ぼそぼそと男達の密談が進む
「 ・・・やはり 計画が・・・」
「 老人達が・・・
「 ・・・委員会の・・・支部から・・・」
「 ・・・シナリオの・・・アダムが・・・」
ここは とあるホテルの一室
中で 低い声で話し合っていたのは 3人の男
白髪の老人は 背筋をピンと 伸ばし
無精ひげの男は 終始 にやにやした顔
そして
赤いサングラスをかけた ヒゲの男は 言葉少なげだった
やがて 会議が終わったのだろう
謎めいた空気が薄れて、男達の顔から鋭さが 消えていく
書類をまとめながら、白髪の老人が ふと気づいたように 不精ひげに 向かった
「 そう言えば、加持君。女子職員からの苦情が殺到しているのだが・・・」
向けられた男は とぼけた顔
「 おや、そうですか?」
「 あぁ、『 しつこくデートに誘われた 』 とか 『 いきなりキスされた 』 とか 『 酔っ払っていたら知らぬ間に・・・』 とか・・・なんとか ならんかね?」
やれやれ という老人
規律を重んじる彼にとって、職場内で このような不謹慎な事が起きるのは あまり嬉しい事ではない
事実 彼のデスクの上には 抗議 と対処への要望の紙が 積み上げられている
「 確かに 恋愛は自由だがね・・・君はいささか やり過ぎじゃないかね?」
すると 彼は どこか男くさい笑みを浮かべる
「 すみませんね、副司令。なんせ これは 『病気』みたいなモノでね 」
あくまでも とぼけた口調
しかし その返事を聞いた老人は うすく笑った
そして 隣のサングラスに話し掛ける
謎めいた 微笑と 目配せ
「 ・・・聞いたか、碇・・・加持君は『病気』だそうだ 」
すると サングラスの男が ヒゲだらけの唇を にやりっ と歪ませた
「 ・・・『 病気 』か・・・やはり 癒さねばならんな・・・」
ガタンッ
テーブルの上の カップがひっくり返った
顔面蒼白な加持
恐怖に震える瞳をヒゲの上司に当てると 奴は妖しげな笑みで返す
「 ま、ま、まさか・・・」
「 ふっ、問題ない・・・」
バンッ
力強く テーブルを叩く
「 今日はこれで 失礼させてもらいます 」
逃げるように去ろうとした 加持
しかし2,3歩歩いたところで 急に足の力が消えた
膝にふんばりが効かなくなり がっくりと 腰を下ろす
「 な、なんにゃ こりは・・・」
同時に口も効かなくなった
床の上にひっくり返り、脅えた顔で 見渡す
と
そんな床の上を さっきまで 飲んでいたコーヒーカップが コロコロと転がっていった
「 みゃ、みゃしゃか・・・」
回らぬ口で叫ぶ加持
そんな彼を Gは にやりっ と笑った
「 ・・・計画通りだ 」
床の上を這い回ろうとする加持
しかし その手足の力は 限りなく弱い
老人は痛ましそうな目で 彼をそっと見やる
「 すまんな、加持君。こうなったら 碇に委ねるしか手段は残らなかったのだ・・・」
そして目を背けた
にやりっと 嬉しげな黒ヒゲ
「 ふっ、流石は赤木博士だな・・・効き目も時間も 計画通りだ 」
と、転がったコーヒーカップをテーブルに戻した
恐るべきは 赤木製の筋肉弛緩剤
無味無臭のそれは コーヒーの中にこっそりと仕掛けられていたのだ
全ては シナリオ通りだった訳である
「 ふっ、私が癒してやろう・・・」
動けない加持に ゆっくりと迫る G
彼の視界には 黒いやぶの中のピンクの食肉花が 次第に大きくなっていく
しわだらけの 艶々した厚い唇
真っ赤な舌が ちらりと笑った
「 う、うにゃぁぁぁぁぁぁ♪ 」
そして 声が回らない 悲鳴が 唐突に途絶えた
ピチャ ピチャ♪
ムチュ ムチュ♪
気味の悪い音と共に
加持とゲンドウの おぞましい キスシーンは マギを仲介して 全世界に流された
当然の事ながら それ以降 加持の周囲から 女性の姿は消える
しかし そのデーターは 日本政府や ゼーレも知るところとなった
「な、なんと あの2人はそんな関係だったのか!?」
「 どこか うさん臭い男だったが・・・碇と あれだったか・・・」
「 ・・・『鈴』は 腐っていたのだな・・・」
こうして 鳴らない鈴は 鳴らないままに 破棄される事が決定
アルバイト先を首になった加持は 仕方なく ネルフ専属となった
この事が 後に彼の命を救うのだが、まだ この世界では誰も それを知らない・・・
なおのコメント(^ー^)/
うげげぇ。女の子とGの組み合わせは、あわれ という思いがありますが、男とGの組み合わせはあまり見たくありませんねぇ。(^^;;;
しかも、擬音まで……(^^;;;
でも、これで加持の命を救ったのですから、やはり「G」はすごいと言わざるを得ません。(滝汗)