KISSの温度-S Edition-
朝
思わず・・・
開いた瞳を閉じてしまうくらいの眩しい朝日が、
カーテン越しに窓辺から射し込む。
直に確かめたわけではなかったけど、
どうやら今日は凄く良い天気のようだった・・・
でも・・・
『頭が重い・・・』
何故だかそんなことを思いながら、
ボクは再びベットに横になる・・・
今日は日曜日。
学校は当然休みだし、ネルフでの訓練も今日は休み・・・
『久しぶりにゆっくりしていられるなぁ・・・』
靄が掛かったような、
そんな意識の中、ボクは再び瞳を閉じて布団に潜る・・・
隣に眠る彼女の温もりを感じながら・・・静かに・・・
『・・・ ・・・ ・・・』
『・・・ ・・・』
『・・・』
『・・・彼女??』
ガバッ!!
布団を跳ね起き、開口一番。
「って、何で隣にアスカがいるんだぁ〜!?(@@)」
「ってゆ〜か、何でボクは裸なんだぁ〜!?(*@@*)」
「・・・朝っぱらからうるさいわね、バカシンジ・・・」
もの凄く眠たそうな声が聞こえる・・・
苦悩するボクを余所に、アスカは静かに愚痴を零しながら、
その綺麗なブルーアイズでボクを見つめた・・・。
腰程まである蜂蜜色の綺麗な髪。
白いうなじ・・・やや浮き上がった鎖骨・・・その全てに思わず見とれてしまう。
もぞもぞと動きながら、シーツで胸元を隠す姿は・・・
何というか・・・もの凄く刺激的で・・・有る意味妖艶さを醸し出していて・・・
・・・って・・・何故・・・裸??
やばい・・・非常にやばい・・・
昨日の夜のこと・・・全く覚えてないぞ・・・
ってゆ〜か・・・二人とも裸ってことは・・・まっ・・・ましゃか!?
こ・・・この真実をアスカに追求されたら・・・(−−;
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ・・・
・・・逃げよう(ぉ
「じゃあ、そう言うことで・・・」
そう言って、さり気なく部屋から出ていこうとするボクの後頭部を、
アスカはその小さな手でガシッと捕まえる・・・
「・・・待ちなさい」
女の子とは思えない握力に
『やっぱり、小さいときから訓練していると凄いなぁ・・・』
などと、場違いなことを考えながら、恐る恐る後ろを振り向く・・・
「なっ・・・なにアスカ?初めての夜を覚えてないとか、
そんな理由で出ようとしたわけじゃないんだよ、いや本当に・・・」
アスカの表情は、別に怒っているようではなかった。
むしろ・・・それどころか心配そうな表情でボクを見つめている・・・
にも拘わらず、そう言いながら明らかに動揺を隠せないボクは、
アスカの表情にすら気が付かないほど、現実に対処できなくて・・・
「・・・あんた・・・覚えてないの・・・昨日の夜のこと・・・声を挙げるほどあんなに激しかったのに・・・」
・・・いきなり来たぜ・・・松坂バリの直球が・・・
「いや、ホント今日は良い天気で、最高。っていうか洗濯日和・・・っと、その前に学校に行かないとね。」
「・・・今日は日曜日」
「・・・ゲッ・・・ゲフンゲフン・・・朝ご飯食べようかな・・・」
「・・・あんたが起きないと、誰もつくらない・・・いや、あたしじゃ上手につくれないわよ・・・」
「・・・ ・・・それもそうか」
「・・・
・・・うん・・・って、納得するなぁ〜!!」
「・・・ ・・・」
「・・・他に・・・言うことは??」
「・・・ありません」
呆然とするボクの表情を見たアスカは、静かに部屋着を纏い・・・
そして・・・
ボクの額に彼女の唇が触れた・・・
ひんやりとした小さな唇。
そっと、ボクの額に触れ・・・癒すように・・・
ほんの僅かな時間。
まるで時が止まったかのように・・・
だけど・・・いつしかボクの視線は、
目の前にある彼女の胸元に注がれていて・・・
『目・・・目のやり場が・・・(*@@*)」
そして・・・そこで記憶は途絶えた・・・
数刻後・・・
「よかったぁ〜熱もだいぶ下がったみたいだね〜」
「・・・ほえ?」
ボクの本日2度目の覚醒と共に、
アスカは嬉しそうな言葉と表情をボクに投げかける。
その時・・・
ボクの頬は、紅く染まっていて・・・
この雰囲気には余りにも場違いな程に間抜けだったらしく・・・
彼女はクスクスッと無邪気に笑う・・・
事態を把握したボクは、静かにベットから這い出て、
そのままリビングに向かい、遅い朝食を作ることにした。
トーストとベーコンエッグ、
それと・・・甘くて暖かいハニーティー。
「でもさ?なんで裸で一緒に寝ていたの??」
アスカのマグカップにミルクティーを注ぎながら、質問を投げかける。
当然と言えば当然であるその質問に、彼女の頬は真っ赤に染まっていく・・・
「・・・本当に・・・覚えてないんだ・・・・・・昨日の晩の事・・・」
彼女用に作ったサラダをつまみながら、
アスカは深刻な表情で、静かに言葉を零した・・・
「・・・まさか(@@)」
「そう・・・そのまさかよ・・・」
アスカがジト目でボクを見つめる。
その視線から逃れられるわけもなく、ボクは正直に解らないと告げる・・・
「実はね・・・」
なんか、もの凄く嫌な予感がするんだけど・・・気の所為だろうか・・・
「ほら・・・ミサト出張っているでしょ??
で、あんたが夕食つくりながら、いきなり倒れたから・・・あたしパニックッちゃって・・・」
「うん・・・それで・・・」
「クスリ飲ませて、ベットに連れてって寝かしつけたまでは良かったのよ・・・」
「うんうん・・・」
「でもね・・・あんたが寒そうにしているし、魘されているから・・・
あたし・・・本当にどうして良いか解らなくてミサトに電話したのよ・・・」
「アスカ・・・多分、その時点で間違いに気が付かないかな??」
「・・・うん、今思えばそう思う。けど・・・困っちゃったし、パニックになっていたし・・・」
「それで・・・ミサトさんは、なんて言ったの??」
「・・・『寒さを防ぐには、人肌が一番効くのよんっ♪』っていうから・・・」
そこまで言うと、
アスカはそれはもう茹で蛸のように真っ赤になっていて・・・
両手で頬を押さえながら『イヤンイヤン』のポーズで、身体をくねらせている・・・
そんなアスカを置き去りに、
ボクは静かに携帯電話を取り出し・・・
pi・・・po・・・pa・・・
「・・・夕食抜き、それとえびちゅ一ヶ月禁止」
それだけ言って、携帯の電源を切る。
念のため、家の電話回線も抜いておこう・・・
「ケホッ・・・ケホッ・・・」
朝食を終えて、不意に咳き込むアスカ。
さっきまでの恥ずかしさで頬が赤いのではなく、
どことなく熱っぽい感じでボクを見つめる・・・
「アスカ・・・まさか・・・」
「感染っちゃった・・・かな?えへへ・・・」
小さく笑うアスカの表情は、本当に具合が悪そうだったけど・・・
でも、なんか少しだけ嬉しそうにも見える・・・
「だっ・・・大丈夫??」
ちょっと焦り始めるボク。
でも、アスカはにこやかに微笑み掛けて、そっとボクを制した。
「大丈夫よ・・・それよりも・・・」
アスカは少しだけ潤んだ瞳で、ボクを見つめると・・・
「・・・暖めて・・・くれるよね??」
そう言って・・・小さく震えるアスカは少し寂しそうに・・・
だけど・・・可愛らしい笑みを零した・・・
「・・・確か・・・借りは10倍返し・・・だっけ??」
ボクはクスクスっと笑いながら、アスカに問いかける。
「・・・わかってるじゃん・・・バカシンジの癖に・・・」
アスカは嬉しそうにそう言って、静かに瞳を閉じて・・・
「バカは・・・風邪惹かないと思うんだけどなぁ〜」
そう愚痴を零しながら、
ボクは小さく震える彼女を抱きしめて・・・
抱きしめた彼女からは・・・夏の日向の匂いがして・・・
『この恋の病だけは・・・どうか治りませんように・・・』
ボクは・・・そんな小さな願いを込めて・・・
唇を・・・重ねた・・・
fin
-後書き-
みなさまこんにちわ。
Luna Blu初見参のTAKUと申します。
以前から「KISSの温度」の企画には参加してみたい・・・
と思っていまして、今回の作品を書き上げることが出来ました。
この作品が思い浮かんだ経緯・・・
シンジの一人称のお話+可愛らしいアスカの表情が思い浮かんで・・・
それに微妙なギャグと電波が折り混ざって、こういった一つの作品として完成することが出来ました。
構想+執筆・・・合わせて5時間ほどで出来たのは、初めてかも(^^;;;
『全然萌えないぞ!』『面白くないぞっ!』・・・等の至らない点は・・・ご了承下さい(_ _)
最後に・・・
作品を掲載して頂いたなおさま。
また、最後まで読んで下さった読者の皆様、本当にありがとうございます。
もし宜しければ感想のmailなど頂けたら、とても嬉しいです(^^)
それでは・・・
Luna Bluのますますの発展を祈って・・・
Copyright(C)2001.08.29
All rights reserved.
Special thanks to nao !!
and Thank you for reading !!