ベトナム反戦直接行動委員会


声明

 太平洋戦争終結後、二十一年目の時点で、「アジア大戦」の可能性が急速に増大 している。
 日中戦争から太平洋戦争へと、みるべき抵抗の斗いも組みえず、ずるずると引き ずり込まれていった屈辱の歴史は、もう沢山だ。敵のプログラムに追随する反対斗 争は、アリバイ工作でしかない。状況を先取りし、状況を創り出すことなしに、敵 にプログラムの変更を要求することはできない。ベトナム反戦直接行動委員会(略 称ベ反委)は、この決意をもって創られる。日本国家=日本資本主義は、アメリカ 国家=アメリカ資本主義によるベトナム人民の抑圧と搾取の戦争を全面的に支持し 、支援している。彼らはベトナム戦争を足場に、「アジア大戦」の危機を賭して、 二十一年前の「大東亜共栄圏」復活のプログラムを樹てているのだ。
 ベトナム反戦直接行動委員会は、決して戦火に苦悩するベトナム人民に同情して ベトナム反戦を主張するのではない。ベトナム人民はわれわれ日本人民以上に立派 に、徹底的に抑圧者に立ち向かっている。彼らの勝利−−それは人間の勝利であり 、インターナショナリズムの弁証法において、日本国家=日本資本主義の敗北であ る。
 いま、日本国家=日本資本主義は、軍事基地の提供と軍需物資の生産を二本の太 いパイプにして、ベトナム戦争に結びついている。
従って攻撃の主要目標は明らかだ。この二つの太いパイプを切断することである。 ベトナム反戦直接行動委員会は、人民の直接行動をもってこのパイプを切断する工 作に従事する。政治家の饒舌は不要である。沈黙の直接行動は敵に最大の打撃を与 え、味方に最大の決意を促す人民固有の武器なのだ。言論によるコミュニケーショ ンが敵の手中に陥いっている現在、われわれは行動によるコミュニケーションを創 造しなくてはならない。
 総評を中心に10・21反戦ストライキが計画されている。だが、反戦ストライキは 労働者階級の反戦の意志表示だけに終わらせてはならない。それは、戦争につなが るパイプの存在をクローズアップし、戦争の歯車をたとえ一刻でも実際に停止させ るものとして、斗われなくてはならないのだ。
 ベトナム反戦直接行動実行委員会は、この危局に際しても、なお選挙運動に集中 しているすべての政党政派と絶縁する。議会政党の虚妄が、いまほど明らかにされ た時はない。信頼し、期待しうるのは、人民の直接行動の総結集のみである。われ われは、戦争につながるパイプに対し、全面的に鋭くかつ執拗な攻撃をかけ、この 行動をもってすべてこの人民にその総結集を呼びかける。

1966年10月10日
ベトナム反戦直接行動委員会