうおかしくておかしくて。でも大声で笑うわけにもいきません。私の背後では、私に制裁を受け て沈黙を続ける男性の一団が声をひそめて静かに歩いているはずです。それを思うとまたおかしさがこみ上げてきました。まさか、再び振り返って、「あなたの 言うとおり。確かにハッピーと太郎って感じですよ。ははは・・・」と共感したところで、きっと奇妙な感じになったことでしょう。しかたなく、私は堂々と歩 きつづけながら、気づかれないように肩を震わせて笑いました。確かに男性の一連の態度とことばは無神経なものでしたが、その男性の命名が、よくよく考える ととても的を射ていたので、その落差がなんともおかしかった、という笑い話です。10:「こんなに/あんなに大きくなっちゃうんだ」
A: 「バーニーズって大きくなる犬なんですね」ではありません。「仔犬のころはこんなに小さくてかわいいのに、ここまで大きくなるんじゃぁちょっとね え・・・」という言外の意味を含んだ言い方です。これは、ペットショップなどでバーニーズの仔犬とつばめとを比べるときによく耳にします。通りすがりの人 が言う場合は聞き流しますが、楽しくいろんな話をしているときに、相手からため息まじりにこう言われると、突然怒りが込みあげてきます。そういうときは、 満面の笑みを浮かべながら、「『こんなに大きくなっちゃう』から飼うんですよぉ〜」と言うことにしています。たいてい相手は自分が言ったことばの意味には たと気づいて、気まずそうにその場を去りますね。撃沈。11:「わん、わん、わん!」(犬の鳴きまね)
A: 子どもなら分かりますよね。それが案外子どもはこう言わないのです。たいていは、高校生くらいの男の子から上は50代くらいまでの男性です。要するに犬を からかいつつも、私をからかってもいるのです。そういえば、口笛を吹かれることもありますね。本人は犬に合図をしているつもりかもしれませんが、言われる ほうとしては気分のいいものではありません。もし私が体格のいいがっしりした男だったら絶対言われないなと思います。ちなみにつれあいに聞いてみたとこ ろ、一度もこうした経験はないそうです。12:「おすわりできるかなー、できないのかなー、どうかなー、できるかなー、さあどうかなー、あれぇー?できないのかなー(以下、略)」
A: これはまだあんずしかいなかったころのお話です。私がスーパーから出てきて、待っていたご褒美をやろうと、あんずに「おすわり」させようとしているときで した。あんずはコマンドには正確に反応するのですが、なにせ遅い。それでこのときは「おすわり」を言ってからもぼーっと立ったまま、へろへろ笑っていたの です。すると、近くで見ていた50代くらいの女性が上のようなことを言い始めたのです。こういうふうに言われることはたまにはありますから、私は初め気に とめずにいました。だって、まさかエンドレステープのようにずーっと続くとは思いませんでしたから。そしてもう一度、「あんず、おすわり」とコマンドを出 しました。それでもあんずは、そのときはなんだかへろへろへろへろ笑っていて、一向に座ろうとしませんでした。その間もずっと、その女性の「おすわりでき ないのかなー?さー、どーかなー?できるかなー?ママの言うこと聞けるかなー?おすわりどうかなー。できないのかなー・・・」が続いていました。聞いてい る私はだんだんいらいらしてきました(気分としては「そこのあんた、静かにせい」と叫びたかった)。結局あんずはそれからすぐにおすわりしましたが、この 女性は一体何者だったんでしょうか??もしみなさんが、飼い主が犬にコマンドを出しているのを見たら、ぜひ静かに見守っていてくださいね。― 怒りの鉄けんパンチと笑い話は続く ―
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