「・・・・・アスカ、入るよ?」
返事はなかった。
けれど、僕は襖を開けて部屋の中へと入る。
少しだけ頬を上気させ、ベッドに横たわる彼女。
彼女を起こさぬよう、そっと頭の下へと手を入れる。
そして、生暖かくなった氷枕を新しいものへと取り替える。
彼女が熱を出してから数日、何度も繰り返してきた行為。
静かな寝息が、身体の状態が良くなりつつある事を表していた。
「早く・・・・良くなるといいね」
寝ている彼女の唇にそっとくちづけた後、僕は静かに部屋を出た。
さらに、数日が過ぎ。
僕は街を歩いていた。
右腕にぶら下がるようにくっつく彼女とともに。
「・・・良かったね、元気になって」
「うん、アリガト・・・・シンジ。
こうしてアタシが元気になったのも、全部シンジのおかげよね」
「アスカが元気で居られるなら、僕は何だって出来るよ」
「・・・・・・ホントに?」
彼女の瞳が輝く。
アスカの笑顔を見ると、僕も嬉しくなる。
だから僕は頷いた。
「へへへ・・・・二言はないわね?」
彼女の笑みが、少しだけイジワルなものへと変わる。
何かを思いついた、子供のように。
「じゃ・・・・・もっと元気ださせて♪」
「もっと?」
「・・・・・・あの時みたいに・・・・ね?」
「・・・・あの時って?」
「氷枕変えてくれた時みたいに♪」
「・・・・・起きてたの?」
「・・・・・・・へへ♪」
「・・・・アスカ・・・・・」
「は・や・くぅ♪」
僕はその時、自分の言葉に、行為に後悔した・・・・・・・・ほんの、ちょっとだけ。
こんな街中でなんて、恥ずかしさに堪えられない。
・・・・でも、彼女の笑顔に敵うわけがない。
僕は歩きながら身を屈め、見上げるアスカの唇にKissをした。
彼女は向日葵のように、笑った。
管理人のコメント
ええ、アスカさんの笑顔に勝てるものはありません。
はっきり言いましょう。
無敵です。(笑)
でも……街中でなんて……
「フケツよぉ〜〜!」(爆)
でも、シンちゃん……大胆。(汗)