「ねぇ、シンジ?
 本当はアタシの気持ち。知っているんでしょ?
 なのになんでそんな態度、取るの?
 シンジ冷たい。
 ほかの子にやさしいのに、なんでアタシにだけ冷たいの?
 わかってる。
 あたし、全然女の子らしくないものね。
 うん。自分でも自覚しているんだ。
 料理や炊事、洗濯。
 みんな、シンジに任せっきりで。
 こんな子、いやだよね?
 シンジはもっとおしとやかで物静かな子が好みだって知っているんだよ?
 何故知っているかって。
 それは、アタシがいつもシンジを見ているから。
 うふふ。知らなかったでしょ?
 アタシ、思ったことと反対のことが口に出るの。
 本当にイヤな性格。
 好きな人の前では自分を偽ってしまうの。
 多分、本当の自分を知られるのが怖いからだと思うの。
 でも、今日は思い切って打ち明けるわ。
 だって一年に一度の、お正月ですもの
 『一年の計は元旦にあり』
 日本人はうまいこと言ったわよね?
 あ、あと『据え膳食わぬは男の恥』
 って言うのもあったよね?
 どう?
 あたし、ちゃんと勉強しているでしょ。
 なんて言っても、将来は日本の奥さんになるんですもの。
 きゃっ。
 言っちゃた。恥ずかしい。
 ねぇ、シンジ
 女の子にここまで言わせて、それでも男なの。
 あ、わかった。
 『あ、アスカ、なんてかわいいんだ。和服姿もよく似合う。ああどうしよう、このままじゃ理性を抑えられない』
 なんて思っちゃったりしているわけでしょ。
 うふふ……。
 えっちね。
 でも、ちょっとだけだったら……いいよ。
 だって、ほら、なんだかこの部屋。とっても暑いわ。
 ね、シンジ。
 アタシ……どう?
 ねぇったらぁ」
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だれですか?
 アスカにお酒を飲ませたの?」
 
 
 アスカは迫り上戸 なのでした。
 
 
 
 


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