プランツドールパロ
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工藤新一は最近どうしてる?
相変わらずよ。依頼をバンバン受けてさっさと解決してガッポガッポ稼いでるわ。
ははは。変わんねーな。あいつも。
ふふふっ。そうだと思う?
はぁ?
今の新一君に会ってみなさいよ。かなり見物よ?
どうかしたの?あいつ。
どうかしたもなにも。ほんっとう笑っちゃうわよ。
何が?気になるじゃん。
あの人今までどんなに美人な依頼人に粉掛けられても冷たくあしらってまるで相手にしなかったから、世間じゃクールガイとか言われちゃってるでしょ?
ふんふん。
今やでれぇっと鼻の下伸ばしっぱなしよ。
ほ〜〜う。もしや遅すぎる春??
本当笑っちゃうほどめろめろなの。
信じられる?初恋なんですって。
やっぱり普通じゃないわよね?名探偵は。
見てみたいなぁ・・・その傾国の美女に。
驚くわよ?
何しろ新一君の腰までしかないようなカワイコちゃんなんだから!
・・・・え・・・・?
彼のお姫様はプランツドールよ。最高級品のね!
・・・・・
「おっす!」
玄関口に迎えに出てきた新一に園子はお嬢様らしからぬ挨拶をしてずいっと手に持っていた紙袋を突き出した。
中身を確認もせずに受け取り新一がニッコリと笑う。
「サンキュ。助かった」
「人を遣いっ走りにした代償は高いわよ?」
「せいぜい覚悟しておくよ」
意地悪く笑う園子を軽くあしらい、新一はポケットに無造作に手を突っ込む。
一向に園子を家に招き入れる気配はない。
「な〜に?この園子様をお茶にも呼んでくれない訳?」
「今日は完全オフ。ゆっくりさせてくれ」
園子は新一の背後を伺うように体を伸ばした。
リビングの扉はしっかりと閉じられており中の様子をちらりとも窺わす事はなかった。
「愛しのプランツちゃんに会わせてよ」
園子が好奇心を隠し切れずにそう頼み込む。
しかし新一の返事はにべも無かった。
「駄目だ。あいつは人見知りが激しいから」
「なによ〜!そんな事言って本当は見せたくないだけでしょ!独占欲強そうだもんね。新一君」
「勝手に決め付けるな。プランツドールは繊細に出来てんだよ。園子と違って」
園子がぶすっと表情を返る。
「失礼ねー。私のこの繊細な心が分からないなんて探偵失格じゃないの?新一君」
文句をズバッと言って園子は再び新一に強請る。
「別に会わせてくれたって良いじゃない!プランツちゃんだってあんたの代わり映えしない顔ばっか見てるよりも外の人間に会う方が楽しいに決まってるでしょ?部屋の中に閉じ込めて可哀想だと思わないの?!」
「まだ時期じゃない。・・・それより園子?これから京極氏とデートだろ?時間良いのか」
あっさりと新一が真実を言い当てると園子がかぁっと頬を染めた。
「な・・なんで分かったのよ!」
「俺んち来るだけにしてはめかし込んでるからな」
園子のいでたちに目をやって新一がにやにやと笑う。
人の事なら平気で茶化す園子も自分の事となると途端に弱いのだ。
まるで逃げるように踵を返すと園子は振り向きざま言葉を投げた。
「今日は諦めるけど、次は会わせてよね!プランツちゃんに!」
まるで台風一過のように園子が返っていくと新一はやれやれと溜め息を吐いた。
背後で戸が開くカチャッという音がする。
蕩けるような笑顔で新一が振り返った。
「蘭」
恐る恐る現れた少女にゆっくりと新一が頬擦りする。
「お友達・・・帰っちゃったの?」
鈴のような軽やかな声が耳を打つ。
「ああ。でもまた近い内に来るだろうな。あいつ諦めが悪いから」
「・・・ごめんね。お家にお友達上げられないの私の所為でしょ?」
そう言って蘭は自分の体を見下ろした。
ほっそりとした足。
くびれたウエスト。
伸びやかな腕。
長くつややかな黒髪。
パンと張り出たバスト。
そう・・・蘭はプランツドールという外見から大きくかけ離れた姿をしていた。
まるで・・・人間の乙女のように。
「蘭の所為じゃないよ。俺がお前を誰にも未だ見せたくないんだ」
腰を抱き寄せその瑞々しい唇に唇を重ねる。
甘い匂いに目眩を起こしそうになる。
「もうしばらく俺だけの蘭で居てくれ・・・な?」
「うん」
愛情を糧に愛する人に釣り合うように自らの意志で育ったプランツドールはウットリと見惚れるような甘い笑顔を浮かべた。
その笑顔に魅入られたように頬に、瞳に、その唇にキスのシャワーを浴びせる新一を止める者は誰一人としてこの部屋に居なかった。
ゆっくりと床に押し倒して、その首筋に顔を埋めて、ボタンを一つずつ外していく。
オフの過ごし方はもう決まっている。
誰にも邪魔されず二人だけで・・・
End
2013/05/04 再UP
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