map_sさんの
KISSの温度「A」Edition


「いくわよ、シンジ・・・・」
 
 彼女の顔が迫る。
 僕は目を閉じ、彼女を受け容れた。
 
 切歯、犬歯、臼歯。
 表も、裏も。
 歯肉の際を、優しくなぞるように。
 僕の口腔内を、彼女は縦横無尽に動き回る。
 
「あ・・・・・・ん・・・」
 
 開いた口から、思わず漏れる声。
 端から一筋、涎が垂れていく。
 
 痛みなどはない。
 寧ろ、心地良い。
 
 彼女の為すがまま。
 されるがまま。
 
 僕は動く事を許されない。
 彼女を受け容れる以外、何も出来ない。
 
「・・・・・うがい、しなさいよ・・・・・」
 
 そっけなく言い、そばから離れていく彼女。
 鏡の中から、彼女の姿が・・・・・・消えた。
 
 
 
「・・・・ふぅ、さっぱりしたぁ・・・・・ありがとう、アスカ」
「い、いいわよお礼なんて・・・・だって・・・・」
「でもさ・・・・それ、いつまで握ってるつもり?」
「え・・・・あ!!」
 アスカは手の中にある僕の歯ブラシを見て、慌てて洗面所へと駆け込んでいき、すぐに戻ってきた。
「ぶぅ・・・・シンジのイジワルぅ!」
「ははっ・・・ゴメン、ゴメン」
「ンもう・・・お仕置きしてあげるから、目を瞑りなさいっ!」
「・・・・・」
 
 ちゅっ♪
 
「あ・・・」
「・・・・へへ♪」
 僕の首に両手を回し、身体を寄せるアスカ。
 僕は包帯でぐるぐる巻きになった両手で、彼女をそっと抱きしめた。
 
 溶岩流の中で掴んだ、彼女の手。
 その時僕は、彼女の心も掴む事が出来た。
 
 僕は・・・・・とっくに捕まえられてたけどね。
 
「大好きだよ・・・・・シンジ♪」
 
 耳元で囁かれる、甘い声。
 答えの代わりに、僕はもう一度唇を合わせた。
 
 
 ・・・・・ラヴラヴ?(笑)
 
 
 


管理人のコメント

 お仕置き……いいなぁ。(爆)
 や、実は僕も歯を磨いてあげてます。
 子供のですけど。(^^;


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