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TRIP DATA |
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さくらんぼの実を見ると、あまり赤く色づいていない。まだ若いのかな〜。
しかし、とって口に入れてみると、「おっ、あまいねえ〜」。
佐藤錦にはかなわないかもしれないが、十分美味しい。輸入もんのダークチェリーはエグくてあまり好きではないが、安さに負けて不本意にも購入してしまったことがあった。が、これはそんな洋モノとは比べものにならないほど、自然でやさしい甘さを持っていた。
1時間の制限時間になる前に、すでにたらふく食べていた私たち。見れば、いつの間にか雨も上がって、雲間からは太陽がのぞいていたのであった。
もうお昼を回っていたので全員腹ペコ。急いできた道を引き返し、大月JCTから南に進路をとり、河口湖方面へ向かう。
途中、まだ雲がちな空に、うっすらと白っぽい輪郭が浮かぶ。
「あ、見えるじゃ〜ん! 富士山だ」
車内が急にざわつく。イーちゃんパパが熱心にビデオ撮影をはじめた。
河口湖ICで降り、目的の「ほうとう不動」へ向かってまっしぐら。以前に河口湖北側の本店には入ったことがあったが、まま美味しかった。次弟も、この付近には友人どうしよく遊びにきているらしく、いろいろ食べ比べた結果「ほうとう不動」がお気に入りだというので、川口湖南店に入ることにした。
お昼どきを過ぎているので、店内はそれほど混んでいなかった。ここは、こだわりがあるのか(はたまた単なる手抜きか)ほうとうメニューはただひとつ「不動ほうとう」のみである。
迷わず(迷うか?)全員それを注文。ついでに、以前食べて美味しかった記憶のあった、「黒糖いなり」も2皿ほど頼んでみる。まずはいなりを試食。とりたてて変わったものでもないが、味が濃いめで好みである。
![]() 濃厚な黒糖いなり |
待つこと数十分、お待ちかねのほうとうがやってきた。
んんん、この味。やっぱりいけるわん。うどんを太めに打って、そのまま野趣たっぷりにかぼちゃや白菜、にんじんなどたくさんの野菜と一緒に煮込んで作るので(たぶん)適度にとろみがついているところがいい。確か、武田信玄軍が戦時食として考案し、今に至るらしい。
イーちゃん家ではもちろん、初体験なので口に合うか心配だったが、気に入ってもらえたようでよかった。ガツガツ食ってたもんなあ(極限まで腹ペコだったか?)。
![]() ウェルカムお抹茶 |
お腹いっぱいになったところで、河口湖畔の北岸、コノハナノサクヤヒメの伝説のある産屋ケ崎のすぐ隣りにある「湖山亭 うぶや」にチェックイン。外観から想像したよりもずっと小綺麗で、趣のある旅館である。さすがに、予算オーバーしただけのことはある。
玄関を入ってすぐのロビーラウンジで、まずは抹茶と干し柿のお菓子でもてなされ、ちょっといい気分。イーちゃんの家族は、おそらくはじめての抹茶にちょっと顔をしかめている。
いよいよ部屋に通される。私たちの部屋は本館「藍の館」とのこと…あれあれ〜?
予約時に聞いていたより広いような。確か、10畳1間じゃなかったっけ?
そこは、10畳(+窓際に3畳ほどのくつろぎスペース)メインルームと、6畳の次の間(ドレッシングルームという感じ)、それにバス・トイレ別・洗面台などがついた、広々とした客室だった。
あとで仲居さんに聞いた話では、この宿は逆さ富士を見るにも最適な場所にあることなどもあり、常連客が多く、宿泊の際にすでに次の予約を入れて帰るお得意さんが多いらしい。つまり、そういう客に押さえられていて見かけ上埋まっている部屋も、実際には使われなかったということもあるらしいのだ。
おそらく、そのようななりゆきで直前になってこの上ランクの部屋が空いたため、気を利かせて料金すえおきで部屋を取り替えてくれたのではないか。
予約のとき、「富士山が部屋から見える?」「4室ひと続きで」「外国のかたが同行するので、部屋にシャワーはある?」などと口うるさく聞いていたのが効を奏したのかも。むしし。
部屋の中では仲居さんの説明が長々と、その後は男性陣の浴衣のサイズあわせと続く。本館・新館(「茜の館」)・最近オープンしたばかりの湯の館「碧」と建物が多く、お風呂に行くだけでも道のりがフクザツなのだ。
それぞれの部屋に移動して設備をチェック。窓側のちょっとしたスペースは、普通であれば簡単な応接セットかなにか置かれているのだろうが、ここでは小さいテーブルひとつを囲むように掘りごたつ式に作りつけのベンチのようなものがしつらえられていて、個性的(下写真右)。ここにも人ひとり寝られるんじゃないか、というようなくつろぎの間になっていて、私はこれが気に入った。
さてお待ちかねの温泉である。イーちゃん家族はやはり迷っていて少し時間を要したが、宿の案内の写真などを見てかなりそそられていたらしい。ついに、覚悟を決めたようだ。
フクザツな経路をたどり、湯の館「碧」へ。建物ひとつが丸ごと温泉・スパ施設になっていて、2・3階が男湯、4・5階が女湯となっている。女湯へは、女性専用の畳敷きのエレベータで向かう。
まずは4階、大浴場とジャグジーがある。湯量も豊富で、全面ガラス張り、屋外であるかのように明るく、富士山が目前にせまってくるような迫力がある。
イーちゃんママは、湯温が熱すぎるらしく、なかなか身を沈められない。でも、このロケーションにはまんざらでもなかったようで、少しぬるめのジャグジーでは「仙人になった気分」と目を細めていた。またひと安心。
続いて内階段を上り、5階の「ばらえていバス」へ。露天風呂・サウナのほかに、寝湯・七色に照明された(!)各種ジャグジーなどのスパ施設がある。
各種温泉を十分満喫したら、すでに夕食を予約した時間がせまっていた。
ここの場合、夕食は個室でとることになっている。料理茶屋「写楽亭」と名のついた個室群に案内された。入口には写楽と思われるこっけいな顔の金色の像がお出迎え。こういうところもちょっと凝っている。
さてまた問題の懐石料理である。イーちゃんパパママが生ものが食べられるかどうか心配だったので、メインの焼き物を肉料理(熔岩焼?)に取り替えてもらうよう、事前にお願いしておいたのだが。
お作りが運ばれてきて、ひと口。…う、うまいっっ! 大トロだろうか。
ふと見ると、全員刺身をパクついている。心配するほどのことではなかったらしい。
さすがに、すべてが口に合うとまではいかなかったが、おおかた満足していたよう。肉も柔らかくて美味しかったし。
日本酒も入り、みな上機嫌になったところで「ワンポイント中国語講座」もあったりして、楽しい夕餉のひとときが過ぎていった。
いったん部屋に戻って、こんどはあねもね家の部屋に集まってのデジカメ上映会。先日の結婚式から今回の旅行までの写真をテレビに映し出すと、思い出を語りあったり、かくれた爆笑ショットに腹がよじれるほど笑ったり。
流暢な日本語で談笑しているわが娘をしみじみ見て、イーちゃんパパママが嬉しそうにしていたのが印象的だったな。
その夜は、大あらしになった。
間をおいて思い出したように雷が鳴ったり、激しく降ったりで、何度となく起こされていたので、「こりゃ2日目もつぶれたな」と半ばあきらめの気持ちでフテ寝していた。
部屋の中がなんとなく明るいような気がして、目が醒めた。
胸さわぎがして窓にかけよる。思わずタメイキ。
「逆さ富士だぁ……」
そこには、何度もこの地を訪れている私でも見たことのないほどの神々しく、悠然とした富士の姿があった。
朝食のときに聞いた話では、ゆうべのあらしで、山頂には雪が降ったらしい。やはり、白い帽子を深々とかぶった富士がいちばん美しいのだ。
「部屋からの富士山を見せたい」そういっていたイーちゃんの夢がかなったのであった。
「実はね…」母が恥ずかしそうに打ち明け話をはじめた。
なんでも、ゆうべは一睡もできず、4時頃には起きだしたが、外を見ると逆さ富士が見える。
あわてて、わが息子(長弟)の部屋に内線。
「ねぇねぇ、早く起きて。富士山がきれいなんだから見たほうがいいよ〜」
すると、しばらくして電話の向こうから「どうもご親切に、ありがとうございます」と聞きなれない初老の男性の声が。
そう、なにを血迷ったか、見知らぬ人のところにかけてしまったらしい。
こうなると、一刻も早く行動開始したい。晴れれば見どころがたくさんあるのが富士五湖なのだ。
2日目のスタートは、河口湖畔から登れる「天上山公園カチカチ山ロープウェイ」へ。
リニューアルしたばかりで何もかもがサッパリときれいになっていて、眺めももちろん素晴らしかった。
富士山の全貌を眺めるには、ほかに「紅葉台」という高台に登るのがおすすめなのだが、もともとそこに至る道は登山道であり、車でも登れるがかなりの悪路である。
無理して紅葉台に登るよりは手軽だし、これだけ山頂の公園もきれいに整備されているのであれば、断然このロープウェイを利用するほうがいい。
山ももちろん、反対側からの河口湖の眺めもなかなか。湖を囲む山々に、流れる雲の影が映ってのどかである。
登り口の壁に、あるポスターを発見。なになに…「もぐらん!」ですとぉ?
本栖湖の遊覧船らしい。潜水艦の形をしているが、じつは潜らない→「もぐらん!」。(,_'☆\ バキ
沖縄サンマリーナホテルの潜水艦「もぐりん」を知る人には涙なしでは見ることのできぬ、富士五湖観光協会の最終兵器であろうと思われた。
次に、山中湖方面へ車を走らせ、忍野八海へ。
富士山の雪解け水が地下にしみこみ、再び湧きだして長い年月をかけていくつもの池を作りだしたという場所だ。 あいにく、富士山は雲に隠れがちであったが、冷たい湧き水や、軒を並べたみやげ物店にはしゃぐイーちゃん親子であった。
ちょうどお昼どきとなったので、ちかくにあったそば店「池本茶屋」へ。ブツブツと見えるくらい粗めに挽いたそば粉とおいしい富士の伏流水で打った手打ちそばは、なかなか私好みの味だった。
ひとまず食欲を満たしたあとは、スバルライン経由で富士山五合目へ。
イーちゃん一家はもちろん、わが母も富士山に登ったことがないということだったので、さぞかし楽しんでいるだろう…と思い、車の後方座席を見ればみな、高いびきをかいているでわないですか!
ここ数年、スバルラインは工事などでいつも登れず、私たちも十数年ぶり。道の両脇の新緑がゆうべの雨に洗われてこんなにもきれいなのに、何故みんな見てくれないんどぅあ〜〜(T.T)。
… まぁ、イーちゃん一家はここのところイベント続きで休むヒマもなかったろう(なんと数日前には沖縄旅行にまで行っていた)。今くらいゆっくり寝かせてあげようというホトケのような私たち。
順調に五合目に到着したころ、予想どおりみな起き出す。
山頂付近にもいよいよ雲が厚くなってきて、見えたり見えなかったり。
登山口までの山端の道は熔岩っぽい石がゴロゴロしているが、一般の観光客がが歩けるようになっている。そこをしばらくみんなで歩いてみた。
数年前に登った、静岡側の「新五合目」では、登山口がすぐのところにあって、ナンチャッテ登山気分を味わうことができたが、こちらは歩けど歩けどまっすぐな道が延々と続いている。
途中、昨日までに降った雪が溶け残っている斜面が何ヶ所かあった。 ドイツ語らしき言語をしゃべる欧米人の家族が、写真を撮ってくれと頼んできた。写真を撮り終わると、子どもたちが奇声をあげて雪の斜面にとびつき、登っていく。
すると、わが次弟も負けじと登りはじめた。…アンタ、ことしミソジに突入するんじゃ…。
それに次弟は超がつくほどの高所恐怖症である。案の定、7〜8メートル登ったところで振り向いた次弟はそのまま凍りついてしまった。
泣きそうな顔で時ならぬ雪すべりをする、愚弟であった。
スバルラインを下りながら、ようやく元気になってきた一行、周りの景色を見てくれた。元気があるうちに、帰途についたほうがいいと判断したあねもねダンナは、そのまま中央道、河口湖ICに向かうのであった。…お疲れっ。