map_sさんの
KISSの温度「A」Edition 2nd

「・・・・・アスカ、入るよ?」
 
 返事はなかった。
 けれど、僕は襖を開けて部屋の中へと入る。
 少しだけ頬を上気させ、ベッドに横たわる彼女。
 彼女を起こさぬよう、そっと頭の下へと手を入れる。
 そして、生暖かくなった氷枕を新しいものへと取り替える。
 彼女が熱を出してから数日、何度も繰り返してきた行為。
 静かな寝息が、身体の状態が良くなりつつある事を表していた。
 
「早く・・・・良くなるといいね」
 
 寝ている彼女の唇にそっとくちづけた後、僕は静かに部屋を出た。
 
 
 

★★★

 
 
 さらに、数日が過ぎ。
 僕は街を歩いていた。
 右腕にぶら下がるようにくっつく彼女とともに。
 
「・・・良かったね、元気になって」
「うん、アリガト・・・・シンジ。
 こうしてアタシが元気になったのも、全部シンジのおかげよね」
「アスカが元気で居られるなら、僕は何だって出来るよ」
「・・・・・・ホントに?」
 
 彼女の瞳が輝く。
 アスカの笑顔を見ると、僕も嬉しくなる。
 だから僕は頷いた。
 
「へへへ・・・・二言はないわね?」
 
 彼女の笑みが、少しだけイジワルなものへと変わる。
 何かを思いついた、子供のように。
 
「じゃ・・・・・もっと元気ださせて♪」
「もっと?」
「・・・・・・あの時みたいに・・・・ね?」
「・・・・あの時って?」
「氷枕変えてくれた時みたいに♪」
「・・・・・起きてたの?」
「・・・・・・・へへ♪」
「・・・・アスカ・・・・・」
「は・や・くぅ♪」
 
 僕はその時、自分の言葉に、行為に後悔した・・・・・・・・ほんの、ちょっとだけ。
 こんな街中でなんて、恥ずかしさに堪えられない。
 ・・・・でも、彼女の笑顔に敵うわけがない。
 
 僕は歩きながら身を屈め、見上げるアスカの唇にKissをした。
 
 彼女は向日葵のように、笑った。
 
 
 


管理人のコメント

 ええ、アスカさんの笑顔に勝てるものはありません。
 はっきり言いましょう。
 無敵です。(笑)

 でも……街中でなんて……
 「フケツよぉ〜〜!」(爆)
 でも、シンちゃん……大胆。(汗)


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