![]() |
SKI RESORT DATA |
![]() ![]() ![]() |
|
![]() ![]() ![]() |
MAXは途中停車が多いので、3時間半かかって午後2時すぎに終点の盛岡駅へすべりこんだ。改札口で見覚えのある顔が待っていた。その顔の下に、ひとまわり小さい顔がふたつ。
S先輩に奥様のYさん、それに小学校2年生のこうたくんと1年生のゆりちゃんと、家族総出でのお出迎えだ。先輩のセレナに乗り込み、S家を目指す。
築1年の二世帯住宅であるS家は、駅から10分とかからない便利な場所にあって、とても快適だった。リビングも広々としていて、先輩の懐の深さと岩手の雄大さを象徴するかのようだ。
子どもふたりは、私の持っているデジカメに興味津々のよう。ちょっと操作を教えてあげたら、直後にはもう使いこなしていた。子どもはのみこみが早いというが、この子たちは特に頭の回転が早い。
ひと休みしたあとで、以前先輩がたの挙式の際にお招きいただいたダンナが盛岡市内を観光して歩いた思い出の道をたどってみることに。
したくをしていると、外がにわかに騒がしくなった。サイレンと「カンカンカン」の音がすぐ近くに聞こえる。
「近くで火事だよ〜!」家人も外に見にいっているらしい。
と、なぜか消防車がS先輩宅のまん前に移動してきた。えっ、裏の家が火事っ?!
新築なのに、延焼したらたいへんだあ〜!!!
![]() 不謹慎やな〜 |
消防士を案内していたのは、先輩のお母上。父上といっしょに、ひと足早いお墓まいりをしてきたらこの騒ぎで、さぞびっくりされたことだろう。私たちもちょうど出かけようしていた矢先で、足止めをくうことになってしまった。
目の前できびきびと動き回っている消防士さんたち。現場で見るのはもちろん初めてだ。
お願いですから、消してくださいね〜。どこで嗅ぎつけたのか、記者らしい男性が家の前でカメラのシャッターを切っているしなぁ…。
しかし、どうも様子が変。消防士さんたちも、片付けはじめている。よく聞いてみたら、誤報だったらしい。よかった〜。
気を取り直して、 まずは、車で「報恩寺」という、五百羅漢で有名な寺に向かった。
雨がときどき降っているが、傘はいらない程度。けれども、木陰が多いので雪がかなり溶け残っていて、羅漢堂に足を踏み入れるとしんしんと冷える。
思い思いの表情やポーズをしている、なんともユーモラスな羅漢像がぐるりの壁にぎっしりと並んでいて、圧巻。今にも立ち上がらんとしているものや、マルコポーロやフビライ像と言い伝えられているものもあって、なかなか楽しめた。
つぎに、報恩寺からほど近い「三ツ石神社」へ。ここの境内には、岩手県の名前の由来ともなった、鬼の手形が残るという巨岩がまつられていることで有名とのこと。
「昔この地方に羅刹(ラセツ)という鬼が住んでいて付近の住民をなやまし旅人をおどしていました。そこで人々は三ツ石の神にお祈りをして鬼を捕らえてもらい境内にある巨大な三ツ石に縛りつけました。鬼は二度と悪さをしないし、また二度とこの地方にはやってこないことを誓ったので約束のしるしとして三ツ石に手形を押させて逃がしてやりました。
この岩に手形を押したことが「岩手」の県名の起源といわれ、また鬼が再びこないことを誓ったのでこの地方を「不来方(こずかた)」と呼ぶようになったと伝えられています。
鬼の退散を喜んだ住民たちは幾日も幾日も踊り、神さまに感謝のまごころを捧げました。この踊りが「さんさ踊り」の起源といわれています。(境内にあった石碑より)
」
これが、三ツ石と鬼の手形の伝説ということだが、この中になんと岩手の民話・伝承の3つの由来がひそんでいた。でも、手形はどこなんだよう〜。印でも付けといてくれないとわかんないぞお。
![]() 啄木の歌碑 |
最後に、盛岡の中心、「不来方城」の名で知られる盛岡岩手城跡へ。
およそ400年前に、南部藩の領主が築城したもので、現在では石垣と水堀が残るのみ、市民の憩いの場「岩手公園」となっている。
石川啄木が「不来方の お城の草に寝ころびて 空に吸はれし十五の心」 (『一握の砂』)と詠んだことでも有名。(いや〜すっかり観光案内までしちまったぜ)
夜はお寿司でのおもてなしをいただき、すっかりリラックス。翌日の早起きに備え、早く寝ておけばいいのに、その晩は遅くまで話がはずんでしまったのだった。
![]() ![]() ![]() |
2日目、いよいよスキーである。きのうの計画では、県外からの客で混みあう超メジャーどころ、「安比高原スキー場」に行く予定にしていた。7時に出発し、途中コンビニで食料を調達して、車中食しながらスキー場エリアへ向かった。
それにしても、この強風はなに? いろいろなものが、道路に飛び散っているし、ちょっと車外に出ると突風で髪が乱される。
「これじゃ、安比のゴンドラは止まってるな〜」 先輩の予想は的中。携帯で問い合わせたら、やはり止まっているという。ショック。
「リフトをちまちま乗り継いでは、安比のダイナミックさは味わえないから」という先輩の主張により、ほかを狙うことに。近くには、良好なゲレンデが目白押しなのだ。天気はいいのになあ、と少し残念な気もしたが、あきらめることに。
ワールドカップの開催などで有名な老舗「雫石」も魅力だったが、そちらももともと風が強いことが多いゲレンデ。やはりゴンドラは止まっている可能性が高い。先輩の情報では、風の影響が少なく、穴場だという「下倉」に行ってみようかという話も出ていた。あるいは、八幡平リゾートか…。
すると、子どもたちが口をそろえていいだした。「リゾートがいい〜!」
「八幡平リゾートスキー場」は、50%が初級者コースという、ファミリー向けの穏やかなゲレンデで、残念なことに今シーズンでクローズするという。今シーズンスキーをはじめたばかりという子どもたちを連れて、先輩がたは安比・雫石・八幡平リゾートとひととおり滑ってみたけれど、子どもたちはやはり恐いコースのないこのスキー場がお好みのようである。
鶴の一声で、一路八幡平リゾートへ。 ふたりとも急にやる気を出して、もう後ろのシートで着替えはじめたりしている。
風は強いが、そのおかげで雲がきれいに吹き飛ばされて、空が抜けるように青い。道中、この地方の守り神である岩手山の雄大な姿がくっきりと見えた。十数年前に訪れたことのあるダンナも、その間一度も見えなかったのに、といって感激している。岩手山をぐるりと巡るようにのびる道すがら、食い入るように眺めていた。安比高原のコースもよく見えていた。
その岩手山の裾野に広がるのが、八幡平リゾートスキー場である。山岳ツアースキーで名高い「八幡平スキー場」とは別物だ。この地は、温泉地としても有名らしい。
![]() ![]() ![]() |
問題は、リフトが営業しているかどうかだ。駐車場は案の定ガラガラ。入口のすぐ目の前に車を停め、確認したらメインのリフトのみ動いているという。小規模なゲレンデなので、メインさえ動いていればほぼ全山網羅できる。きょうはこのコンディションで滑れるだけでも恩の字だ。
これから帰ろうとしている人から、大人用リフト券を1枚2,000円で譲ってもらうことができてオトク感も倍増。私たち以外に客の姿もほとんどない。
![]() ひろびろとしたコース |
さっそくクワッドに乗り、真ん中のコースを軽くならしてみる。
まったくストレスのない、なだらかで広めのコース。景色も最高。
ただ、まだ早い時間なので、雪面がやや固まっている。アイスバーンというほどではないのだが、板から足に振動がモロ伝わってきて、ちょっとシンドイかな。
お兄ちゃんのこうたくんは軽快に飛ばしていったが、ゆりちゃんが少しものおじしているよう。なんでも、前回の安比で転んで3回転(w(゜o゜)wワオ!!)したのが尾を引いているそうな。
しかし、そんな心配も無用だった。数回繰り返しているうち、だんだん調子が出てきたのか、ダンナが全速力で追いかけても抜けないほどの猛スピードで飛ばすようになったのだ。
小さい子どもが滑るのを見ているとつくづく不思議だ。もんのすごい後傾姿勢なのに安定感バツグンで、直滑降でもゼンゼン平気。かといって、ふたりともちゃんとボーゲンでターンすることも、きれいに止まることもマスター済みなので、親も安心して放置しているという感じ。
なにしろ、ぶつかる人もいないくらいガラガラなので、どんな迷惑な滑りをしても許されそう。
元気バクハツな子どもたちをしり目に、大人のほうがお疲れ気味。
昼食では私たち夫婦がいつものペースで、ゆっくり飲んで、食べて…とやってると「ね〜、早くいこーよぉ」とせかされる始末。
午後になったら、急に人も増えて、雪も溶けてシャーベット状になってきたこともあり、早めに引き上げることにした。なにしろ、その後にはつぎなるお楽しみが控えていたのだから。
それは、ズバリ温泉。先ほども触れたとおり、この辺りにはいいお湯がそこここに湧き出ているのだ。岩手山の地下活動も活発化していて、噴火の危険性もあるというくらいだし。
S親子もいろいろな温泉に行ってみているらしい。とある温泉の話をしていたら、こうたくんが遠い目をしながら「あそこのゆはいいんだよなあ」としみじみ。愉快な子だなあ。
道々、先輩がおもしろい話を教えてくれた。
「岩手山と姫神山はむかし夫婦だったが、姫神山に飽きてしまった岩手山は、姫神山に自分の目の前から消えるようにいい、家来のオクリセンをつけ『もし明日の朝、あいつが俺の見えるところにいたら、おまえの首はないと思え』と命令した。ところが、翌朝目覚めると姫神はもとのままの場所にいたため、岩手山は火を吹いて怒り狂い、オクリセンの首を切り落とした」という。
両山のあいだにある送瀬山のてっぺんがスパっと水平に切ったように平らなのは、そのためだという。言われて探してみたけれど、その山がどれなのかよくわからなかった。…その後、岩手山は姫神山と離縁し、遠野の早池峰山と夫婦になったそうな。ちゃんちゃん。
岩手県にはほかにもいろいろな伝承や、見どころがあって、何回来ても飽き足らないだろうな。大好きな平泉もあるし。この地に生まれ育ち、今またしっかりと根を下ろしている先輩をとてもうらやましく感じた。
![]() 真ん中のとがった山が 姫神山 |
連れて行ってもらったのは、公営の「ユートランド姫神」という立ち寄り湯。右手に岩手山、左手に姫神山を望み、絶好のロケーション。利用料も500円と安い。
宿泊施設もあって、洋室2名で1泊2食付きで税込8,581円だそうだ。
男湯と女湯はその日によって替わるらしいが、その日の女湯は「あたり」だった。
ぐるりとガラス窓で囲まれた開放的な浴槽からは、岩手山がどーんと真っ正面に見えた!
露天風呂・寝湯・ジャグジー・サウナなどいろいろな設備もあって、大満足(もうひとつの方には、ミストサウナや打たせ湯があったらしい)。
ゆりちゃんはすっかりなついてくれて、私のあとをひょいひょいついてきておもしろい。
風呂上がりに湯冷ましにラムネなぞ飲んでごきげん。いよいよ、このあとは焼肉&冷麺かァ…くーっ楽しみ。
![]() ![]() ![]() |
いったん家に戻って出直し、駅前の「ぴょんぴょん舎」という焼肉屋に向かう。
気づいたら、ダンナだけが湯上がりそのままのトレパン姿で来てしまい「寒いよ〜」と言っている。
そんなことより焼肉、冷麺♪
店に入ると、焼肉屋とは思えないような、天井の高いこじゃれたつくり。レジのところに、ヘンな貼り紙がある。なになに…「冷麺で恋をして」。(ーー;)
もちろん、かの大瀧詠一大先生の「A面で恋をして」(懐かしすぎ)のパクリ。メロディーもそのまま、いわゆる替え歌なのだがなんとかヒットさせようと目論んでるらしい。がんばってください。
盛岡の冷麺というと、ここ数年の流行りだと思っていたが、そうではないらしい。もともと戦前から、このあたりは朝鮮系の移民が多かったところらしいのだ。
実は冷麺は初体験だった私たち。まずは、カルビとタン塩(このへんではふつう牛タンというらしい)・ロースあたりをオーダーし、乾杯。
子どもたちは早くも主食となる冷麺を注文し、おいしそうに食べている。
![]() ぴょんぴょん舎 |
冷麺をひと口もらってみたが、不思議な食感。小麦粉をグルテンの粘りが充分に出るまでこねたものを細長くしてゆでた麺で、半透明でゴムのようにコシが強いが、スルスルとしたのどごしが心地よい。
具は少なめで、チャーシューとキュウリ、それとなぜか梨が入っている(すいかになることもあるらしい)。
いちおう、どういうものかは聞いて想像はしていたが、思った以上にイケるではないか。付属のカクテキを好みの量入れて辛さを調節するらしいが、私は素のままのさっぱりしたスープのほうがおいしいと思った。
S先輩宅では、夏はこれをそうめんなどの代わりに食すことが多いという。
奥様のYさんが頼んだ石焼きビビンバも、少しもらって初めて口にした。たいしたもんじゃないだろうと思っていたが、おコゲがこんなにウマイとは! 流行るのも思い切りうなずける(遅いヤツ…)。
![]() ![]() ![]() |
スキーと焼肉ではしゃぎすぎた私たちは、イベントの予定のなかった最終日の朝は寝坊させていただいた。身じたくをすませると、S親子はもう朝ごはんの最中。Yさんの手料理がおいしかった。ほんとうに3日間、ご夫妻ともいろいろと手をつくしてくださり、感謝感謝である。
スキー板はきのうゲレンデから送ってしまったので、帰りは身軽である。あとは帰るだけだし、悪ノリをして、途中下車して平泉によろうか…などという話もあったが、あとがつらくなるのが目に見えているので、やめておいた。でも、もう少し岩手を堪能したいなあ。
そんな私たちを察してくれてか、シーズンオフの小岩井農場に行こうということになった。
天気が良ければ、広大な牧場の敷地から岩手山がよく見えるそうだ。
冬は牧草地が一面雪に覆われているので、牧場の一部のみ営業といったところか。残念ながらきょうは少し曇っていたので、岩手山はうっすらとしか見えなかった。きのう、よく見ておいてヨカッタ〜。
冬のメインイベントは羊とのふれあいらしい。「羊館」に入ると、柵の中にたくさんの羊を見ることができる。
ん? 向こうのほうで、なにかはじまったらしい。建物内を移動すると、イベント広場のようなものが作ってあって、羊の毛刈り実演の最中だった。はじめて見るが、おもしろいなあ。
羊クイズコーナーがあったりして、子羊へのほ乳体験、抱っこ体験と続く。
何回も来ているS先輩一家も、冬に来たのは初めてで、子どもたちも興奮している。
この羊イベントは、日祭日の、それもこの時間帯にしか催されていないらしく、この「時のめぐり合わせ」に気づいたこうたくんは「すごいぐうぜんだなあ」と感心している。
![]() 毛刈り実演 |
![]() ほ乳体験 |
![]() しゃしんをとろう |
興奮さめやらぬままに、蕎麦屋で昼食をとり、盛岡駅まで送っていただいた。
そして、惜しみつつお別れ。う〜ん、3日間、ほんとうにお世話になりました。おかげさまでとっても楽しく、思い出深い旅になりました。今度は、安比と乳頭温泉、行けたらいいなぁ(タメイキ)。