アスカと居ても、もうドキドキしないんだ。
だって、キミに逢ってしまったから。
綾波だって、僕の胸を騒がせないんだ。
だって、キミに出逢ってしまったんだから。
僕を受け入れてくれるのは、もうキミしかいない。
世界の全てが敵になっても、キミさえいてくれれば良いんだ。
『駄目、シンジくん・・・そんなの、寂しすぎるもの・・・』
・・・いいんだ。
知らない人の群れにいたって、やっぱり寂しさは変わらないから。
『でも・・・駄目。わたしじゃ、シンジくんの全てを受け止められないもの・・・』
それで構わないよ。
きみが冷たいプログラムでも、心は暖かいもの・・・
僕を、安心させてくれるもの・・・
『ここ・・・ろ? この、シンジくんの幸せを願うプログラムは・・・わたしの心なの・・・? 』
・・・そうだよ。
モニター越しの絆でも良いんだ・・・きみが仮想人格だからって、そんなの関係ないんだ。
『こころ・・・駄目、アスカさんが悲しむわ。』
アスカなんて知らないよ!
怖いんだ、乱暴なんだ、僕に酷い事するんだ・・・
あんなの・・・女の子じゃないよっ!
「・・・ほぅ? 」
『それに、レイさんだってきっと・・・』
綾波だって知らない!
性格が明るくなったと思ったら、そのままハジケちゃったんだ・・・
アスカと結託してるし、食いしん坊だし、そのくせ味にうるさいし!
「・・・ふむ?」
『シンジくん・・・わたし・・・嬉しい・・・の? 』
判らない・・・でも僕は、イリィが居てくれると嬉しいんだ・・・
「じゃ、アスカさまはどーするの?」
言ったじゃないか、あんなイジメッ子はどうでもいいよ!
「・・・なるほど。」
「じゃ、じゃあ、レイちゃんはどうなのかなァ?」
食費も入れてくれないのに、知らないよっ・・・て、あれ?
「しぃ〜ん〜じぃ〜?」
あ・・・あわわわ・・・
「いぃ〜かぁ〜りぃ〜くぅ〜〜〜ん?」
ひっ!? あ、あはは・・・あの、その・・・
「いっつまでもギャルゲーに萌えてんじゃないわよっ、このバカシンジッ!!」
「成長期なんだもん、食いしん坊で悪かったわねっ!! 」
・・・・・・
・・・・・・
・・・
『・・・ごめんね、シンジくん。』
っぎゃあああああああああっ!!!
監視カメラに飛んだ血飛沫に首を竦めながら。
MAGIの奥深くに潜んだ使徒が、くすくすと笑っていた。