Kissの温度 A Edition












「ねえ、キスしよっか?」


何度目になるか分からない台詞を彼にぶつけるアタシは、彼の返事を待つこともなく
その唇に吸い付く・・




初めてのキスはただの苦い思い出。
小説やドラマにあるような甘い雰囲気なんてどこにもない。

アタシも彼も、お互いの心を受け止める器がまだなかった。
彼はアタシに逃げ場を求めていただけだし、アタシはそんな彼を憎み・・突き放した。

彼を好きだと自覚したのは、皮肉にも戦いの中で自分の内面を暴かれた時。



内面世界・・
自分の外界に対する認識を現したシチュエーション。
街を歩く人の群れには顔も色もない。

その顔のない無数の群衆の中で、はっきり色と形を成していたのは加持さんと・・・・・
彼だった。

いつの間にか彼を求めていたアタシの心。



でもそれをはっきり口に出来たのは、全てが終わってから。

きっかけは彼からの告白。

アタシは返事の代わりにキスで応えた。
一度目のキスを帳消しにするような、甘いキスで・・・

アタシから拒絶されようと構わなかったって・・彼は後で言ってた。
そんなこと、万が一にもないのに。


それからアタシはいつでもキスを求める。
拒否なんて認めない。

彼と体を合わせるのも好き。
全てが一体になった満足感と震えるような快感はやみつきになりそう。

もうなってるかな・・


キスも好き。

彼の唇の温度から、湿り気から・・味から彼の体調が分かる。
人に話しても、誰も信じてはくれないけど。

でもアタシには分かるの。


今日は・・・

少し疲れ気味ね・・原因は言わぬが花。
アタシの唇で癒してあげてるんだから、文句なんか言わせない。

だから、もう一回・・・






「ア、アスカ・・ここ、どこだか分かってる?」


「第壱高等学校2年A組の教室」


「で、君が何をしてるかは?」


「愛しいシンジの膝の上に座って、これから二度目のキスをしようとしてるの」


静けさに支配された教室内にアスカの言葉が響く。
何の罪悪感もないようなその言葉に、誰も突っ込みを入れることが出来ない。


「き、気持ちは嬉しいんだけどさ、きょ、教室はまずいんじゃないかな・・」


「ここで拒否したら、当分Hは無しだからね」


「・・・・・」


「沈黙はOKの証ね・・じゃあ、二回目♪」





色惚け達のキスは続く・・

授業中の教室内で。









(またかよもう・・)
「授業を続けるぞ。
教科書の54ページだ・・ほら鈴木!何をよそ見しとる」


もはや注意する気力も失せた教師は彼らを無視して授業に入る。
それに、彼らがこの学校に入学してからこんなことは日常茶飯事・・
特に珍しいことでもない。

要はいないと思えばいいのだ。
独り身の教師にはつらい光景であるし・・


「ねぇ、もう一回〜」


「え?もう一回・・ですか・・・」
(うう、みんなの視線がきつくなってきた。でもH禁止は・・・)


「何だ!こんな問題も出来んのか、お前ら!
今まで何を勉強してきたんだ!」
(俺だってな、俺だってな・・)






教師に八つ当たりされるクラスメート達の視線が痛いシンジであった。



 


管理人のコメント
 うははははは!\(^o^)/
 アスカさんのらヴっぷりが最高♪
 シンジ君でなくとも逆らえません。
 ワタシが代わってあげたいくらいです。ええ。(爆)
 
 でらさんから、初投稿、初KISSです。
 ありがとうございます♪
 
 しかし、こんなのを見せられたらクラスメートはたまったもんではないッスね。(^^;
 ワタシが先生だったら、二人とも停学です♪
 停学になっても、アスカさんは懲りないでしょうけれども。(笑)
 
 読み始め、シリアスかと思いきや……
 まさかアスカさんがこんなに色惚けになるとは。(笑)
 久しぶりに、りびどー爆発の作品。
 とっても楽しめました♪
 
 
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