丹沢山地の地質        このページや、下層のHTMLファイルに直接リンクされた方は、このボタンをクリックして下さい。  
 
1.丹沢山地の地質図  地質断面図 火成岩の種類

 下の地質図からも分かるように、丹沢山塊の地質上の中心は蛭ヶ岳や丹沢山のある「塔ヶ岳層群」ではなく西丹沢や畦ヶ丸の位置する「石英閃緑(せんりょく)岩体」です この地図には描ききれませんでしたが「石英閃緑岩体」は山中湖の近くまで伸びていてこれを同心円状に取り巻くように「塔ヶ岳層群」「大山亜層群」「煤ヶ谷層群」「愛川層群」「・・・・・」と続いています
 これら 4層(あるいはそれ以上)の地層群は主に火山性の噴出物が堆積したものですが「石英閃緑岩体」と「斑れい岩体」は後述するように、地下10km以上の深いところで溶岩がゆっくり冷え固まった深成岩からできています また「結晶片岩体」は、大きな地殻変動によって「塔ヶ岳層群」に巨大な圧力が加わり摩擦熱で温度が上昇したためその一部が溶融して再結晶化した変成岩からできています この変成岩は、岩石を構成する各々の鉱物が、一定方向からの巨大な圧力で 結晶が偏平に押しつぶされているため、板状に割れ易い特徴を持っていることから結晶片岩と呼ばれています

 
2.丹沢山塊の断面図         

 下の地層の断面図は 便宜的に同心円状に描きましたが、実際とはかなり違っています また、各々の山と谷の位置は、あくまでも概念的に表してありますので上の地質図とは位置関係が多少異なります
 いずれにしても、「丹沢山塊は、大昔海底に堆積した海底火山の噴出物(火山岩や火山灰など)が、各々の時代とともに幾重にも堆積して層を成し大きな地殻変動で地中深く沈降したところに石英閃緑岩の元となったマグマが上昇してきて各地層を押し上げてドーム状の形に冷え固まった」とこの図から理解できれば、この図を苦労して描いた甲斐があります

 その後(資料によると約600万年前)右の図のように本州の北半分が 乗っている 北米プレートに丹沢のドームを 南の海から押してきた フィリピン海プレートが 激しく衝突しましたが丹沢のドームは 固い深成岩(石英閃緑岩)体によって護られつぶされて本州の下に沈み込むことなく逆に本州の上に 乗り上げてしまった という訳です このときフィリピン海プレートと 固い「石英閃緑岩体」に挟まれた「塔ヶ岳層群」の一部が巨大な圧力によって溶融・再結晶化し前述した変成岩(結晶片岩)体が形成されたと考えられます
 ドーム状の「石英閃緑岩体」によって押し上げられた4層(あるいはそれ以上)の堆積層は、下から順番に年代が古く特に下部3層を 「丹沢層群」と呼んで区別していますがそのうち一番下の「塔ヶ岳層群」は、今から約1700万年前に火山の噴出物(主に玄武岩質の枕状溶岩や火山礫)が堆積し、長い年月の間に押し固められて 堆積岩に変わったもので中には高圧変成作用を受けて生成したと思われる、緑泥石を主成分とした緑色の結晶片岩(緑色片岩)も見られます 次に、二番目の「大山亜層群」は、約1500万年前に堆積した安山岩や玄武岩質の火山礫(れき)が主成分で一部 枕(まくら)状溶岩や緑色片岩も見られます三番目の「煤ヶ谷層群」は、約1200万年前の火山性砂岩や泥岩などの堆積岩からできています
 また、上の地層断面図を描いていて気が付いたのは、丹沢の主峰(蛭ヶ岳、丹沢山、塔ノ岳など)が位置しているオレンジ色の「塔ヶ岳層群」は長い年月の風化浸食に耐えられる、比較的硬い地層ではないかということです 逆に、巨大な圧力にも屈しなかった「石英閃緑岩体」と「斑れい岩体」の深成岩は後述するように、各々を構成する鉱物が粒状の結晶となっているため長い年月の風化作用には比較的弱く、かなりの部分が流されて 今のような地形になったのではないでしょうか
 「石英閃緑岩体」に属する山々の特徴として、檜洞丸や畦ヶ丸の様に、頂上付近が丸くなっているのが目立ちます そして、最も軟弱と考えられるピンク色の「煤ヶ谷層群」もそのほとんどの部分が浸食され伊勢原市から宮ヶ瀬に抜け上野原から20号線沿いに大月に出る、谷間の低地を形成しています この「煤ヶ谷層群」に入っている三峰山はその外側(東側)にある「愛川層群」の仏果山と共に 地層の傾斜がきついため三峰山と仏果山の尾根はかなり痩(や)せていてその西側が大きく崩れた断崖になっているのが特徴です

 
3.火成岩の種類とその構成鉱物             

 マグマが冷えて固まった岩石を火成岩と言いますが、大きく分けて、地中の深いところでゆっくり固まった深成岩と地表に顔を出して急激に冷えて固まった 火山岩の二種類あります また、マグマにはその構成鉱物の成分によって色々な種類があり地中で固まった深成岩と地表で固まった火山岩は同じマグマから生じても その岩石の名前は異なります
 下の図は、深成岩や火山岩を構成する鉱物の種類とその割合を表していますが、有名な図なので、ご存じの方も多いでしょう そして、石英を除いては右側の鉱物ほど融点が高く逆に粘性が小さい(サラサラしている)傾向に、また、左側の鉱物は融点が低く粘性が大きい(ネバネバしている)傾向にあります 各々の色はその鉱物結晶の代表的な色合いと考えて下さい (この色は私が勝手に着けましたが実在している鉱物は鉄分が多く含まれる場合があり、その色合いはもっと黒っぽくなっています) ただし、石英の色は岩石の中では黒っぽい灰色に見えますが実際は無色透明です (ひび割れや気泡の多い石英の結晶は白く見えます)

 ハワイ島のキラウエア火山やアイスランドに多く見られる火山からは、サラサラした玄武岩質のマグマが噴き出し溶けた溶岩が川のように流れて 海まで達している映像をよくテレビで見ます そのまま固まった溶岩(火山岩)は「玄武(げんぶ)岩」と言いますが、肉眼では分からないほど小さな結晶でできていて色は暗褐色〜黒色です 丹沢の塔ヶ岳層群や大山亜層群で見られる「枕状溶岩」はこの溶岩が海中に噴き出し急冷されたために噴き出し口の丸い形状がそのまま岩石の形となって海底にゴロゴロと転がり落ちたものです もしこの溶岩が地中深いところでゆっくり冷えて固まると、各々の構成鉱物(輝石と斜長石のほか、一部角閃石を含む)が次第に集まり、粒状の結晶になります そしてこの深成岩を「斑れい岩」と言い、色はやはり暗褐色〜黒色の中に細長くて白い斜長石の結晶が飛白(かすり)状に見えるのが特徴で丹沢山地でも小さな岩体を形成しています(一番上の地質図参照)
 一方、玄武岩と同じくらい地球上に多く見られる「花崗(かこう)岩」は、実は、流紋岩質マグマが地中のかなり深い所で ゆっくり冷えて固まった深成岩です 地下約10kmもの深い所でゆっくり固まると、その過程で構成鉱物の石英・正長石(カリ長石)および黒雲母が粒状の結晶となり、皆さんよくご存じの白色(正長石)、灰色(石英)、黒色(黒雲母)の粒がまだら模様となった御影(みかげ)石が誕生するわけです そして、「火星ぐらいの大きな(原始)惑星が地球に衝突し月が誕生した」とされている、地球の創成期(46億年前)ほどの大地殻変動で、地表が広範囲にわたって10km以上も隆起しその後、表面の岩石のほとんどが風化浸食によって流されてやっと地表に顔を出したのが、今我々が目にする花崗岩なのです流紋岩質マグマが地上に噴き出すことはまれですが粘性が高いためドーム形の火山になり易くまた構成鉱物がよく混ざっていないため、部分的に石英(灰色)や正長石(白色)の小さな結晶が見られる、白色〜淡灰色の「流紋岩(または石英粗面岩)」になります
 最後に、玄武岩や花崗岩ほど多くはありませんが、地球上の岩石の一部を占めているのが「安山岩」です 安山岩質マグマは粘性が玄武岩ほど低くなく日本の火山の多くは、この安山岩質マグマが 地表に噴出して固まった「安山岩」からできていて(大島・三宅島などは玄武岩質で富士山は玄武岩に近い安山岩です)、丹沢の「大山亜層群」を形成する(火山性)堆積岩の中にも多く含まれています 安山岩は斜長石を主体とした灰色〜暗灰色微晶質の岩石で中には白色で直方体形の斜長石や 暗褐色で柱状の角閃石・輝石類の小さな結晶が点在しているのが見られます また、石英を多少含む場合は「石英安山岩」と呼び粘性がさらに増して、昭和新山の様な半ドーム形の火山になりますが最近噴火した火砕流で有名な九州の普賢岳も同質の溶岩からできているのかもしれません そして、この石英安山岩質のマグマが地中深い所でゆっくり固まり粒状結晶化したのが「石英閃緑岩」です 長石類や石英の白い結晶粒の間に黒っぽい角閃石や黒雲母の結晶粒が点在している様子は西丹沢付近の山を登ればよくわかります 風化に弱く、砂状になった真砂(まさご)畦ヶ丸頂上付近の登山道や西丹沢付近の堰堤(えんてい)でよく見られます

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