どらこさんの
KISSの温度「G」Edition 3rd

 ただっ広い 部屋の中
 男が ひとり 笑っていた
「 ふっ・・・これが アダムの力か・・・」
 薄暗い部屋の中で 男のサングラスだけが キラリッと 光る
「 素晴らしい・・・素晴らしいぞ、これは・・・」
 不気味な含み笑いだけが 響いていった・・・
 
 
 
『 先輩の事 尊敬してますし、自分の仕事もします。・・・でも、納得できません。』
 彼女は追い込まれていた
 敬愛する上司への思い
 しかしながら、事態を静観できない 潔癖さ
 それでも 崩せない 責任感
 理不尽な 子供達の扱いや ダミープラグの件。まるで それを振り払うかの様に 彼女は 仕事一筋に 打ち込んだ
 彼女の名前は 伊吹マヤ
 自分で 自分を 追い込んでしまった マヤは、いつしか ひどい不眠症になっていた・・・
 
「 ・・・マヤ、少しは 休みなさい。」
「 いえ、大丈夫です。先輩 」
「 顔色が 悪いわよ。・・・又 眠れなかったのね 」
「 ・・・・・・はい 」
 重いため息を吐く リツコと、すっかり 目にくまが 出来てしまった マヤ
「 昨日も薬を使って やっと 2時間くらいは・・・」
 彼女の力ない声が、ぼそぼそと 流れる
 そんな2人が居る 発令所
 そこに・・・
「 伊吹2尉、伊吹2尉。 至急 総司令のところに 出頭して下さい 」
 アナウンスが 流れると、彼女は 怪訝な顔をした
「 一体、何 かしら・・・」
 
 
 司令室
 大きなデスクの上で いつもの ポーズと 笑みを洩らす 男・・・碇 ゲンドウ
「 ・・・御苦労 」
「 あの・・・私に 何か?」
 相手は ゲンドウだ。緊張しながらも、彼女は 疑問を捨て去る事は 出来なかった
「 ふむ・・・君は 眠れないそうだね?」
「 あっ・・・はい 」
「 君は 技術部の中でも 貴重な存在だ。そんな君が 万全の体勢でない というのは いささか 困った事になね・・・」
「 ・・・申し訳ありません 」
「 計画が これ以上 遅延するのも 困る。・・・そこでだ。私が 力になろう。」
 スクッと 立ち上がる ゲンドウ
 マヤは 脅えた顔で 部屋中を見回した
 部屋には ゲンドウと 彼女だけ
 いつも居るはずの 副司令の姿は どこにもない
 ( そ、そんな・・・)
 ゲンドウは 脅える彼女の様子を伺うと かすかな 笑みを浮かべた
「 この間の サード チルドレンの1件・・・覚えているかね? 実は あれから 私には
 不思議な力を授かってね・・・」
 脳裏の浮かぶ ゲンドウとシンジの キスシーン ( うっ・・・)
 思わず 立ち上がる 嘔吐感を 必死にこらえた
『 見たくありません! 私 これ以上 見たくありません!」
 記憶に浮かぶ 自分の叫び声
 そして ゲンドウは ゆっくりと 歩き出した
 ・・・彼女に向かって
「 ・・・ふっ、問題ない 」
 
 沸き立つ 恐怖感
 本能が 危機を訴える
 彼女は 強ばった顔を 左右に振った
「 い、いや。司令・・・」
「 ふむ・・・癒して欲しいのだな・・・」
 ひとり 早合点すると、唇を 歪める ゲンドウ・・・それとも わざとか?
 ニュ♪
 黒い髭の中に ピンクの”花”が 咲いた
 艶々した 毒の花
 ( あ、あれが、私に・・・)
 おぞましい予感が 彼女の心を 痺れさせる
 ( 逃げなきゃ、逃げなきゃ・・・)
 気持ちばかり 焦るが、何故か 足がすくんで 動かない
 ( な、何で・・・)
 絶望感が 大きく圧し掛かる
 しかし、恐怖に襲われた彼女の体は、凝固した様に 動けなかった
 肉食動物に 狙われて 思わず 体が すくむように・・・
 もう、あの男は すぐ 側まで やってくる
「 い、いや・・・」
 うわ言のような か細い声
 恐ろしさで 大きく見開かれた瞳に、男の笑みだけが 浮かぶ
「 ふっ・・・問題ない 」
 ゲンドウの唇が ニヤリと歪んだかと 思うと、
 次の瞬間、プクッ〜と 丸く 膨らんだ
 ムゥゥ と 唇を突き出す 髭オヤヂ
 ちょっとだけ 赤く染まった頬が、妖しかった
 赤いサングラス
 黒い ひげ
 そして 楕円形に 膨張した ピンクの唇
「 ひっ・・・」
 彼女は それ以上の光景に耐え切れずに、自ら 闇の中に 沈んだ
 立ちながら 失神したのだ
 その為 それ以降の彼女の 記憶は ない
 ・・・幸運な ことに
 
 
 結果
 伊吹マヤは 三日三晩 意識を回復する事が なかった
 そして 自分を傷つける 全ての記憶を 失った
 ・・・というより 消去したのである
 ベットの中で 静かに眠る 彼女の寝顔(失神)を 見て
 男は つぶやいた
「 ・・・全ては シナリオ通りだ・・・」
 
 
 
 
 
 
 暑苦しい日々に 一服の 涼しさを(爆)
 
 
 

seiriyu@e.jan.ne.jp

なおのコメント(^ー^)/

 これは、なんとコメントしたらよいのでしょう。(汗)
 しかも、シリーズなのですかっ?!
 シンジ、マヤちゃんと来て、被害は拡大する方向に伸びているようです。
 次の犠牲者は……(汗)
 
 しかし、これがちょうど五萬ヒット(汗)


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