ただっ広い 部屋の中
男が ひとり 笑っていた
「 ふっ・・・これが アダムの力か・・・」
薄暗い部屋の中で 男のサングラスだけが キラリッと 光る
「 素晴らしい・・・素晴らしいぞ、これは・・・」
不気味な含み笑いだけが 響いていった・・・
『 先輩の事 尊敬してますし、自分の仕事もします。・・・でも、納得できません。』
彼女は追い込まれていた
敬愛する上司への思い
しかしながら、事態を静観できない 潔癖さ
それでも 崩せない 責任感
理不尽な 子供達の扱いや ダミープラグの件。まるで それを振り払うかの様に 彼女は 仕事一筋に 打ち込んだ
彼女の名前は 伊吹マヤ
自分で 自分を 追い込んでしまった マヤは、いつしか ひどい不眠症になっていた・・・
「 ・・・マヤ、少しは 休みなさい。」
「 いえ、大丈夫です。先輩 」
「 顔色が 悪いわよ。・・・又 眠れなかったのね 」
「 ・・・・・・はい 」
重いため息を吐く リツコと、すっかり 目にくまが 出来てしまった マヤ
「 昨日も薬を使って やっと 2時間くらいは・・・」
彼女の力ない声が、ぼそぼそと 流れる
そんな2人が居る 発令所
そこに・・・
「 伊吹2尉、伊吹2尉。 至急 総司令のところに 出頭して下さい 」
アナウンスが 流れると、彼女は 怪訝な顔をした
「 一体、何 かしら・・・」
司令室
大きなデスクの上で いつもの ポーズと 笑みを洩らす 男・・・碇 ゲンドウ
「 ・・・御苦労 」
「 あの・・・私に 何か?」
相手は ゲンドウだ。緊張しながらも、彼女は 疑問を捨て去る事は 出来なかった
「 ふむ・・・君は 眠れないそうだね?」
「 あっ・・・はい 」
「 君は 技術部の中でも 貴重な存在だ。そんな君が 万全の体勢でない というのは いささか 困った事になね・・・」
「 ・・・申し訳ありません 」
「 計画が これ以上 遅延するのも 困る。・・・そこでだ。私が 力になろう。」
スクッと 立ち上がる ゲンドウ
マヤは 脅えた顔で 部屋中を見回した
部屋には ゲンドウと 彼女だけ
いつも居るはずの 副司令の姿は どこにもない
( そ、そんな・・・)
ゲンドウは 脅える彼女の様子を伺うと かすかな 笑みを浮かべた
「 この間の サード チルドレンの1件・・・覚えているかね? 実は あれから 私には
不思議な力を授かってね・・・」
脳裏の浮かぶ ゲンドウとシンジの キスシーン
( うっ・・・)
思わず 立ち上がる 嘔吐感を 必死にこらえた
『 見たくありません! 私 これ以上 見たくありません!」
記憶に浮かぶ 自分の叫び声
そして ゲンドウは ゆっくりと 歩き出した
・・・彼女に向かって
「 ・・・ふっ、問題ない 」
沸き立つ 恐怖感
本能が 危機を訴える
彼女は 強ばった顔を 左右に振った
「 い、いや。司令・・・」
「 ふむ・・・癒して欲しいのだな・・・」
ひとり 早合点すると、唇を 歪める ゲンドウ・・・それとも わざとか?
ニュ♪
黒い髭の中に ピンクの”花”が 咲いた
艶々した 毒の花
( あ、あれが、私に・・・)
おぞましい予感が 彼女の心を 痺れさせる
( 逃げなきゃ、逃げなきゃ・・・)
気持ちばかり 焦るが、何故か 足がすくんで 動かない
( な、何で・・・)
絶望感が 大きく圧し掛かる
しかし、恐怖に襲われた彼女の体は、凝固した様に 動けなかった
肉食動物に 狙われて 思わず 体が すくむように・・・
もう、あの男は すぐ 側まで やってくる
「 い、いや・・・」
うわ言のような か細い声
恐ろしさで 大きく見開かれた瞳に、男の笑みだけが 浮かぶ
「 ふっ・・・問題ない 」
ゲンドウの唇が ニヤリと歪んだかと 思うと、
次の瞬間、プクッ〜と 丸く 膨らんだ
ムゥゥ と 唇を突き出す 髭オヤヂ
ちょっとだけ 赤く染まった頬が、妖しかった
赤いサングラス
黒い ひげ
そして 楕円形に 膨張した ピンクの唇
「 ひっ・・・」
彼女は それ以上の光景に耐え切れずに、自ら 闇の中に 沈んだ
立ちながら 失神したのだ
その為 それ以降の彼女の 記憶は ない
・・・幸運な ことに
結果
伊吹マヤは 三日三晩 意識を回復する事が なかった
そして 自分を傷つける 全ての記憶を 失った
・・・というより 消去したのである
ベットの中で 静かに眠る 彼女の寝顔(失神)を 見て
男は つぶやいた
「 ・・・全ては シナリオ通りだ・・・」
暑苦しい日々に 一服の 涼しさを(爆)
なおのコメント(^ー^)/
これは、なんとコメントしたらよいのでしょう。(汗)
しかも、シリーズなのですかっ?!
シンジ、マヤちゃんと来て、被害は拡大する方向に伸びているようです。
次の犠牲者は……(汗)
しかし、これがちょうど五萬ヒット(汗)