まずは、初滑りが大切よっ!
毎シーズン、初滑りの場所がカンジンである。
1本目でそのシーズンの計画が決まる、といっても過言ではない、うちの場合。
なぜって、数年前に、初滑りがさんざんの大雪だったとき、それですっかり意気消沈して、2月中はほとんど出かけなかった…ということがあったからだ。
結婚してから(つまりある程度歳をくってから)スキーをはじめた私としては、技術向上のためにスキーになにもかも入れあげて夢中になった時期は短く、したがってほとんど初級者の域を脱することもできず、あっという間に情熱が下降線をたどっていったのだった。
今も、もちろん冬の声を聞けば、「ああ早くゲレンデの感触を確かめてみたい!」 という衝動に駆られるし、自然を身近に感じながら滑るスキーというスポーツは大好きだし(まあ、その自然とやらは人間の乱開発のなれの果てという事実もあるのだが。とにかく、ゴルフというスポーツを環境破壊の申し子のように考えて批判しつづけていた私も、スキーをはじめてからなにも語る資格をなくしてしまったのは言うまでもないっす)、アフターも楽しみたい。だから、今年も、初滑りの候補を巡って夫婦で検討を重ねたのだった。
その結果、前シーズン初めて訪れてみて二人ともにけっこう気に入っていた舞子後楽園に行くことに決定。ホテルは、ちょっと贅沢だが、ゲレンデ内に建っていてこれ以上便利ということはないほど便利な舞子後楽園ホテル。確か前回は1泊2食付き21,000円で帰りまでのリフト券付き、という少々お高いパックだったのだが、調べてみたら1月のこの期間なら同じパックで18,000円。これは、ぜひこのチャンスに行くしかないとのことで、意見が一致した。
関越ごえ〜♪(笑)
そういうわけで、私たちはガンガンスキーヤーとは違うので、いつも出発時間は遅すぎるというほど遅い。今回も9時出発かと思いきや、意外と早く起きられたので8時には愛車のマリノで家を出た(それでも充分遅いっての)。
これがいけなかった。なにしろ、去年までは、二人とも会社勤めしていたから、当然出発日は土曜か日曜、9時出発だと逆にスキー出発ラッシュがすでにおさまったあとで、意外にスイスイ走れてアクセス時間も短縮されていた。ところが、今回は私が在宅になったということで、完全平日プラン、8時台はもちろん、通勤・営業ラッシュのまっただなかだった!
そんなこんなで、だいぶ時間をロスしてようやく関越にのり、赤城高原SAまでひと走りして休憩。
ここんとこ、関東の平地でも雪が降ったので、ここ群馬でもだいぶ雪が残っていた。
幸い、うちのマリノ君は去年スタッドレスを履き替えたばかりなので、平地の雪などはものともしない。
(ちなみに、マリノ君はふだんの走行距離が極端に少ないため、春夏秋冬を問わずスタッドレスを履いている)
体勢を整えて一路新潟へ向かう。さすがに、関越トンネルを目前に、積雪量がハンパではなくなってきた。トンネルを抜けると、湯沢エリアに突入。雪はけっこう激しく降っていて、スキー場銀座の湯沢で高速のみぎひだりに次々と現れるはずの各ゲレンデがよく見えない状態。昔よく滑った岩原(いわっぱら)なんか、どどーんと見えるはずなのに、よく目を凝らさないと確認できず。これは相当だ。
石打トンネルを抜けると、もうすぐ終点の塩沢石打ICだ。塩沢エリアにくると、いつも空間が広くなり、不思議と視界もよくなる。今回も、湯沢に比べて急に周りがよく見えるようになった。ICから舞子後楽園ゲレンデのアクセスは最高。1〜2分走ると、もうホテル入口に到着してしまった。
ここのホテルはほんとうにすばらしい。中に入ると、天井は高く、少し奥に入るとスキーロッカー、更衣室、レンタルカウンターなどがある。ゲレンデへはスキーロッカー前の階段を上るとすぐに出られるし、その脇には各部屋へと通じるエレベーターや、大浴場入口が並んでいる。
上越国際スキー場内のグリーンプラザ上越や苗場プリンスなど、ゲレ近でも左右に細長いホテルだと、ホテル内の移動だけでも疲れてしまうが、個性的な八角形の小ぢんまりとしたこのホテルではそういう気苦労もないし、建物自体新しくて部屋もなかなかカワイイ。
予算さえ許せば、毎年でも来たいと思えるホテルだ。
初滑り1日目〜ボリューム大のみそカツ丼
さて、ホテルの宣伝活動はこれくらいにして(笑)、フロントでリフト券を受け取り、着替えてさっそくゲレンデへ。
心配していた降雪はそれほどでもなく、まずは、足慣らしにホテルを出たところの「後楽園ゲレンデ」で数本滑ってみる。ご存知でない方のために解説すると、ここ舞子後楽園は大きく「後楽園ゲレンデ」「長峰バレイ」「奥添地ボウル」という三つのエリアで構成されていて、それぞれに印象のまったく違う個性的なゲレンデなのだ。「後楽園」はここの顔で、上越らしいひらけた、明るく、のんびりしたムードを感じさせてくれて、とてもリラックスできるエリアだ。去年初めてここに来てみて、それまで数年間、パウダースノーを求めて群馬エリアばかりで滑っていた私たちは思わず「あ〜、懐かしい!」と叫んでしまった。二人とも本格スキーデビューは前述の湯沢は岩原スキー場(正確には、ダンナは大学時代のサークルの合宿地であった、北志賀は小丸山スキー場が小デビューの地なのだが)だったので、初期の頃はよく上越エリアを利用していたのだった。
そんな「後楽園」でのんびりムードを楽しんでいたが、そろそろ昼食時間。それほど腹も減ってはいないけど、滑っては休憩、が私たちのいつものパターン。すぐに中腹のレストラン街?へ。
去年来たときに、「みそカツ丼」というメニューを食べて美味しかったので、迷わず「IIHO(イイホー)」という個人経営のレストラン(食堂か?)へ入る。またしても「みそカツ丼」を注文するが、量の多さを忘れていた。腹ペコ状態でもこれを食べきるのはなかなか大変というほどの量。最後の頃はちょっと気持ち悪かったかな? 食休みが長くなるのもいつものパターンだが、今日はとくべつ長いかも。
平日だから店内もガラガラ、店員サンたちも交代で滑っているみたいである。長居してもいいよね…。
テープルの傍らに、懐かしのサイン帳が置いてあったので、暇つぶしに読んでみる。
「1月○日。連れが大クラッシュして、白いゲレンデが一面赤く染まった」
「今日は一日雨。なにもすることないから、このレストランのメニューをすべて図解してみます」
……けっこう面白くて、はまる。小学生くらいの子が書いたのか、ドラえもんの似顔絵が数ページ続いて、ずっとめくっていったら、その裏に劇画調(ゴルゴ13みたいな)ドラえもんの絵が…! 夢壊すな〜! でもちょっとスキ。
後楽園も少し飽きてきたので、連絡リフトに乗って「長峰」エリアへ渡ってみる。今回は、私の坐骨神経痛が悪化していることもあるし、全体に「足慣らし」が基本コンセプトなので、初級者が無理するようなコースにはいかないと決めていた。でも、長峰の下のほうはだらだらとした緩斜面が続く。まったくの初心者が初めてゲレンデを経験するときや、私のような初級者が基本をチェックしながら滑るには最適のコースだけど、少しばかりもの足りなくなってきた。
「どうする?」「えーい、ゴンドラ乗っちゃえ!」ということで、ゴンドラに乗ってしまう。いやいや、ゴンドラ内は動く休憩室、らくちんらくちん。これに乗れば長峰バレイのトップまで一気にいけるのはもちろん、舞子後楽園の中でもひときわ異彩を放つ、静かで雪質も良い、隠れ家のような「奥添地ボウル」にもアクセスできるのだ。でも、もう午後3時くらいになっていたので、奥添地を滑るのはやめて、とりあえず長峰を1本降りてみることにする。
確か、去年滑ったときの記憶では、長峰は縦に長いエリアなのだが、トップから下のだらだらエリアに連絡する直前までは、けっこう厳しい中斜面の連続できつかった。もちろん、ある程度腕に覚えのあるスキーヤーにとっては、なんということもないのだろうが…。
ゴンドラを降り、おそるおそる滑りだす。左手にさすがに後楽園らしく、巨大なドーム型のレストランを見ながら、長峰連絡コースへ。迷わず「初級」と書かれた方角へ入る。中級コースを避けるための迂回コースだから、やはり幅が狭いうねうねコースが続く。ところどころで中級コースにも連絡していて、「思いきってチャレンジ」してみようという人は途中からそちらに抜けることもできる。果たしてダンナは途中でこのうねうねにうんざりし、中級の方へ針路変更してしまう。下で落ちあうことにして、私はそのままうねうね。カーブを一つ曲がったら、もう向こうにダンナの姿が。苦笑いする二人。(爆)
だんだん下のほうに近づくにつれ、迂回コースも幅が広くなってきて、滑りやすい。少し足がなれたので、明日は私も中級の方にそれてみようかな?なんて余裕も出てきて。今日はもうリフト終了時間も近いので、このへんにして、ひとまず後楽園ゲレンデへ戻っておしまいにした。
ナイター、滑るか否か
ホテルに戻り、チェックインして一休みのあと、大浴場へ。部屋に浴衣まであったけど、さすがに着ていく人はいないだろうと思ったら、数名いた。なんだ、浴衣にしとけばよかった…。ここは、一応は温泉らしい。露天風呂代わりの露天ジャグジーもあり、サウナもあり。洗い場もまあまあ広い。ゆうゆうと洗って、ひととおりのものは試してみる。
私、サウナって好きなの。街中にいてわざわざサウナに出かける…ということはないけど、こういうサウナ付きのところに泊まったら、必ず入る。たいてい狭いスペースだから知らない人と鉢合わせするとちょっと気まずかったりするけど、今はぜんぜん平気。サウナ上がりの冷水もたまらん。もともと、風呂上がりには水をかぶるか、水で絞ったタオルで体を拭かないと落ち着かないのだ。いつか、本場フィンランドのサウナも体験してみたいな。
部屋に戻って冷たいドリンクで一息。夕食に向かう。
バイキング形式で、とにかく品数が豊富。和食・中華・洋食が揃っているのはもちろん、しゃぶしゃぶ、カニ、そば…なんでもある。フルーツやケーキももちろんありまっせ。ダンナのように、夕食はビールを片手に、ツマミに毛が生えた程度のものをちょこちょこ食べていたい、という向きにはピッタリの形式なのらしい。
私も、ダンナのビールを一口もらい、あとは梅酒を頼み、ツマミにいろいろと物色しながら節操のない夕食をとる。
外を見ると、ナイターが始まっていた。思えば、去年ここで人生初のナイターを経験したのだ。それまでなにかナイターまでやろうという気力がなかったのだ。アイスバーンになっていそうとか、風呂入ってメシ喰って落ち着いてからわざわざ出るなんて…というのがあった。でも、去年やっぱりこのレストランから外を見ていて、なぜかどうしようもなく「滑ってみたい」気持ちになってしまったのだ。
夜になって、雪が本降りになってきたみたいだ。ちょっと迷うが、結局やっぱり滑ることにする。こういうとき、この舞子後楽園ホテルのパックはナイター込みなので気軽にナイターもできて便利。出てみたら、屋内で見ていたときの感じよりもひどい降りだった。滑っているときはそれほどでもないけど、リフトに乗っているときがつらい。向かい風だし、なぜか、昼よりもクワッドのスピードがのろのろ。これじゃ高速リフトじゃないだろう…(でも、高速にするともっとつらいかも)。
予想外のつらさで、去年ほどは楽しくなかったが、貧乏性のため、ナイターまで滑れて少し得した気分で満足する。なにしろ、シーズン1本目大雪…のときは、2日目は車の掘りだしのため、1回も滑らずに1日分のリフト券がまるまるムダになってしまったのだから…(そのときは2日券付きパック)。
明日は奥添地ボウルで滑ることを夢見つつ、早めにベッドに入ったのだった。
2日目、雪中行軍の巻
さて2日目の朝。窓を開けてみたら大荒れの景色が飛び込んできた。うげーー!!
「どうする?」「滑んないで帰ってもいいよ?」と、弱気になってまたもや相談。
結論は朝食後に出すことにして、レストランへ。朝食もバイキング。もちろん、品数は夕食ほどではない、標準的なメニュー。外はと見ると、リフトは一応、動いているけど、動いている人の影があまりない。またリフト券1日分ムダにするかなあ。
と、結論が出ないまま、部屋に戻る。
「…せっかく来たんだし、ひと滑りしてみてダメだったらすぐやめよう。どうせ、車も掘りにいくんだし、スキーウェア着てたほうがやりやすいだろう」ということで考えがまとまり、チェックアウトしてゲレンデに出てみた。ひゃー、前が見えないくらい降ってる。
ここで私が無謀とも思える提案をする(今考えても無謀だった)。「奥添地に行ってみたい」
なんでそんなこと言っちゃったのかなあ。昨日は、2日目の下調べのつもりでゴンドラに乗ったから、奥添地はちらっと横目に見ただけで、下山してしまった。それが心残りだったんだろう。それに、ひと山越えれば、少しは天候も違うかも…なんていう、甘いカンガエもかすめたことは否めない。
そのカンガエが「甘かった」ことはすぐに証明された。ゴンドラ降りたら、やっぱり吹雪に近い悪天候だった。
ドームレストランで、降りがおさまるのを待ちながら休憩することに。去年は1階の食堂チックなほうに入ったので、今回は2階で眺めのいい、洋食系レストランに入ってみた。
眺めのいいのは晴れているときだけです、念のため。つららだらけで見えやしません。
ケーキセットを食しながら、ぼーっと外を眺めていたけれど、いっこうにおさまる気配もない。やっぱり、今年は奥添地は諦めるしかないようだね。時間をムダにすることをやめて、下山しよう。さらに天候が悪化したら、ゴンドラのお兄さんに頼んで下りに乗せてもらわなくちゃならなくなるかも…。
と、ということで、意を決して外に出て、昨日と同じ長峰の迂回コースを下った。ゴーグルをしていたけれど、曇ってしまって1メートルくらい先もほとんど見えず。ひっじょーに危ない状態でなんとか下っていく。
雪中行軍って感じ(よくわかんないけど)。
わっわたしは、ここで死んでいくんだろうか…(おおげさ)。
もうヤケだ、ゴーグルを外してサングラスに切り替える。なんだ、よ〜く見えるじゃん!
さっきまでのジゴクへの一本道も、見えれば恐れるほどのもんじゃない。
さすがに中級コースに入ることはやめたけれど(かなりの深雪でコブっていることは必至)、後半からはスイスイ〜っと快適に飛ばしつつ、後楽園への連絡リフト(平行リフト)に到着した。
リフトは止まってた。
しばらく待たされて、やっと再開。これが動かなくなったら、自力でホテルまで帰れなくなるから、早めに下る判断をしてよかったとほっとする。
後楽園に入って、そのままホテルへ直行。心残りはなかった。
車の雪かきは油断禁物?
フロントで聞いて、雪かき道具を借りて駐車場へいくと、マリノ君はずっぽり埋まって心細そうに待っていた。でも、数年前の1本目大雪(しつこい)で大汗かいて掘りだしたときよりも雪が重くなく、車の場所もすぐにわかる程度だったので予想したほど大変ではなかった。でも、リア側の雪を落とそうとしたダンナが、カーナビ用と一緒に付いているTVアンテナを折るという、オマケがついてしまったが。
ある程度雪かきして、もう大丈夫、というところで、ひとまずホテルに戻り、大浴場へ直行。
この、帰りの日のアフタースキーに入浴できるかどうか、というのも、ホテルのポイントアップに一役買う。
誰もいない浴槽を独り占めし、手足を思いっきり伸ばす。ほんとうに生きかえるという感じだぜよ。
帰り支度をしてからダンナに車を回してもらい、やっと出発。…したはいいが、関越道にのったとたん、まったく動かなくなってしまった。大雪でチェーン規制、プラス、関越トンネル内では保全のためチェーンを外して走行することが義務付けられているから、今度は入口でチェーン外し…ということで、そのつど各PAに誘導されるから、ものすごい渋滞になってしまうらしい。しかし、平日でもこんなに混むのか。
それはどうでもいいが、私は関越にのったらどこかのSAに寄って、お昼を食べる…つもりだったから、トイレにもいかずに車に乗り込んでしまった。だんだんつらくなってきた。頼むから動いてくれ〜い!
30分くらいたったのだろうか、ようやくのろのろと車の列が動きだした。ありがたい。
関越トンネルを過ぎるまでなんとかガマンして、谷川岳PAでやっと休憩となり、復活。
早めにゲレンデを出たわりに、思わぬ渋滞で予想外に帰宅が遅くなってしまったけど、ともかく無事に帰ってきたことに感謝。それにしても、ウェアがきつかったなあ。これは、次までに買い換えないとなるまい…と心ひそかに誓った、私なのだった。
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