それは3月14日の 事・・・
地底深くに設置された ネルフ本部
更に地下深い場所にある・・・ネルフ総司令 碇ゲンドウの 部屋
その部屋の中 ゲンドウと冬月が いつもの仕事をこなしていた
時計が午後5時を指そうとしてる頃
ゲンドウは机の上の書類を片づけ始める
「 なんだ? 今日はもう終わりか?」
不思議そうに 声をかける 冬月
どう見ても ゲンドウの仕事が 全て済んだようには見えない
すると 碇司令は 書類を仕舞いながら 『 ニヤリッ 』と笑った
「 ・・・ふっ、今夜は忙しいものでな 」
「 今日? 確定申告でもするつもりか?」
ちなみに 申告期限は3月15日である
もちろん、某男のように ぎりぎりになるまで 申告書類を書いている訳でもなく、そもそも 国際公務員である彼は 書く必要さえない
冬月の質問に 男は嘲笑の笑みを浮かべる
「 ふっ、今日は何の日かも わからなくなったか・・・無様だな 」
そして机の一番下の引き出しを開けた
冬月が覗き込んでみると、その中にあったのは・・・箱
ピンクや赤の包装紙に包まれ、色鮮やかなリボンで飾られた いくつもの箱
思わず うめき声を洩らす 老人
「 ま、まさか・・・これは?」
「 ・・・ふっ、バレンタインの チョコだ 」
がっくりと頭をたれた老人を 男は微笑みながら 見下ろした
ネルフのトップの位置にある ゲンドウと 冬月
その為か 2月14日になると かなりの数の 『義理チョコ』を貰っていたのだ・・・
・・・そう 今までは
しかし
今年は 違った
全ては 男の『癒し』の所為
ネルフの女子職員達は
下手に『義理チョコ』なんぞを配ったら、『三倍返し』の『癒し』があるのではないか と 恐れたのだ
・・・それは あながち 間違いでもないのだが
それで 今年は自粛しようという動きになり
司令にもあげないのだから、副司令にだけ 配る訳にもいかず
今年の冬月は いささか 寂しい バレンタインを迎えたのであったのだが・・・
「 ・・・何故だ? 何故、お前が・・・」
震える声の老人に、勝ち誇った顔の ゲンドウ
「 ふっ、知らなかったか?私はこの街の少女達にも 人気があるだよ・・・」
そう言って チョコに添えられた カードを見せる
丸っこい字で 書かれた その メッセージは・・・
【 碇くんへ( はぁと) 】
「 ふっ、何故か アスカ君やレイが 私宛ての チョコレートを沢山 持ってきてくれてね・・・ふっふっふっ この私の事を 『 碇くん 』と呼んでいるとか・・・今時の 女子中学生というのも 無邪気なモノだな・・・」
ちょっと 頬をピンクに染めて ニヤニヤと微笑む ゲンドウ
「 当然、三倍返しだな・・・」
と、何処からか 『ホワイトチョコ』を取り出すと、そのピンクの唇に塗りたった
「 ・・・そんな訳で 今夜は 忙しいのだ 」
『 碇、それは違うぞ 』
老人は何度 心の中で 叫んだだろう
しかし 遂に口にする事はなかった
『 勘違いの反動』が他の人・・・この場合 すぐ脇に居る 自分に返ってくる事を 恐れたのだ
『 すまん、わたしには 君達を救う事は出来ない・・・無力なわたしを 許してくれ・・・』
心の中で血涙を流し、老人は顔を背ける
唇にチョコを塗り終わると ゲンドウは メモを取り出す
『三倍返し』の少女達の アドレス
「 ふむ、ナオミにチズル、クーコ、ペーコ、・・・これは愛称だな。ラビス・・・外人か?・・・トオルにケン? ひょっとして男か?」
そして白い唇を不気味に歪ませた
「 全然、問題 ない 」
この話は フィクションです
従って 実在する人物 ハンドル名とは 一切 関係ありません(笑)
管理人のコメント
どらこさんから、ホワイトデー記念に頂いてしまいました。
一ヶ月ぶりの『G』です。(^^;
……三倍返しですか。
やられたほうはいい迷惑ですね。
いや迷惑というより、下手すると『死』ぬかも。(^^;
しかし……ハンドル名。
いやだなぁ。(^^;
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