NEON GENESIS EVANGELION FAN FICTION
星に願いを epilogue

 漆黒の闇に浮かぶ、宝石たち
 朝になれば、空に溶けてしまうか弱い小さな星たち
 あたし達はあなた達に抱かれているの
 あたしはあの人に抱かれているの
 あの人の、鼓動を体で感じながら
 あの人の温度を、心で感じながら
 あの人がいれば、他に何もいらない
 そんな風に思える瞬間が
 あたしにあったことを
 幸せに思って
 今は眠るの
 深く深く眠るの
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 シンジ……
 
 なに?
 
 あたし、あの子にひどいことしたの。
 あの子は何も悪くないのに、あたしのこと心配をしてくれたのに
 シンジがあの子のことを好きなんだ、って考えたら、とても悲しくなって
 
 アスカ……
 
 あたしは、いやな子だわ。
 本当に……ダメな子だわ。
 
 アスカ、泣かないで。
 彼女は……綾波は違うんだ。
 彼女はとても大切な人だけど、好きっていうよりも、なんていうか、もっと違うところで繋がっているんだ。
 うまく、説明できないけど……
 
 
 
 いつか、きっと話してあげる。
 彼女のことも、僕のことも。
 
 
 ……うん
 
 
 今は、アスカのことだけ……
 
 
 
 
 あたしも
 あなたのことだけ……
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 アスカ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 シンジ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 あたしは三日月の船に乗って、銀河を渡ってきた。
 一年に一度しか逢えないから、少しでも早く逢いたくて。
 でも、銀色の川の流れがとても速くて、あたしは流されてしまったの。
 明るすぎるくらいの星の海に囲まれてて、途方にくれてしまったの。
 あたしが困って泣いていると、月が言った。
 大丈夫よ。
 あなたの想い人は、もうすぐくるわ。
 その言葉が終わらないうち、あの人はやってきた。
 見たこともない、白いきれいな鳥の背中に乗って。
 彼はすぐにあたしを見つけて、黙ってキスをしてくれたの。
 
 
 
 シンジ、ありがと。
 あたしを見つけてくれて。
 
 ホントに、ホントに
 ……大好きだよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

[終わり]


あとがき
 『星に願いを』完結です。
 そして、これが僕にとって、初めて最後まで書いた作品になりました。
 最後まで読んでくださって本当にありとうございます。
 
 最終話の掲載が、予定よりかなり遅れてしまいましたが、僕にとって本作は今までに無いスピード掲載となった作品でもあります。
 だんだん掲載速度が遅れていきましたけれどね。(汗)
 
 最初は七夕記念に何か書こうと思ったのがきっかけでした。
 本当は第壱話のA、Bパートで終わる予定で考えていたのですが、なんと全三話、6パートにもなってしまいました。
 当初予定通りに終われば、これは『KISSの温度「A」Edition』として掲載されたことでしょう。というわけで、後日「A」Edition も書く予定です。(笑)
 
 
 それでは、最後に。
 このお話を気に入っていただけたら、とても嬉しいです。
 そして、辛抱強く待っていただけたなら、また別のお話でお逢いましょう。
 

2000.8.12
なお

 
 

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