少年よ・・・ 大人になれ〜(*^_^*)
その日第三新東京市にあるコンフォート17というマンションの303号室に住んでいる、
碇 シンジ君(14歳・男)が、自分の身体に起きた微妙な変化に気づいたのは、
朝起きてすぐの事でした。
「え、これって・・・ まさか・・」(*^_^*)
中学2年生といえば、まさに少年から大人へと変化しつつあるその挟間にある年代のようですが、
同年代の生徒達と比較して、どちらかといえば小柄で華奢な彼にも、
その時は確実に近づいて来ているようです。
今朝の出来事はまさにその第1歩と言える事柄で、何となく変な気はしたものの、
いつまでもベッドにいてもしょうがないので、シンジ君は起き上がると、
いつも通り3人分の朝食を用意するためキッチンへと向かいます。
慣れた手つきで調理にかかるシンジ君。
とても14歳の少年とは思えない鮮やかな手際の良さですが、
決して彼はこのマンションで1人暮らしをしている訳ではなく、かたやかなりの美女、
そしてこなたかなりの美少女と、2人の魅惑的な女性に囲まれているのです。
女性が2人も一緒に居るというのに、何故彼が食事の用意をしているのでしょうか?
「前時代的〜」 な言い様で申し訳ないのですが、2人のうちのどちらかがシンジ君に代わって、
食事をこしらえてあげるのが自然な感じがするのですが、
何故かこの家のキッチンに限っては、2人のそうした姿を見る事はつとにありません。
本来この3人の間では、食事当番のローテーションが決まっていたのですが、
いつのまにか・・・ と言うよりはあっという間にそれが無くなり、
今見ているような状況が毎日繰り返される事となってしまったのです。
元々シンジ君が料理が趣味で、自分からおさんどんを買って出たと言うのでしたら、
何も申すべき事は無いのですが、この3人の場合は決してそういう事では無く、
彼の場合は”押しつけられた”とも言えるものだったのですが、
内向的で内気で気弱な少年にはそれに反発する事は出来なかったのです。
しかしまあ、あえて美女と美少女の弁護をさせて頂きますと、この2人の場合、
やらなかったのでは無く、出来なかったという事を心に留めておいてください。
殊に美女の方は、”女30年”近く過ごしているというのに、
スクランブルエッグ1つさえ満足に作る事が出来ないとゆう、
まさに女としては”落伍者”、と言われても仕方の無いていたらくなのでした。
それに比べれば美少女の方はまだ救いがあります。
これ迄彼女はまともに料理をした事が無く、そのためにうまくいかなかったのですが、
自分の食事当番の時、何故かその事をシンジ君に見られるのを嫌がるようになり、
ついには癇癪を起こして、彼に料理を押しつけてしまったのです。
でも内心では今もその事を悔いており、いつかシンジ君を吃驚させてやろうと、
同級生で大の親友であり、『第一中学の女鉄人』(男鉄人は言わずもがなですよね)
との異名を持つ洞木ヒカリちゃんから、おりにつけ厳しい修行を課せられているのですが、
これが仲々・・・
それでもプライドの高い彼女にしては珍しく、途中で投げ出すような真似はせず、
今も頑張ってはいるみたいですので、彼女がシンジ君を吃驚させる事が出来る日がくるのも、
そう遠い日の出来事ではないでしょう。
「ふわあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ああ、
あふぁよう、シンちゃん」(@_@)
「お早うごさいます。ミサトさん」(^_^)
お、噂をすればなんとやら、女性陣のうちの1人、この303号室の持ち主である、
葛城 ミサトさん(ピーッ歳・女)が起きてきたようです。
それにしても、いくら家の中の事とはいえ、喉チ○コが見えるような欠伸をするのはいただけません。
また前時代的と言われてしまうかもしれませんが、
女性なんですからせめて口元は手で覆ってほしいものです。
そのミサトさん、シンジ君との挨拶が終わると、彼の居るキッチンへと入っていくではありませんか、
さてはシンジ君の料理に目がくらんで、早速つまみ食いを始めるのか? と思えばさにあらず、
彼女は冷蔵庫を開けるとそこからエビちゅビールの350ミリリットル缶を取り出し、
一気にそれを飲み干しにかかったのです。
「ングッ ングッ ングッ ングッ ングッ ングッ ングッ ングッ ングッ ングッ
ングッ ングッ ングッ
プハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
カーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
やっぱ人生、この時のために生きてるようなもんよね」
(^o^)
人生における至福の時を味わうミサトさん。
実に満足そうな表情を浮かべていますが、
その反面何故かはわかりませんが物足りなさも感じていました。
はて、何だったかしら? と、ミサトさんが思いを馳せるとそれはすぐに浮かんできました。
それはシンジ君からの、お舅さんの一言が何故か今朝は無かったのです。
「そんなに飲んでばっかりいると、お嫁に行けなくなりますよ」(-_-) は、まだ良い方で、
「最近お腹が出てきましたよ」(-_-;) と、言われた次の日には、
さすがに缶に手を伸ばす気にはなれなかった程なのです。
それぐらいシンジ君の一言はミサトさんのハートの急所を見事に抉ってくれていたのですが、
いったいどうしたというのでしょうか?
疑問に思ったミサトさんは、直接シンジ君に訳を聞いてみる事にしました。
「シンジ君、何かあったの?」(?_?)
「え、何がですか」(・_・)
「なんか、機嫌良さそうじゃない」(^^)
「べ、別に! 何でもありませんよ」(^^;)
そう言ってミサトさんの指摘を否定するシンジ君ですが、やはり自分の体に起きた変化は、
えも言われぬ感覚を彼に対して与えていたようで、恥ずかしさを感じる反面、
一方では誇らしさも感じられて、どうにもそれを抑える事は出来ないでいるようです。
そのため否定はされたものの、どうもミサトさんは納得する事が出来ず、
しばらくシンジ君の所をジッと眺めていたのですが、そのうち何か思いついたのでしょうか?
パン! と1つ手を叩くと、2回3回とこくこくと頷いてみせたのです。
「おめでとう、シンちゃん」(^O^)
「え?」(?_?)
「そうよね〜、シンちゃんももうそんな年頃なんですもんね〜」(^-^)
「あ、あのミサトさん、いったい何の話しですか」(^^;)
内心ギクリとしながらも、いまだおトボケを続けるシンジ君。
まあでも仲々こういった事を自分の口から言い出すのは恥ずかしいものなのでしょうから、
致し方無いといった所でしょうか?
しかしミサトさんの方から見ると、かえってこのおトボケぶりが、
彼女のからかいモードに火をつけてしまったみたいで、
ついついハッキリとその事を口にしてしまいます。
「もう〜シンちゃんたら〜、おネーさんにハッキリ言わせるつもりなのね、ませてんだから」(*^_^*)
「だ、だから、何の話しですか」(^_^;)
「もう〜シンちゃんたらしょうがないわね〜、生えたんでしょ、○○○○○の毛が」(*^_^*)
途端に目が点になるシンジ君。
そして次の瞬間にはミサトさん以上に真っ赤になると、
頭から彼女の考えが間違いであるとの指摘にかかります。
「ち、違いますよミサトさん。そんなんじゃないですよ!!」(>_<)
「え、それじゃあシンジ君、まだ・・・ 生えてないの?」(*_*)
今度は何故かミサトさんの目の輝きが途端に、しかも数段増しました。
その様子はまるで、トムソンガゼルの弱った子供を目の前にした飢えたライオンそのものです。
さすがに身の危険を感じたのでしょう、シンジ君は自身の安全を確保するために、
すぐさまそれを否定するのですが、勢い余って余計な事迄言ってしまいます。
「何いってるんですかミサトさん。もうとっくの昔、小学生の時にもう生えてましたよ」(-_-)
「な〜んだ」(T_T)
『でもそれじゃあ無いとすると・・・ やっぱり・・・ アレなのかしら・・
キャー、シンちゃんたら、とうとう大人になってしまったのね。
チョッチいえ、例えようもないくらい残念だけど、一応保護者として祝福してやらなくちゃね・・ ポッ』
シンジ君から否定の言葉を話された直後は、
いかにもがっかりといった表情が露わなミサトさんでしたが、次の瞬間には別な事に思い至り、
またまた顔を赤くしながらですが、シンジ君に対してお祝いの言葉をかけて上げる事にしました。
「ま、まあ仕方ないわね、男の子だったら誰でもいつかはそうなる日が来るんだから、
今度こそ本当におめでとうシンちゃん。今日はお赤飯にしなきゃね」v(^_^)v
「・・・・・・・・・・ミサトさん、多分今ミサトさんが考えている事も小学生のうちに経験済みです」(-_-;)
もうミサトがすっかり激しい勘違いを起こしている事に気づき、
初めシンジ君は何も言えなくなってしまっていたのですが、
本当にお赤飯を炊かせられるハメになっては大変だ。という事に思い至り、
やんわりとその事を否定します。
「え! チョッチ待ってよシンちゃん・・ それじゃいったいナニが起こったっていうのよ、
もったいぶっていないで、保護者であるおネーさんにちゃんと話しなさい!」(=_=)
正直これ迄ミサトさんがシンジ君に対して保護者らしい事をして上げたのを、
見た記憶が無いのですが、一応名目上はそうなっているので、
ミサトさんはシンジ君に対して、そう言って諭しにかかります。
シンジ君の方もここ迄言われてイイ加減あきらめがついたのでしょう。
1つ小さな溜息をつくと、ミサトさんに対して、自分の体に起きた異変の状況を話し始めました。
「わかりました。これを見て下さい」(^,^)
「え、どれどれ?」(+_+)
そう言ってシンジ君が指した部分を、ミサトさんがじっくりと覗きにかかった次の瞬間の出来事でした。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」(×_×)
ドテッ!
マンション全体を揺るがすかのような悲鳴が響き渡った後、その衝撃のせいでしょうか?
どこかの部屋で人が1人、ベッドの上から畳へと転落した音がしたかと思うと、
次の瞬間、その音を発生させた張本人は、自分の安眠を妨害するという暴挙に出た人物に対して、
怒りの鉄拳を見舞うべくキッチンへと飛び込んで来たのですが、
生憎その人物はかなりの低血圧で、まだ思考が殆ど回転していなかっため、
キッチンに到着した時点では、その怒りどころか、
自分の身に降りかかった厄災そのものをすっかり忘れてしまっていたのでした。
さて、寝ぼけ眼(まなこ)ながら今キッチンに飛び込んできたこの人物こそが、
先程から何度か話題に出てきていた美少女でありまして、
名前を惣流・アスカ・ラングレーちゃん(14歳・女)といいまして、
一般的にはアスカちゃんと呼ばれています。
彼女はドイツ系アメリカ人のクォーターで、その情熱的とも言える素晴らしい赤毛と、
均整の取れたプロポーション、すらりと伸びた牝鹿のような手足、
勿論フェイスに関しては文句のつけようが無い程で、
第一中学において1・2を争う美少女の1人なのです。
実はシンジ君は、このアスカちゃんの事を憎からず思っているのですが、
内気でシャイな彼には、自分の秘めた思いを彼女に告げる事など到底出来る筈もありません。
今の彼の楽しみと言えば、自分が作ったご飯を、彼女が文句を言いながらも、
綺麗さっぱりに平らげてくれる事と、「バカシンジ!」 と名前を呼ばれる事、
あるいわ、ヘッドロックをかまされたり、
その綺麗な長い足でア○ネスト・ホ○ストばりの芸術的なハイキックをくらって、
ちょっとアッチの世界へと短時間の旅行を楽しむ事と、
1歩間違えればチョッチ危ない世界にはまり込んでしまいそうなのですが、
そんな事でも、当のシンジ君にとっては実に楽しく、かつ嬉しい事なのでした。
その証拠に彼女が越してくる以前、シンジ君は1度ミサトさんの余りのだらしなさに耐えきれなくなり、
ここからの脱出を試みた事があるのですが、
1介の中学生である彼が、そうそううまく事を運べる訳もなく、
早晩保安部という、そういった事を専門に手がけている連中に発見され、
あっという間に連れ戻されるという悲哀を味わった事があるのです。
ところが彼女が越してきて、一緒に住むようになってからというもの、
以降そんな素振りを欠片も見せる事は無く、実に幸せそうな毎日を送っていたのでした。
「ア・アシュカ〜」(;_;)
「ちょ、ちょっとどうしたのよミサト、暑苦しいわね離れなさいよ!」(>_<)
それ迄は寝ぼけ眼だったアスカちゃんですが、ミサトさんが泣きながら彼女に抱きついて来た事で、
はっきりと目が覚めたみたいで、そう言ってミサトさんを引き離しにかかるのですが、
元々自分よりも体の大きいミサトさんは、その分だけアスカちゃんよりも力持ちなので、
仲々離れてくれません。
とうとう根負けしたアスカちゃんはミサトさんを引き離す事を一旦断念し、
シンジ君にいったい何が起こったのかを尋ねる事にしました。
「シンジ! アンタいったいミサトに何したのよ!」(-_-)
「ぼ、僕は何にもしてないよ」(-_-;)
「嘘おっしゃい! 何にもしてないのにミサトがこんな風になる訳ないでしょ!」(?_?)
「そんな事言われても、してないものはしてないんだよ!!」(~o~)
日頃おとなしいシンジ君が珍しく声を荒げた事で、多少アスカちゃんも吃驚したようです。
シンジ君に対する追求はひとまず棚上げする事にして、
今度は悲鳴を上げた張本人であるミサトさんに原因を聞こうと思ったのですが、
肝心のミサトさんの様子はというと、
「イヤ・・ 駄目なの・・ 許して・・ お願い・・」(T_T)
と、むせび泣きながら、謝罪とも拒否ともとれる言葉を小声で繰り返すだけで、
この有様では到底彼女からどういった事態が発生したのかを聞き取れそうにはありません。
そうこうしているうちにも朝の貴重な時間はどんどんと過ぎ去っていきます。
アスカちゃんはほとほと困り果ててしまいました。
ミサトさんは自分をがっしりと捕まえたままで一向に解放してくれる気配はなく、
このままでは学校に行くどころか、彼女が1日のうちで楽しみにしている出来事の中でも、
ベスト3に入るもののうちの1つが消化出来なくなってしまいそうです。
因みにそのベスト3の中味をスケジュールの順番に並べて行きますと、
朝−シンジ君が作ってくれた朝食を食べる事。
昼−シンジ君が作ってくれたお弁当を食べる事。
夕−シンジ君が作ってくれた夕食を食べる事。
とまあ、こういった感じになっているのですが、
ただ、実際のランキングに関してはその時のメニューによって毎日変動しているのですが、
唯一、ハンバーグだけは圧倒的にポイントを稼いでいる品目で、
これが入っていた場合は、例外なくその時の食事がベスト1に輝く事になっているのです。
それ程彼女はシンジ君の食事を楽しみにしており、それを味わう事が出来なくなるというのは、
彼女にとって一大事なので、
もう1度、ただし今度は穏やかにシンジ君にその時の状況を尋ねる事にしました。
「ねえシンジ・・・ もう1度思い出してよ、ミサトが悲鳴を上げる前にいったい何があったのかを」(^_^)
「そう言われても・・・・・・ 本当に何もしてないんだよ」(・_・)
自分を悪者と決めつけたアスカちゃんの先程の言葉には、
思わずムッとして声を荒げてしまったシンジ君ですが、元々彼女の事を嫌っている訳では無いので、
アスカちゃんがやや下手に出てくると現金なもので、
真剣にその時の様子を思い出して見るのですが、やっぱり思い当たる事がありません。
「う〜ん、困ったわね〜、じゃあさシンジ、その時の事を再現してみましょうよ。
もしかしたら何か見落としがあったかもしれないし。ね、良いでしょう〜」(^_-)
「う、うんわかったよアスカ」(^^;)
おやおや、やっぱりシンジ君はアスカちゃんに頼まれるとイヤとは言えないようですね。
ともかくシンジ君はアスカちゃんの要望に沿って、
ミサトさんが悲鳴を上げるその直前の状況を再現してみる事になったみたいです。
さてそのキャスティングですが、シンジ君の役柄は当然シンジ君本人が演じる事にして、
ミサトさんの役は他に人も居ませんのでアスカちゃんが行う事になりました。
それでは再現フィルムを見てみましょう。3・・・2・・・1・・・
『わかりました。これを見て下さい』(^,^)
『え、どれどれ?』(+_+)
『・・・・・・・・・』(-_-;)(-_-;)
シンジ君が指した部分を、今度はアスカちゃんが覗きにかかります。
本当であればここで彼女の悲鳴が響き渡る筈だったのですが、アスカちゃんが見た所、
別段へんてこりんな所や、恐怖を呼び覚ますようなものは全く見あたりません。
顔を見合わせるシンジ君とアスカちゃん。
『わかった?』『全然!』とでも目と目で語り合っているのでしょうか。
原因を即断する迄には至らなくとも、せめてヒントぐらいは掴めるのでは、
とアスカちゃんは考えていたのですが、どうやらその欠片も出てきそうにはないようです。
けれど1度や2度の失敗でへこたれる彼女ではありません。
さっさとミサトさんを排除して、おいしいシンジ君の朝食にありつくために、
シンジ君に対して、テイク2を実施する事を呼びかけます。
「う〜ん、わかんないわね。ね、シンジもう1度やってみましょう」(^o^)
「わかったよアスカ、でも時間もあんまり無いから、もう1回だけだよ」(^-^)
再び配置につく2人。
今度こそ、どんな些細な事でも見落としがないようにと、アスカちゃんはより一層気合いを入れて、
スタートの声がかかるのを待ち受けていました。
『わかりました。これを見て下さい』(^,^)
『え、どれどれ?』(+_+)
前回より数段気合いの入った眼差しで、シンジ君が指した部分を凝視するアスカちゃん。
先程はシンジ君が指した部分を、覗き込みはしたものの、
それ程じっくりと眺めた訳では無かったので、気づかなかったのですが、
よくよく見てみると、シンジ君の顎の部分にチョロっと1本だけ、
髭が生えていたのを見つけ、思わずその事を口にしてしまいます。
「何よ、これってただ髭が1本生えているだけじゃない」(=_=)
ビクッ!
「え?」(?_?)
それ程深く考えていた訳ではなく、アスカちゃんはただ見たまんまの情景を、
ポツリと口に出しただけなのですが、彼女にしがみついているミサトさんが、
どういう訳かその言葉にあからさまな反応を見せたため、かえって彼女の方が驚いてしまいました。
まさか!
とは思うものの一応念のために確認しようと、アスカちゃんはもう一度その台詞を口にします。
「髭が生えてる」(-。-)
ビクビクッ!
「シンジに髭が生えた〜」(^o^)
「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
お父さん、止めてー。お母さん、助けてー。加持嫌〜い。ゲンドウ嫌〜い」(×_×)
すっかり幼児退行現象を起こしてしまったミサトさん。
どうやら途中から続く彼女のこの状態は、どうもシンジ君の髭にあるようです。
実はミサトさんには、セカンドインパクト以外にもう1つ、
拭っても拭っても拭いきれない深い心の傷があったのです。
その悲劇が起きたのは彼女がまだ小学校に上がる前の事でした。
ミサトさんの父親は学者だったのですが、それ迄は殆ど無名に近い存在で暇を持て余しており、
よく彼女の相手をしてくれていて、
彼女もどちらかというと、母親よりもむしろ父親の方になついていたような状態だったのです。
ところが、研究成果の一つが認められるや否や、彼女の父親の生活は一変し、
今度は逆に殆ど家に帰れないような状況になってしまったのです。
母親は側に居るものの、やはり小さい子、特に女の子にとって、
父親が居ない生活が続くというのはこたえたようですが、それでも彼女は廻りに気を遣い、
決して人前では寂しそうな表情を浮かべる事はありませんでした。
皮肉な事に、悲劇は彼女が待ち望んでいた父親が、
しばらくぶりに家に戻ってきた事によって引き起こされてしまったのです。
「ミサト!」(^^)
「お父さん!」(^o^)
ミサトさんが待ち望んでいた父親に抱きつき、それ迄と全く同じに頬ずりをした瞬間の事です。
ジョリ!
それは幼い少女にとって、あまりにも異様な感触でした。
研究所の中で缶詰になっていた父親は、身綺麗にしていた家にいた当時とは異なり、
その頬の部分がすっかりと髭に覆われていたのでした。
依頼彼女はすっかり男性の髭に対して拒否反応を示すようになってしまったのです。
さすがにその時から20年以上が経過し、精神的にも大分強くなった彼女は、
何とかゲンドウの前でも取り乱すような事は無くなったのですが、
今から約10年前、まだ大学生だった当時は、まだその影響がかなり色濃く残っていて、
結果として恋人だった加持と別れるハメになってしまう程なのでした。
どうやら今回の事は、「シンジ君に髭が生える」 という、
全く予想だにしていなかった事が発生したせいで、久しく忘れていた恐怖が、
ミサトさんの胸の中に呼び覚まされた事によって起きたものらしいです。
そんな事とはつゆ知らないアスカちゃん。
面白がって髭を連発したのは良いのですが、ますますミサトさんにきつく抱きつかれ、
遂には身動きがとれなくなってしまい、学校へ向かうどころか、
シンジ君が用意してくれた朝食にもしばらくの間、おあずけをくらうハメになってしまうのでした。
けれども1時間半程経ってからでしょうか、ミサトさんの方も落ち着きを取り戻してきたようで、
ようやくアスカちゃんは解放され、結局2時間遅れで学校へと向かう事になるのですが、
彼女の場合は、まあ自業自得なので仕方ないとしても、それにつきあわされ、
自分も遅刻扱いとされてしまったシンジ君の方が、あまりといえばあまりにも可哀想なのですが、
とにもかくにも何とか事態は沈静化の時を迎える事が出来たみたいです。
ホント! ご苦労さまでした、シンジ君。
しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
事件はこれだけでは終わらなかったのです。
何故なら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
ミサトさんとは正反対に、髭の事をいたく気に入っている美少女と美女が、
第一中学とネルフ本部にそれぞれ1人、存在していたのです。
果たして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
なんと、髭だったとは……
え? 何を想像したかって?
それは、内緒。(爆)
しかし……○ツコさんと○イちゃんも
髭好きだとわ。(汗)
う〜む。
シンジ君の災難(?)はまだまだ続きそうです。(笑)
Luna Blu 五萬ヒット記念に業師さんから頂いてしまいました。
『少年よ・・・ 大人になれ〜(*^_^*)』です。
そしてこれは業師さんにとって、『問題無い』シリーズではない、初のTV版準拠作品だそうです。
そんな大切な作品を頂いてしまって……
嬉しいっすー。(T-T)
業師さん、ありがとうございましたぁ!(^^)/
この作品を読んでいただいたみなさま。
今のあなたの気持ちを、メールにしたためてみませんか?
難しいことはいりません。
みなさまの感想こそ物書きの力の源です。
業師さんのメールアドレスは wazashi@nifty.comです。
さあ、じゃんじゃんメールを送ろう!