メンバーの小屋

乱乱小屋

15. ロスト・ハイウェイ

 ある日。と言っても、2年も前の春というから間抜けな話しだ。もうどうでもよくなった仕事を早退して、デビット・リンチの『ロスト・ハイウェイ』を見た。最低な映画だった。否、最底いうべきか。
 『ブルーベルべット』や『イレイザーヘッド』でも、柔らかい甘さがほんのり感じられる。カルト映画ファンでもまだ見れよう。だが、これはもうそんなサービスは一切ない。砂漠に連れ出され、放り出されたように困惑する。ひたすら無構造であり無意味すらない映画。
 だが、心を冷やしてくれる。ひんやりと魂が癒されるようにも。
 ハコがまた良かった。天六のH座。もぎりのお姉さんが、今どき珍しい理不尽な無愛想ぶり。10人に満たない観客は、みんな端っこでうずくまっている。映画がうるさくない位置で寝ているのだ。悪臭漂う便所。光量の不足した廊下。場末のお手本だ。外はグチグチと春雨。良好な環境。
 この映画のことは忘れよう。でも無理か、醒めない悪夢なのだから。

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