パルコール嬬恋スキーリゾート 2001.3

 

 

レギュラーツアー“パルコール”へ

前回の塩沢スキーでは、楽しかったのは事実。でも、2日ともピーカンで、雪はとけとけ。
(ホンット、人間ってワガママな生きものだよな…。滅亡するはずだよ)
やはりそうなると、極上のパウダーに還りたくなるのが、ヒトの常ってモンでしょう。
関東近郊にすむ者にとって、知る人ぞ知る、群馬県はそんなパウダースノーが気軽に楽しめるゲレンデが存在するエリアだ。

群馬や長野と新潟との県境にそびえ立つ山々に、日本海側からやってきた湿った空気がぶつかるせいで新潟側は豪雪となるが、重く湿った雪になりやすい。対して、群馬側には湿り気のおちた、乾いた雪だけが降るしくみになっている。“からっ風”や“赤城おろし”といったらカカア天下と並んで群馬名物の代表格だろう。
(このあたり、群馬を心の故郷と称する私にとっては力が入るところ)

万座温泉スキー場などは有名どころだが、意外と穴場なのが嬬恋エリア。エキスパートには物足りないかもしれないが、初・中級クラスのスキーヤーには手頃なゲレンデがそろっている。
今回私たち夫婦が訪れたのはその中の「パルコール嬬恋スキーリゾート」。ここは紀州鉄道グループ経営のあか抜けしたスキー場だが、秀逸なのが輸送力で、リフトがほとんどクワッドやゴンドラなどの高速タイプ、しかも中腹から上のエリアはフード付きと、至れり尽せりだ(それだけ標高が高く、寒いんであるが)。

この「パルコール」の隣りに「バラギ高原嬬恋スキー場」というのが並んでいて、実はこちらも初・中級者ののんびりスキーヤー御用達(どちらかというと、早くからスノボ滑走可としていたバラギはボーダー御用達といったほうが正しい)のゲレンデなのだ。相互滑り込みも可能だが、共通リフト券がないために気軽に全エリアをツアーできないのが残念。でも、このバラギが併設されていることも、実はパルコールの株をちょっぴり上げている要因なんである。

そんなわけで、私たちは毎年必ず1回は、このスキー場を訪れている。

ゲレンデ直結のホテル「パルコール嬬恋リゾートホテル」もなかなかお洒落。数年前まではお高くて手が出しにくかったのだが、この不景気で経営方針が変わってきたのか、昨年あたりから安いパックを提供しはじめた。
デラックスツイン1名分の宿泊料金は平日1泊2食(夕食はしゃぶしゃぶバイキングという限定−−最近、これが人手もかからずコストダウンできて客にも好評ということで、採用する宿が増えているみたい)で13,500円、リフト券はゴンドラ込みで1日分のみだが、宿泊客に限りもう1日分は2,500円で販売してくれるから、 合計で16,000円である。
出発の3日ほど前に予約を入れたのだが、今年はちょっとスキーの回数が多すぎることもあるし、少しでも予算を押さえるつもりで1,000円安いスタンダードツインにしようと思ったのだが、あいにく空きがないとのことで、例年どおり、デラックスツインの部屋を予約することになった。

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こんなはずでは…!

今回は誰にも気兼ねすることなく、ゆっくり起きた私たちは9時ごろに家を出た。
なぜなら、その日は朝から雨がしとしと降っていたからだった。
板を車の上に積んでいるので、雨というのは最悪。気分もウツ。
いつも通り浦所バイパスを走って、関越道に乗ってからも、周りにはスキーやスノボを積んでいる車など皆無。は〜あ、私たちって、これからどこ行くんでしょう。

ところが、関越道から分岐して、上信越道に乗り、横川に入るあたりから様子は一変。
雨が雪に変わりだしたのだ。
横川SAでぼ〜っと休憩していた私たちに、寝耳に水の情報が飛び込んできた。
「お〜い、通行止めだってよ!」 なんだってェ?! そりゃまずいぃ!!

しかし、よくよく聞いたら、私たちが高速を降りる予定の「碓氷軽井沢IC」から先の話らしい。
とりあえずは(^。^;)ホッとしたが、高速を降りたあとの一般道の状態が心配された。
なにせ、降りてすぐにまずひと山越え、軽井沢の街中を通り、そのあと浅間山の麓を抜ける「鬼押ハイウェイ」までの間にも峠道が待っている
雪がないときにはなんてことない道なのだが、とくに凍結したときの軽井沢の峠越えはきつい。
とにかく、早めに動こう。気合いを入れなおし、車に乗り込む。

案の定、ICを降りてからも渋滞していた。
みな、こんな雪に降られるとは思わずに軽い気持ちで来たらしいのがうかがえる。ノーマルタイヤでノーチェーンという車が目立つ。
「うちはスタッドレスだから安心だね」そんなことを言っていられたのは最初だけだった。

軽井沢までの峠はなんとか無事通過。
途中、前を走っていた観光バスがいきなり路肩に止まったのにはびっくりしたけど(のろのろだったからよかったが)。なにごとかと思えば、じさま2人が寒さの中アルコールでもきこしめされ、小さいほうをもよおしあそばされたらしい。その後、そのような光景をそこここで目にすることとなる。

北軽井沢にさしかかったあたりで、上り下りがはじまり、道幅も狭くなってきた。
どちらかというと、渋滞しているのは反対車線(上り方面)のほうらしかったが、前や後ろがグシャッと潰れた車が路肩に目立つようになってきて、ますます道をふさぐ形となり、反対車線との交換を難しくしていた。
中には、10台ほどの車が玉突きしたらしく、並んでいるのも目にした。パトカーも全部回るのにどれくらいかかるのだろう。今まで、こんなに多くの事故車両を目の当たりにしたことがあっただろうか。

しぜん、ハンドルを握るダンナも慎重になってくる。
そんなとき、恐れていたことが起こってしまった。カーブにさしかかったとき、反対車線から大型バスが大きくふくらむようにして迫ってきたため、確実にすれ違うため一旦停止せざるを得なかった。
これがいけなかった。次の瞬間、発進しようとしたマリノのタイヤが、むなしく空回りしていた。
スタックしてしまったのだ。
カーブしながら軽く上り坂になっていたため、このままでは後続車にぶつかってしまう。
一瞬、私たちの顔が恐怖で凍りついた。

ともかく、落ちついて落ちついて…自分に言いきかせながら、対処しようとするダンナ。
と、通りすがり(?)の親切な男性2人が、車を押してくれるらしい。
私も車を降り、3人で「せーの!」で押すと、なんとか動いてくれた。
しかし、このままではまたこういうことが起こらないとも限らない。ダンナの判断で、スタッドレスに付け替えて以来、一度も登場することのなかったチェーンを付けることになったのだった。

楽しいはずのスキー旅行が一転、恐怖のドライブに変わる。そんな自然の恐さを、改めて思い知った私たちだった。とにかく、無理をせず、明るいうちにホテルに入ることだけを考えよう。もう、スキーをしに行くなどという考えは頭から飛び去っていた、私たちなのだった。
(なんだか今回シリアスタッチ…)

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ゴンドラ3本、行けるか

その後、なんとか無事にホテルに到着したのは午後2時ごろ。
最初はそのあまりの疲労から、「もうスキーはいいやね」なんて言いあっていたが、チェックインして落ちつくと「せっかく着いたんだし、軽く滑ってみるか…」に変わる。
もうあと1〜2時間しかないし、1日券を使うというのはあまりにもムダに思えたが、いろいろと検討した結果、へたに回数券など買うよりはラクだし、明日もっとコンディションが悪くなることも考えられたので、パックに付いているゴンドラ1日券を使ってしまうことにした。
とにかく、これでゴンドラに3回乗れればモトが取れる計算だ。急げ!!(まったくこいつら…)

ここのホテルは、センスや設備面については悪くないのだが、建物の構造に文句をつけたい。
フロントからスキーロッカーへはすぐに移動できるのだが、そこからゲレンデに出るには狭い階段を昇らねばならない。しかも、客室からゲレンデ側のスキーセンター(レストランや、大浴場もある)に向かうにも必ず階段かエレベーターを昇り降りしなくてはならないのだ。これは結構めんどう。

こうして苦労してゲレンデに出て、ゴンドラに乗った。中腹あたりから風がかなり強くなってきて、ゴンドラが左右に揺れだした。これじゃ、いつ止まるかわからない。あと少し、がんばってくれぇ。
頂上に着いた私たちを待っていたのは、いつの間にか雪がやみ、穏やかな晴天のもと、下界に広がる素晴らしい眺望だった。
ああ…、ガンバってここまで来てよかった…。と思えた瞬間だった。
雪もとびきりのパウダースノー! 新雪が厚く降り積もったため、しばらくはコブになった中斜面が続いたが、板を乗せると軽く飛び散るくらいの柔らかさで、恐さはまったく感じない。
これは、あした圧雪されたあとが楽しみ…!

ここのゲレンデの隅から隅まで、知り尽くしているつもりの私たちだったが、改めて嬬恋の雪質の良さに感嘆。ボトムでさえ1,390m、トップに至っては2,100mの標高の高さはダテじゃない。
けれど、やはりあの慎重なドライブでかなり体力・気力を喪失していた私たち(とくにダンナ)は、きょうのところは無理をするのはやめておいた。といっても、ゴンドラはしっかり3回乗りましたよぉ。

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UFOキャッチャーでリベンジ?!

こちらのホテルにスキーパックで宿泊すると、ゴンドラリフト券1日分の引換券とともに「温水プール・ジャグジー無料券」「スカッシュコート20%割引券」「レンタル平日半額券」などなどのクーポンセットを一冊くれることになっている。いつもだったら迷わずプール&ジャグジーに入ってから、大浴場に向かうのだが、今年からパック料金が下がったせいもあってか、子連れファミリーでゲレンデも館内も混みあっていた(ここにしては、の話だが)。
それで、プールも混雑が予想されたため、あきらめることに。しかも、プールと大浴場とはかなり距離があるので、いったん完全に服に着替えて移動しなければならないのも面倒に思われた。

ゆっくり大浴場で疲れを落とし、時間の予約を入れておいたレストランへ。
前述のとおり、昨シーズン末からシステムが変わり、しゃぶしゃぶを中心としたバイキング形式になっている。
昨シーズンの3月末〜4月初めのクローズまでの期間、このスタイルで宿泊料を劇的に下げたら、お客さんがどっと詰めかけた。それで味をしめたのか、今シーズンからはレギュラー期間にも、このしゃぶしゃぶバイキングを基本として、ゆっくりコース形式でとりたいという客のみ1,000円増で小さ目のレストランへ案内するという方針に転換したらしい。
1月の舞子スキーでも書いたが、マイペースで食べられるので私たちはこのほうが都合がいい。
しゃぶしゃぶのお肉もまあまあだし、ツマミ系メニューも豊富にある(ただしお肉はおかわり分からレベルが急に下がる)。

動けないよう〜というほど食べてしまった私たちは、腹ごなしでもとゲームコーナーへ。
スキーで夫婦で宿泊したときには、UFOキャッチャーで数千円使ってしまうのが常なのである。
果たして今回も、昼間の鬱憤を晴らすかのごとく、キャッチャーに入れあげてしまった。子どもが横でやりたそうにしているが、そんなの構うこっちゃない!(……ダメ?(;°°))
今回の戦利品はこいつら。なかなかいいツラがまえでしょ?

モノトーンみっきー 伝染るんです…
すしあざらしジオラマ
←特にこれがおきにいり

 

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地吹雪、猛威をふるう

きのうの分まで、滑ってやると意気込んでいた2日目だったが、明け方からまたも降り出した雪がいよいよ激しくなっていた。
夕食の品揃えに予算のありったけを注ぎ込んでいると見え、一転サビしいメニューのバイキングで朝食をとり、様子を見たが雪は一向におさまる気配を見せない。 平日で空いてるのに惜しいなあ…!

ゴンドラ以外のリフトはほとんど運休になってしまっていた。この風ではいずれゴンドラも止まるだろう。
とりあえず、滑れるうちにとゴンドラに乗り込むが、コースを滑っていると突風で横に流されてしまう。やはりこの高地での雪は並大抵じゃなく、地吹雪となって荒れ狂っていて、寒い。
しかも、だんだん視界も悪くなってきて、いくらコースに慣れていても危険な感じ。雪質は最高なのに…ほんと悔しいよ〜。

体はウソをつけない。なんだかどっと疲れてしまった私たちは、たまらずお昼時間より早く、センターハウスのファーストフードレストランになだれこんだ。
ここは初めて入ったが、うどん・そばもあるし、空いていてゆっくりできてなかなかいいじゃん。
きのうの移動中の悪夢を思い起こすと、きょうもできるだけ早めに出発したほうがいい。夕方にさしかかり、道が凍結をはじめたらたいへんなことである。
「暗くなってから動いたら、最後だ(←矢野チャン風に読んで♪)」

そう話しているうちに、「悪天候のため、ゴンドラを停止いたします」のアナウンスが。これを潮時に、そのままあがることにした(それがなくてもあがるつもりだったんだけど)。
道具を片付けて、身軽になったところでいそいそと大浴場へ。実は午後2時からのオープンのところ、1時半ごろのぞきにいってみたら清掃も終わってスタンバイ状態。誰もいなかったのでそのまま入っちゃった。これオフレコね…(って世界規模?でばらしたりして)。

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悪夢ふたたび…

大雪とはいえ軽い雪質のおかげで、車の雪下ろしも難なくクリアし、午後2時にはホテルを出発。…しようとしたが、駐車場から出たとたん、霧のように視界をさえぎる地吹雪のせいで、ゲートがどこにあるのかわからない。ゲートを出ても、道幅はどれくらいあるのか、どのようなカーブを描いているのか、ぜんぜん見えない。
さーっ、と血の引いていく音が聞こえ(るような気がし)た。
カーナビを頼りにしながら、できるだけゆっくりと進んでいく。と、対向車のフォグランプが見えてきた。ここまで登ってきた車がいるということは、下はなんとか走れるんだろ〜な。

そうこうしているうち、急にウソみたいに視界が晴れた。
え?なんだったの今のは?! どうやら、標高が1,000mを超えているホテル付近では、ちょうど雲の層に入っていたようだ。しかも、ふもとの鹿沢口のところまでくると、雪もやんでいる。
もっとも凍結を恐れていた軽井沢に至っては、青空も見え、道路の雪はすっかり溶けていた。万一を考えて、昨日つけたチェーンは軽井沢の峠を越えるまではそのままにしていたが、なくてもスタッドレスで充分来られた感じだった。
軽井沢の街中に入ったあたりで、適当にきれいで広い駐車スペースを確保して、チェーンを外した(ありがとーよ)。

高速に乗ったときには心からほっとした。今回スキーは思う存分にはできなかったけど、無事に帰れるだけでもまあいいか、というのが偽らざる気持ちであった。


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