La Nigreco

n-ro.8 2002.2.14

資料1 
ケイティ・シエラ  インタヴュー


ケイティ・シエラは、シソンヴィル(ウエスト・バージニア)在住の15歳のアナキスト。彼女は、彼女の通う学校で学生アナーキー・クラブを結成しようとしただけでなく、アフガニスタンに対する戦争を批判するTシャツを着たという理由で高校を停学処分となり、最近国際的なニュースになった。

学校の処分に対する彼女の法的な抗議は、裁判所によって却下された。彼女と彼女の学校に対する闘いを支持する国際的な連携がはじまっている。


◎あなたのことについて少し話してくれない?

ええ、名前はケイティ。シソンヴィル高校の元学生で、趣味はギグへ行くこと、読書、それから詩を書くことかな。

◎どうして停学処分にされたんだろう?

政治的な主張を書いたTシャツを着たから。それと財布にビラを入れていたことも。

◎あなたのTシャツには何て書いてあったの?

うん、でもTシャツは一枚じゃないよ。そのうちの一つはね「人種差別主義、性差別主義、そして同性愛蔑視……私は「自由」の国家に暮す人びとを大変ホコリに思う」って。

その翌週、校長はそのシャツを着てもいいといったけれども、再度それを脱ぐようにいったわ。それで今度はこう書いた。

「死んでしまった、そしていま死にかけてるアフガニスタン人の子供をテレビで見たとき、私はこの国家の安全性について考えを改めました。アメリカに祝福あれ」

◎法廷ではどんなことがあった?

マン校長の奇妙な櫛の入れ方だとか、親指がないこととか、そんなことをそばで見てただけ(笑)。

それで私は、勝たなかった。理由なんて知らないわ。少なくとも、私が言ったことはすべては事実関係。だけど、マン校長が言ったのは、自分の意見だとか噂話みたいなものばかり。

◎上告した?

したわ。えーと……1月25日に法廷へ行く。訴訟のために。最高裁は却下したけど、あきらめない。

◎あなたには権利がないと告げた裁判所に対して、どんなふうに思ってる?

まるで話にならない。馬鹿げてるとしか思えないわ。あの学校の誰だって、ある物事についてどんなふうに感じたかを言うことができるはずでしょう。誰一人も同意できないようなことじゃない限り。こうしたことが公正であるとはまったく思えない。

いつか私が学校に戻ることができたとしたら――多分できるとは思うけど――そのときにはね、「私には権利がないんです」って書いたガム・テープで口を封じて行こうかな。すっごくおもしろいんじゃない?(笑)

◎どうして、あなたはアナーキー・クラブを始めたんだろう? ほかにも興味がある学生がいたの?

ええ。私たちはもうほとんどひとつのグループだったのよ。名前がないだけでね。

私たちの高校には参加したいようなものが何もないの。それで私はアナーキーやいろんなことすべてに興味があるし、クラブをつくるのはいい考えだと思ったわ。このサイト(www.infoshop.org)で読んだことがきっかけになってね。

15人から20人くらいが一緒になにかやりたがってたわ。

◎あなたのクラブがもし存在してたなら、どんな計画に取り組んでいたのかな?

まずいろんな事を学び、議論すること。それから自分たちの雑誌。それは、まだ終わったことではないわ。私たちは、週末にホームレスのためのスープ・キッチンでいっしょにはたらいてたでしょう。もっとほかにたくさんのことも。人びとがやってきて話すようなこと。たぶんFood not Bombsのようなことを。

◎あなたが出そうとしていた雑誌について話してくれないかな?

雑誌は、「Anny」って呼び交されてた。私たちのうちの4人が参加してた。ただ30部だけつくろうと思ってたの。

正直にいえば、フリーク/パンクの仲間以外には手にとって欲しくなかった。学校、市、州、国家、世界、あちこちで起きていることについて感じたことを載せたかったな。創刊号も頓挫してしまったし、それはもっと出せたはずなのに。

◎いつ、どうやって、あなたはラディカルな政治に興味を持つようになったのだろう?

本当によく覚えてないの。でもいつだってちゃんと興味を持ってたわ。友達からの影響もある。ほとんどは私より年上だし、彼らからはたくさんのことを学んだ。

◎戦争に関するあなたの意見は?

どんな戦争でもそうだけど、私はそれが間違いだと思う。私は「戦う」ということを信用しないし、今回の戦争だってそれは同じだってことを知ってるわ。

私は戦争に対する回答を知りもしないし、持ち合わせてもいない。だけどね、私は知ってる。人びとを殺害することは正しくないということを。私たちの国家は、もう一つの解決方法を考えることを、さぼってるだけよ。

◎あなたの同級生は、戦争についてどんなことを言ってる?

彼らはそのとき自分が話していることの意味さえ分からないんだから。ほとんどが、ある国をどうやって絶滅させるか、その残酷な方法について。それから、空爆をどうやって支援するか、といったことよ。どうやったら食料供給を寸断できるか、とかね。

◎あなたのお母さんがあなたを学校から離しましたね。自宅でどんな勉強をしているの?

歴史、英語、職業のこと、そして科学。学校ではどんなにナンセンスなことを教え込まれているかと思うと馬鹿らしくなってくる。

◎あなたは今回の出来事からどんなことを学び取りましたか? あなたと似通った状況におかれている10代の友人たちと、そこから何を共有したいと思う?

私はたくさんのことを学んだんだと思う。まず、この国がでたらめだということ。とっくに分かってたけどね。学校のシステムがそもそもおかしいんだということ。それも私は知っていたわ。この国と学校のシステムがこれまで以上にうんざりするようなものになってて、吸い付いてくるということもね。

そして、あきらめないこと。自分自身が信じるものを守るためにたち上がることにはなんの躊躇も必要ないってことよ。意見が違ってもいいじゃない? それはふつうのことなんだから。

でもね、その人の信条をもってその人を抹殺しようなんてことはしてはならないと私は思うんだ。

二〇〇一・一二・一〇

* http://www.infoshop.org/interviews/katie_sierra.html

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