キスの温度 H Edition

アスカ嬢生誕記念・・・かな?











私は彼女が羨ましい。

彼女は綺麗で、頭も良くて、スポーツだって万能。
更には大学を既に卒業し、現役パイロットというキャリアまである。

そしてもっと羨ましいのは・・


碇君の恋人だということ。


ううん、違う。
恋人・・なんて、一言で言える関係じゃない。

あの二人には真の絆があるの。

決して他人には入り込めない絆。
私なんかでは、とても彼女に太刀打ち出来ない。
あの綾波さんでさえ勝負にならなかった。

私にはとても無理。

いくら私が、碇君を好きであろうとも・・


出会ったのは私が先。
最初はあんまり興味なんか持って無くて、私は鈴原に恋してた。

でも私は気付いてしまった。

彼の優しさと心の哀しみに。

彼は誰よりも優しくて、繊細で・・
そして愛に飢えてた。

だけどその時はもう遅くて、彼の傍には彼女・・アスカと綾波さんがいたの。

二人とも、私なんか話しにならないくらい綺麗で魅力的な女の子。
しかも碇君の事を・・

私は自分の思いを心の奥底に閉じこめ、碇君を忘れるために鈴原と付き合う事にした。
だけど・・

だけど私はやっぱり、碇君が好き。

一度でもいい、彼とキスがしたい。


付き合ってる彼氏がいるのに他の人に恋してるなんて、これも不倫って言うのかな・・










「ふふふふふ、俺が王様だ。
下僕ども、俺様の命令を」


「ふざけんじゃないわよ!このバカ!」


ドバキ!


「ぐふっ・・そ、惣流、効いたぜ今のは」


「誰がアンタの下僕になったのよ。
これはゲームだって事忘れるんじゃない!
分かったらさっさと指示を出す!」



「りょ、了解であります」


今日はアスカの誕生パーティ。
ここ何年かは碇君と二人きりで祝ってたアスカだけど、今年は心境の変化があったのか知り合い
を呼んでのパーティ。

と言っても、人数は限られてるけど・・

アスカ本人と碇君・・私とトウジ、そして相田。
これだけ。

葛城さんは仕事を休めないそうだし、綾波さんは出席を拒否。
噂では霧島さんとデートだとか・・
まさか、そんなはずはないわね。

このメンバーだから気心は知れてて、一通り飲み食いしてプレゼントの贈呈も終わって
今は楽しいゲームタイム。

相田が何を思ったか王様ゲームやろうなんて言い出して。

私は少し不安だったけど、無茶な命令出す人もいなくて盛り上がってる。
たまに相田がアスカにどつかれてるくらいかしらね。

それにしてもトウジ・・

他人の家に来たなら少しは遠慮しなさいよ。
大口開けてガバガバ食べて。
だらしないったらないわ。
恋人の私が恥かくじゃない。

それに引き替え碇君・・

最近益々格好良くなったわね。
何か落ち着いちゃってさ。

体も大分逞しくなったし。

あの体に、アスカは毎日抱かれてるのかしら・・

あれ?


「あら、私が王様ね」


チャンスよ!

王様の権限をフルに使って、碇君にキスをせがむのよ!

これはゲーム。
本当はいけないんだけど・・少しだけお酒も入ってるし、アスカも目くじら立てないわよ!

さあ行くわよ、碇君!


「じゃあね・・キスを」


「大胆だな洞木!みんなの前でトウジにキスしてもらいたいとは!」


「え?い、いえ、あの」


このバカ相田!!変態野郎!!

碇君とのキスを邪魔して!
ホントに殺すわよ!


「勘弁してくれへんか、ヒカリ。
恥ずいで」


トウジまで何その気になってんのよ。
碇君の前であんたとキスなんかしないわよ!


「そ、そうね、やめとくわ」


くっ、せっかくのチャンスが・・
でもまだゲームは終わってないわ。

こうなったら次のチャンスを。


「おお!また俺が王様だぜ!」


ちっ、またあんたなの。
早く命令出してアスカに殴られればいいわ。

それがあんたの役所よ。


「じゃあ、洞木と碇にキスしてもらおうか」


「・・・・・え?」


ナイスよ!!

見直したわ、相田君!
あなたには私が責任を持って彼女を紹介してあげる!

遠慮する事なんてないの、私達友達じゃない!


「し、仕方ないわね、命令だもんね」


「え〜〜〜、参ったな。
いいの?アスカ」


「まあゲームだからね・・許すわ」


アスカ・・・
あなたっていい人ね。

やっぱりあなたは親友よ。

ああ、碇君が近づいてくる。

ふふふ、トウジの奴焦ってる。
しっかりしなさいトウジ。
あなたがいつまでもバカやってると、私は本当に碇君のものになっちゃうわよ。


さあ、碇君!私の唇を奪って!

そうよ、最初は手を握ってから・・・・・って、手?


「じゃあ洞木さん、失礼して・・」


ちゅ


手、手の甲にキスなんて・・


聞いてないわよ〜〜〜!!


「シンジ、口直し」


「アスカ、洞木さんに悪いよ」


「いいから」


「仰せの通りに・・」




ああ、碇君の唇がまたアスカと・・
私って・・不幸な女ね。


「ヒカリ〜、こっちも口直しせえへんか?」


「や、やめてよ」


何発情してんのよこのバカは。
いくら二人に刺激されたからって・・


「ええやないかい、ほら」


「やめなさいよ、この筋肉バカ!!」





しまった。
つい本音が・・

 


管理人のコメント
 アスカさんリアル生誕記念に、ヒカリちゃんバージョンを頂きました。
 本物のアスカさんは、今日世界のどこかで生まれているのですよね。(ぉ
 
 ヒカリちゃんですが、やっぱり暴走しています。(笑)
 でもゲームにかこつけてシンちゃんKISSする作戦は失敗。
 おまけに、ちらりと本音まで……。(笑)
 
 でらさん、ありがとうございました♪
 
 
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