メンバーの小屋

乱乱小屋

7. 溶ける温泉

 あるからりと晴れた日。こんな日はもったいなくって仕事や学校なんてとてもいけやしない。そこで温泉に行く。でも遠出はだるい。近所の風呂屋。時間は、真昼間の3時。
 人気も少ない脱衣場。常連のお年寄りが2、3人が着替えている。手早く着衣をカゴにほり込むと、湯船めがけて一目散。
 長く湯船にひたる。あまり熱い湯は避ける。身体が緊張してしまうから、ゆるま湯で良いのだ。
 ひたり始めは雑念がむくむくと起きる。どうでもいいようなことばかり浮かんでは消え、浮かんでは消える。
 次に身体がどこかしこがきしんだりする。それもやりすごす。
 何も考えない。何も思わない。何もない。
 ただ真っ平らな弛緩。弛緩しきる。
 宇宙も 世界も 仕事も 学校も 人生も 自分の名前も 自分も
 湯に溶かしてしまう。もう還らない。

[乱乱小屋入り口] [小屋入り口]

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