La Nigreco

n-ro.8 2002.2.14

【小特集】
立場の問題――「テロ」に当面して


世界貿易センターとペンタゴンに旅客機が突入してから五ヶ月、アフガニスタンへの空爆開始から四ヶ月以上が経った。現段階では、すでに議論の的はアフガニスタン復興援助になったとされ、アメリカ政府は先手をうってテロへの先行的防衛を言い出した。

9・11以降、すでに膨大なことが語られている。各地で抗議行動やデモがあり、声明が発せられた。書店にはテロと戦争の本がつまれ、インターネットはいままで以上に身近な空間となり、日をあけずメールが錯綜した。

そこでは、「ならずもの国家」アメリカの具体的な事例も、テロリストに威厳を与えるなという意見も、そしてグローバリズムの問題との関連分析から、「問題を解く」超越的な概念の提示まで、多様な視点を知る上で不自由はない。いま、たとえば手許にある本や雑誌に、あえて付け足していうべきことは少ないかもしれない。

しかしそれでもなお、私たちのまわりで語られてきたことには、違和感やもどかしさ、そして言い当てられない不全感が残っている。それが何なのか。そうした声をすこし集めてみたいと思った。そこで組んだのがこの小特集である。

ここでは、あえて9・11「テロ」に当面したときの率直な受け止め方からはなれずに、自分の立場で、考えていることを書いてもらった。ひとつの結論を出すためではなく、それぞれの立場、感じ方、または考え方の提起として、ここに掲載する。


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