環境マネジメントシステム−仕様及び利用の手引

Environmental management systems -Specification with guidance for use

JIS Q 14001:1996
( ISO 14001:1996 )

 

目次

0. 序文

1. 適用範囲


2. 引用規格


3. 定義

3.1  継続的改善(continual improvement
3.2  環境(environment
3.3  環境側面(environmental aspect
3.4  環境影響(environmental impact
3.5  環境マネジメントシステム(environmental management system
3.6  環境マネジメントシステム監査(environmental management system audit
3.7  環境目的(environmental objective
3.8  環境パフォーマンス(environmental performance
3.9  環境方針(environmental policy
3.10 環境目標(environmental target
3.11 利害関係者(interested party
3.12 組織(organization
3.13 汚染の予防(Prevention of pollution

4. 環境境マネジメントシステム要求事項

4.1  一般要求事項
4.2  環境方針
4.3  計画
4.3.1  環境側面
4.3.2  法的及びその他の要求事項
4.3.3  目的及び目標
4.3.4  環境マネジメントプログラム
4.4  実施及び運用
4.4.1  体制及び責任
4.4.2  訓練、自覚及び能力
4.4.3  コミュニケーション
4.4.4  環境マネジメントシステム文書
4.4.5  文書管理
4.4.6  運用管理
4.4.7  緊急事態への準備及び対応
4.5  点検及び是正処置
4.5.1  監督及び測定
4.5.2  不適合並びに是正及び予防処置
4.5.3  記録
4.5.4  環境マネジメントシステム監査
4.6  経営層による見直し

附属書A(参考) 仕様の利用手引

A.1 一般要求事項
A.2 環境方針
A.3 計画
A.3.1  環境側面
A.3.2  法的及びその他の要求事項
A.3.3  目的及び目標
A.3.4  環境マネジメントプログラム
A.4 実施及び運用
A.4.1  体制及び責任
A.4.2  訓練、自覚及び能力
A.4.3  コミュニケーション
A.4.4  環境マネジメントシステム文書
A.4.5  文書管理
A.4.6  運用管理
A.4.7  緊急事態への準備及び対応
A.5 点検及び是正処置
A.5.1  監視及び測定
A.5.2  不適合並びに是正及び予防処置
A.5.3  記録
A.5.4  環境マネジメントシステム監査
A.6 経営層による見直し

附属書B(参考) JIS Q 14001JIS Z 9901とのつながり

附属書C(参考) 参考文献

 

 

0. 序文
0.1 この規格は、1996年第1版として発行されたISO 14001Environmental management systemsSpecifcation with guidance for use)を翻訳し、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

0.2 あらゆる種類の組織は、自らの環境方針及び環境目的を考慮して、自らの活動、製品又はサービスが環境に及ぼす影響を管理することによって、健全な環境パフォーマンスを達成し、実証することへの関心を高めてきている。環境マネジメントシステムの普及は、厳しさを増す法規制、環境保全を助長するための経済的政策及びその他の対策の開発、並びに持続可能な開発を含む環境問題に対する利害関係者の関心の高まりを背景としている。

 多くの組織は、自らの環境パフォーマンスを評価するために、環境上の“見直し”及び“監査”に着手している。しかしながら、これらの“見直し”及び“監査”を行っただけでは、組織のパフォーマンスが法律上及び方針上の要求事項を満たし、かつ、将来も満たし続けることを保証するのに十分ではないかもしれない。これを効果的なものとするためには、体系化されたマネジメントシステムの中で実施し、かつ全経営活動と統合したものにする必要がある。

 環境マネジメントに関する規格には、組織の環境上及び経済上の目標達成を支援するために、他の管理要求事項と統合し得るような効果的な環境マネジメントシステムの諸要素を組織に提供する意図がある。他の規格と同様に、これらの規格は、非関税貿易障壁を生みだすため、又は組織の法的な義務を増大若しくは変更するために用いられることを意図したものではない。

 この規格は、そのような環境マネジメントシステムの要求事項を規定している。この規格は、あらゆる種類・規模の組織に適用でき、しかも様々な地理的、文化的及び社会的条件に適応するように作成した。そのアプローチの基本を、図1に示す。このシステムの成功は、すべての階層及び部門の関与、特に最高経営層の関与のいかんにかかっている。この種のシステムは、組織が環境方針及び目的を設定し、それらとの適合を達成し、更にそのような適合を他者に対して実証するための手順を確立し、その有効性を評価できるようになっている。この規格の全体的な目的は、社会経済的ニーズとのバランスの中で環境保全及び汚染の予防を支えることである。要求事項の多くは、同時に着手されてもよいし、いつ再検討されてもよいことに留意するとよい。

 組織の環境マネジメントシステムの審査登録、及び/又は自己宣言のための要求事項を示すこの仕様と、環境マネジメントシステムを実施し、改善するために組織を総合的に支援することを目的とした、審査登録を対象としない指針との間には、重要な違いがある。環境マネジメントは、戦略及び競争力に関連のあるすべての事柄を包含するものである。この規格をうまく実施していることを示せば、組織が適切な環境マネジメントシステムをもつことを利害関係者に納得させることができるであろう。


 環境マネジメント技法の支援に関する指針は、別の規格に含まれるであろう。

 この規格は、審査登録の目的、及び/又は自己宣言の目的のために客観的に監査しうる要求事項だけを含んでいる。広範な環境マネジメントシステム事項について、より一般的な指針を必要とする組織は、JIS Q 140041996“環境マネジメントシステム−原則、システム及び支援技法に関する一般指針”を参照するのが望ましい。

 この規格は、方針に表明されている、適用できる法規制の遵守及び継続的改善に対する約束以上の、環境パフォーマンスに関する絶対的要求事項を規定するものでないことに留意するとよい。したがって、二つの組織が、同様な活動を実施してはいるが異なる環境パフォーマンスを示す場合であっても、共にその要求事項を満たすことがあり得る。

 一連の環境マネジメント技法の体系的な方法による採用及び実施は、すべての利害関係者にとって最適な成果をもたらすであろう。しかし、この規格の採用そのものが最適な環境上の成果を保証するわけではない。環境目的を達成するためには、環境マネジメントシステムは、組織が適切なところでかつ経済的に実行可能なところで最良利用可能技術の適用に配慮することを奨励していることが望ましい。さらに、そのような技術の費用効果に充分の配慮をするとよい。

 この規格は、労働安全衛生管理の側面を取り扱うものではなく、それらの要求事項を含んでもいない。一方、これは組織のそのようなマネジメントシステム要素の統合を阻むものでもない。しかしながら、審査登録プロセスは、環境マネジメントシステムの側面にだけ適用可能である。

 この規格は、品質システム規格のJIS Z 9900シリーズと共通のマネジメントシステム原則を共有している。組織は、環境マネジメントシステムの基礎として、JIS Z 9900シリーズに合致する既存のマネジメントシステムを使用しても差し支えない。マネジメントシステムの様々な要素の適用は、目的及び利害関係者の相違によって、異なることを理解することが望ましい。品質管理システムが顧客ニーズを取り扱うのに対して、環境マネジメントシステムは、広範囲の利害関係者のニーズ、及び環境保全に関して高まりつつある社会のニーズに対応するものである。

 この規格に規定する環境マネジメントシステムの要求事項は、既存のマネジメントシステム要素と独立に設定される必要はない。場合によっては、既存のマネジメントシステム要素を当てはめることによって、要求事項を満たすことも可能である。

1. 適用範囲
 この規格は、法的要求事項及び著しい環境影響についての情報を考慮しながら組織が方針及び目的を策定しうるように、環境マネジメントシステムの要求事項を規定する。この規格は、組織が管理でき、かつ、影響が生じると思われる環境側面に適用する。この規格自体は、特定の環境パフォーマンス基準には言及しない。

 この規格は、次の事項を行おうとするどのような組織にも適用できる。

 a)環境マネジメントシステムを実施し、維持し及び改善する、
 b)表明した環境方針との適合を保証する、
 c)その適合を他者に示す、
 d)外部組織による環境マネジメントシステムの審査登録を求める、
 e)この規格との適合を自己決定し、自己宣言する。

 この規格に示されるすべての要求事項は、どのような環境マネジメントシステムにも取り入れられるように意図されている。適用の範囲は、組織の、環境方針、活動の性質及び運用の状況のような要因に依存する。また、この規格は、附属書A(参考)として、この仕様の利用に関する参考手引を備えている。

 この規格のどのような適用の範囲も明りょう(瞭)に特定されていなければならない。

 参考 利用の便宜のために、この仕様及び附属書A(参考)の項目には、関連した番号を付けている。例えば、4.3.3A.3.3とは、共に環境目的及び目標を取り扱い、また、4.5.4A.5.4とは共に環境マネジメントシステム監査を取り扱う。

2. 引用規格
 現時点では、引用規格はない。

3. 定義
 この規格に用いる用語の定義は、次による。

3.1 継続的改善(continual improvement
 組織の環境方針に沿って全体的な環境パフォーマンスの改善を達成するための環境マネジメントシステムを向上させるプロセス。

 備考 このプロセスはすべての活動分野で同時に進める必要はない。

3.2 環境(environment
 大気、水質、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含む、組織の活動をとりまくもの。

 備考 ここでいう“とりまくもの”とは、組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ。

3.3 環境側面(environmental aspect
 環境と相互に影響しうる、組織の活動、製品又はサービスの要素。

 備考 著しい環境側面とは、著しい環境影響をもつか又はもちうる環境側面である。

3.4 環境影響(environmental impact
 有害か有益かを問わず、全体的に又は部分的に組織の活動、製品又はサービスから生じる、環境に対するあらゆる変化。

3.5 環境マネジメントシステム(environmental management system
 全体的なマネジメントシステムの一部で、環境方針を作成し、実施し、達成し、見直しかつ維持するための、組織の体制、計画活動、責任、慣行、手順、プロセス及び資源を含むもの。

3.6 環境マネジメントシステム監査environmental management system audit
 組織の環境マネジメントシステムが、その組織によって設定された環境マネジメントシステム監査基準に適合するか否かを決定するための証拠を、客観的に取得及び評価する体系的かつ文書化された検証プロセス、並びにこのプロセスの結果についての経営層とのコミュニケーション。

3.7 環境目的environmental objective
 環境方針から生じる全般的な環境の到達点で、組織が自ら達成するように設定し、可能な場合には定量化されるもの。

3.8 環境パフォーマンスenvironmental performance
 自らの環境方針、目的及び目標に基づいて、組織が行う環境側面の管理に関する、環境マネジメントシステムの測定可能な結果。

3.9 環境方針environmental policy
 行動のため並びに環境目的及び目標設定のための枠組みを提供する全体的な環境パフォーマンスに関連する意図及び原則についての組織による声明。

3.10 環境目標environmental target
 環境目的から導かれ、その目的を達成するために目的に合わせて設定される詳細なパフォーマンスの要求事項で、実施可能な場合に定量化され、組織又はその一部に適用されるもの。

3.11 利害関係者interested party
 組織の環境パフォーマンスに関心をもつか又はその影響を受ける個人又は団体。

3.12 組織organization
 法人か否か、公的か私的かを問わず、独立の機能及び管理体制をもつ、企業、会社、事業所、官公庁若しくは協会、又はその一部若しくは結合体。

 備考 複数の事業単位をもつ組織の場合には、単一の事業単位を一つの組織と定義してもよい。

3.13 汚染の予防Prevention of pollution
 汚染を回避し、低減し又は管理する、工程、操作、材料又は製品を採用することで、リサイクル、処理、工程変更、制御機構、資源の有効利用及び材料代替を含めてもよい。

備考 汚染の予防の潜在的な利点には、有害な環境影響の低減、効率の改善及びコストの削減が含まれる。

4. 環境境マネジメントシステム要求事項
4.1 一般要求事項
 組織は、環境マネジメントシステムを確立し、維持しなければならない。その要求事項は、この4.全体で述べられる。

4.2 環境方針
 最高経営層は、組織の環境方針を定め、その方針について次の事項を確実にしなければならない。

 a)組織の活動、製品又はサービスの、性質、規模及び環境影響に対して適切である、
 b)継続的改善及び汚染の予防に関する約束を含む、
 c)関連する環境の法規制、及び組織が同意するその他の要求事項を遵守する約束を含む、
 d)環境目的及び目標を設定し、見直す枠組みを与える、
 e)文書化され、実行され、維持され、かつ全従業員に周知される、
 f)一般の人が入手可能である。

4.3 計画
4.3.1 環境側面
 組織は、著しい、環境影響をもつか又はもちうる環境側面を決定するために、組織が管理でき、かつ、影響が生じると思われる、活動、製品又はサービスの環境側面を特定する手順を確立し、維持しなければならない。組織は、環境目的を設定する際に、これらの著しい影響に関連する側面を確実に配慮しなければならない。

 組織は、この情報を常に最新のものとしなければならない。

4.3.2 法的及びその他の要求事項
 組織は、その活動、製品又はサービスの環境側面に適用可能な、法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照できるような手順を確立し、維持しなければならない。

4.3.3 目的及び目標
 組織は、組織内の関連する各部門及び階層で、文書化された環境目的及び目標を設定し維持しなければならない。

 その目的を設定し見直しをするときに、組織は、法的及びその他の要求事項、著しい環境側面、技術上の選択肢、財政上、運用上及び事業上の要求事項、並びに利害関係者の見解に配慮しなければならない。

 目的及び目標は、汚染の予防に関する約束を含め、環境方針と整合させなければならない。

4.3.4 環境マネジメントプログラム
 組織は、その目的及び目標を達成するためのプログラムを策定し、維持しなければならない。プログラムは次の項を含まなければならない。

 a)組織の関連する各部門及び階層における、目的及び目標を達成するための責任の明示、
 b)目的及び目標達成のための手段及び日程、

 プロジェクトが、新規開発及び新規若しくは変更された活動、製品又はサービスに関する場合には、環境マネジメントがそのようなプロジェクトにも確実に適用されるように、プログラムの該当部分を改訂しなければならない。

4.4 実施及び運用
4.4.1 体制及び責任
 効果的な環境マネジメントを実施するために、役割、責任及び権限を定め、文書化し、かつ伝達しなければならない。

 経営層は、環境マネジメントシステムの実施及び管理に不可欠な資源を用意しなければならない。資源には、人的資源及び専門的な技能、技術並びに資金を含む。

 組織の最高経営層は、特定の管理責任者(複数も可)を指名しなければならない、かつ、その責任者は、次に示す役割、責任及び権限を、他の責任にかかわりなく、与えられていなければならない。

a) この規格に従って、環境マネジメントシステムの要求事項が確立され、実施され、かつ維持されることを確実にすること、
b) 見直しのため及び環境マネジメントシステムの改善の基礎として、最高経営層に環境マネジメントシステムの実績を報告すること。

4.4.2 訓練、自覚及び能力
 組織は、訓練のニーズを明確にしなければならない。組織は、環境に著しい影響を生じる可能性のある作業を行うすべての要員が、適切な訓練を受けていることを要求しなければならない。

 組織は、関連する各部門及び階層においてその従業員又は構成員に、次の事項を自覚させる手順を確立し、維持しなければならない。

a) 環境方針及び手順並びに環境マネジメントシステムの要求事項に適合することの重要性、
b) 作業活動による顕在又は潜在の著しい環境影響、及び各人の作業改善による環境上の利点、
c) 環境方針及び手順との適合、並びに緊急事態への準備及び対応の要求事項を含む環境マネジメントシステムの要求事項との適合を達成するための役割及び責任、
d) 規定された運用手順から逸脱した際に予想される結果。

 著しい環境影響の原因となりうる作業を行う要員は、適切な教育、訓練及び/又は経験に基づく能力をもたなければならない

4.4.3 コミュニケーション
 組織は、環境側面及び環境マネジメントシステムに関して次の手順を確立し、維持しなければならない。

a) 組織の種々の階層及び部門間での内部コミュニケーション、
b) 外部の利害関係者からの関連するコミュニケーションについて受付け、文書化し及び対応すること。

 組織は、著しい環境側面について外部コミュニケーションのためのプロセスを検討し、その決定を記録しなければならない。

4.4.4 環境マネジメントシステム文書
 組織は、紙面又は電子形式で、次に示すことのために情報を確立し、維持しなければならない。

a) マネジメントシステムの核となる要素及びそれらの相互作用を記述する、
b) 関連する文書の所在を示す。

4.4.5 文書管理
 組緒は、次のことを確実にするために、この規格が要求するすべての文書を管理する手順を確立し、維持しなければならない。

a) 文書の所在が分かること、
b) 文書が定期的にレビューされ、必要に応じて改訂され、かつ所定の責任者によって妥当性が承認されること、
c) 環境マネジメントシステムが効果的に機能するために不可欠な業務が行われているすべての場所で、関連文書の最新版が利用できること、
d) 廃止文書は、すべての発行部署及び使用部署から速やかに撤去されること、そうでなければ意図されない使用がないように保証すること、
e) 法律上及び/又は情報保存の目的で保管されるあらゆる廃止文書は適切に識別されること。

 文書は、読みやすく、日付が(改訂の日付とともに)あって容易に識別でき、順序よく維持されて指定の期間保持されなければならない。種々のタイプの文書の作成及び改訂に関する手順と責任を確立し、維持しなければならない。

4.4.6 運用管理
 組織は、その方針、目的及び目標に沿って特定された著しい環境側面に関連する運用及び活動を特定しなければならない。組織は、メンテナンスを含むこれらの活動を、次に示すことにより、特定の条件の下で確実に実行されるよう、計画しなければならない。

a) その手順がないと環境方針並びに目的及び目標から逸脱するかもしれない状況に適用する文書化した手順を確立し、維持すること、
b) その手順には運用基準を明記すること、
c) 組織が用いる物品及びサービスの特定可能な著しい環境側面に関する手順を確立し及び維持すること、並びに供給者及び請負者に関連手順及び要求事項を伝達すること。

4.4.7 緊急事態への準備及び対応
 組織は、事故及び緊急事態について、可能性を特定し対応するための、並びにそれらに伴うかもしれない環境影響を予防して緩和するための手順を確立し、維持しなければなちない。

 組織は、必要に応じて、特に事故又は緊急事態の発生後には、緊急事態への準備及び対応の手順をレビューし改訂しなければならない。

 組織は、また、実行可能な場合には、そのような手順を定期的にテストしなければならない。

4.5 点検及び是正処置
4.5.1 監督及び測定
 組織は、環境に著しい影響を及ぼす可能性がある運用及び活動のかぎ(鍵)となる特性を定常的に監視及び測定するために文書化した手順を確立し、維持しなければならない。これには、パフォーマンス、関連の運用管理並びに組織の環境目的及び目標との適合を追跡するための情報を記録することを含まなければならない。

 監視機器は、校(較)正され維持されなければならず、かつ、このプロセスの記録は、組織の手順に従って保持されなければならない。

 組織は、関連する環境法規制の遵守を定期的に評価するための文書化した手順を確立し、維持しなければならない。

4.5.2 不適合並びに是正及び予防処置
 組織は、不適合を取り扱い調査し、それによって生じるあらゆる影響を緩和する処置をとり、並びに是正及び予防処置に着手して完了する責任と権限を定める手順を確立し、維持しなければならない。

 顕在及び潜在する不適合の原因を除去するためにとられるあらゆる是正処置又は予防処置は、問題の大きさに対応し、かつ、生じた環境影響に釣り合わなければならない。

 組織は、是正及び予防処置に伴う文書化した手順のあらゆる変更を実施に移し、記録しなければならない。

4.5.3 記録
 組織は、環境記録の識別、維持及び廃棄のための手順を確立し、維持しなければならない。これらの記録は、訓練記録、並びに監査及び見直しの結果を含まなければならない。

 環境記録は、読みやすく、識別可能であり、かつ、関連した活動、製品又はサービスに対して追跡可能でなければならない。環境記録は、容易に検索でき、かつ、損傷、劣化又は紛失を防ぐような方法で、保管され、雑持されなければならない。保管期限が定められ記録されなければならない。

 記録は、システム及び組織に応じて、この規格の要求事項への適合を示すために維持されなければならない。

4.5.4 環境マネジメントシステム監査
 組織は、次のことを行うために、実施すべき定期的環境マネジメントシステム監査のプログラム(複数も可)及び手順を確立し、維持しなければならない。

a) 環境マネジメントシステムが、
 1)この規格の要求事項を含めて、環境マネジメントのために計画された取決めに合致しているか、
 2)適切に実施され、維持されているか
否かを決定する、
b) 監査の結果に関する情報を経営層に提供する。

 組織の監査プログラムは、あらゆるスケジュールを含めて、当該活動の環境上の重要性、及び前回監査の結果に基づいていなければならない。包括的なものとするために、監査手順は、監査の範囲、頻度及び方法を、監査を実施し及び結果を報告するための責任及び要求事項とともに、含まなければならない。

4.6 経営層による見直し
 組織の最高経営層は、環境マネジメントシステムが継続する適切性、妥当性、かつ有効性を確実にするために、自ら定めた間隔で、環境マネジメントシステムを見直さなければならない。経営層による見直しのプロセスでは、経営層がこの評価を実施できるように、必要な情報が確実に収集されなければならない。この見直しは、文書化されなければならない。

 経営層による見直しは、環境マネジメントシステム監査の結果、変化している周囲の状況、及び継続的改善への約束に照らして、方針、目的、及び環境マネジメントシステムのその他の要素の変更の必要性に言及しなければならない。

 

附属書A(参考) 仕様の利用手引

 この附属書は、要求事項についての追加情報を与えるものであり、仕様の誤った解釈を避けることを意図している。この附属書は、4.に含まれる環境マネジメントシステム要求事項だけを対象としている。

 

A.1 一般要求事項
 この仕様に記述された環境マネジメントシステムを実施すれば、結果として環境パフォーマンスが改善されることをねらいとしている。この仕様は、改善の機会をとらえ実施に移すために、組織が定期的にその環境マネジメントシステムを見直し、評価するという概念を基礎においている。環境マネジメントシステムの改善は、結果的に環境パフオーマンスの改善を付加するであろう。

 環境マネジメントシステムは、継続的改善を達成するための体系化されたプロセスを提供し、その継続的改善の度合いと範囲は、経済的及びその他の状況に照らして、組織によって決められる。ある程度の環境パフオーマンスの改善は、一つの体系的なアプローチの採用によって期待できるが、環境マネジメントシステムは、組織自身が設定する環境パフォーマンスのレベルの達成及び体系的な管理を可能にするための手段であると理解されることが望ましい。環境マネジメントシステムを確立し運用しても、それだけでは、必ずしも環境への有害な影響を直ちに削減させることにはならないであろう。

 組織は、その境界を定める自由度と柔軟性をもち、組織全体に対してか、又は組織の特定の事業単位若しくは活動に対してかを選択して、この規格を実施してよい。特定の事業単位又は活動に対してこの規格を実施する場合には、組織の他の部署が立案した方針と手順が、対象とする特定の事業単位又は活動にも適用可能であれば、この規格の要求事項を満たすものとして用いることができる。環境マネジメントシステムの詳細さと複雑さの水準、文書化の範囲、及びそれに向けられる資源は、組織の規模と活動の性質に依存する。これは、特に中小企業についていえることかもしれない。

 環境に関する事項を全体的なマネジメントシステムに統合することは、効率化及び役割の明確化と共に、環境マネジメントシステムの効果的な実施に寄与することができる。

 この規格は、“計画、実施、点検及び見直し”の動的な循環プロセスに基づき、マネジメントシステムの要求事項で構成される。

 このシステムは、組織に次の事項を可能にすることが望ましい。

a) 組織にとって適切な環境方針を確立する、
b) 著しい環境影響を決定するために、組織の過去、現在又は計画された活動、製品、又はサービスから生じる環境側面を特定する、
c) 関連する法規制の要求事項を特定する、
d) 優先順位を特定し、適切な環境目的及び目標を設定する、
e) 方針を実施し目的と目標を達成するための、体制及びプログラムを確立する、
f) 方針が守られ、かつ、環境マネジメントシステムが適切であることを確実にするため、計画、管理、監視、是正処置、監査及び見直しの活動を促進する、
g) 変化する環境に適応できる。

A.2 環境方針
 環境方針は、環境パフォーマンスを維持し、潜在的には改善に結びつくように、組織の環境マネジメントシステムを実施し、改善するための原動力である。したがって、方針には、適用される法律の遵守と継続的改善に対する、最高経営層の約束を反映することが望ましい。方針は、組織がその目的及び目標を設定する基礎となる。方針は、内部及び外部の利害関係者が理解できるように十分に明確であり、また、変化している状況及び情報を反映して定期的に見直し、改訂することが望ましい。その適用の領域は、明確に特定できることが望ましい。

 組織の最高経営層は、その組織が属するより広い企業体の環境方針があるならばその枠内で、かつ、その承認を得て、環境方針を定め、文書に表すことが望ましい。

 備考 最高経営層は、組織に対し経営責任をもつ一人又は複数で構成されてもよい。

A.3 計画
A3.1 環境側面
 4.3.1には、組織が、環境マネジメントシステムによって優先的に取り上げるべき著しい環境側面を特定する、プロセスを提供する意図がある。このプロセスでは、分析にかかる費用及び時間、並びに信頼できるデータの利用可能性を考慮するのが望ましい。規制又は他の目的による既存の情報は、このプロセスで利用してもよい。また、組緒は、検討対象の環境側面に対して現実的管理の程度を考慮してもよい。組織は、現在及び関連する過去の活動、製品及び/又はサービスに伴う入力と出力を考慮に入れて、何がその組織の環境側面であるかを決定することが望ましい。

 既存の環境マネジメントシステムをもたない組織は、最初にレビューを行って環境に関する組織の現状を確かめるのが望ましい。そのねらいは、環境マネジメントシステムを確立するための基礎として、組織のすべての環境側面を配慮することである。

 環境マネジメントシステムを運用している組織は、そのようなレビューを行わなくてもよい。

 レビューには、次の四つのかぎ(鍵)となる分野を含むことが望ましい。

a) 法規制の要求事項、
b) 著しい環境側面の特定、
c) すべての既存の環境マネジメントの慣行及び手順の検討、
d) 既発生事象の調査からのフィードバックの評価。

 すべての場合において、組織内の通常及び非通常操業、並びに潜在的緊急事態に対して考慮することが望ましい。

 レビューの適切な方法には、チェックリスト、面談、直接的な検査と測定、以前の監査の結果、又は活動の性質に対応した他のレビューが含まれてもよい。

 事業単位での活動に伴う著しい環境側面を特定するプロセスは、適宜、次の事項を考慮することが望ましい。

a) 大気系への放出、
b) 水系への排出、
c) 廃棄物管理、
d) 土地の汚染、
e) 原材料及び天然資源の使用、
f) その他、地方の環境及び地域社会問題。

 このプロセスは、当然予知できる事態又は緊急事態に伴って現実に起こりうる著しい影響とともに、通常の操業状況、操業の停止及び立ち上げの状況も考慮することが望ましい。

 このプロセスは、活動、製品又はサービスに伴う著しい環境側面を特定することを意図しているが、詳細なライフサイクルアセスメントを要求するものではない。組織は、個別の製品、部品又は原材料投入まで評価しなくてもよい。組緒は、著しい影響が最もありそうな側面を特定するために、活動、製品又はサービスのカテゴリーを選択してもよい。

 製品の環境側面についての管理及び影響は、組織の市場状況によって著しく変化する。組織に対する請負者又は供給者には比較的管理が及ばないかもしれないが、製品設計に責任をもつ組織は、例えば一つの投入材料を変更することによっても、環境側面を著しく変えることがあり得る。組織が、製品の使用及び廃棄までを管理するには限界があるのも事実であるが、できれば、適切な取扱い及び廃棄の仕組みを考えることが望ましい。この条項は、組織の法的な義務を変更し、又は増加することを意図するものではない。

A.3.2 法的及びその他の要求事項
 組織が同意することがあるその他の要求事項の例は、次のとおりである。

a) 業界の行動規範、
b) 公的機関との同意事項、
c) 規制以外の指針。
 
A.3.3 目的及び目標
 目的は明確であること、目標は可能な限り測定できることが望ましく、予防対策を適宜考慮に入れるのが望ましい。

 技術上の選択肢を考慮する際には、組織は、経済的に実行可能であり、コスト効果があり、かつ適切と判断されるところで、最良利用可能技術の使用を考慮してもよい。

 組織の財政上の要求事項に触れていることは、組織に環境原価会計手法の使用を義務付けようとするものではない。

A.3.4 環境マネジメントプログラム
 一つ又は複数のプログラムの作成及び利用は、環境マネジメントシステムの実施を成功させるためのかぎ(鍵)となる要素である。プログラムは、組織の環境方針を実行するための日程及び責任者を含めて、組織の目的及び目標の達成方法を記述することが望ましい。このプログラムは、組織運用上の特定の要素を取り扱うために分割してもよい。このプログラムは、新規の活動に対する環境上のレビューを含めることが望ましい。

 プログラムは、適切かつ必要ならば、計画、設計、生産、マーケティング及び処分の段階を含めてもよい。このことは現行及び新規いずれの活動、製品又はサービスについて実施してもよい。製品については、設計、材料、生産工程、使用及び最終処分を取り扱ってもよい。設備の据付け又は工程の重要な変更については、計画、設計、工事、操業開始、操業及び組織によって適切な時期に決定される操業停止を取り扱ってもよい。

A.4 実施及び運用
A.4.1 体制及び責任
 環境マネジメントシステムの実施を成功させるためには、組織の全従業員の関与が必要である。したがって、環境面での責任は、環境部門に限定するものではなく、環境以外の運用管理又はスタッフ部門など、組織の他の分野にもたせてもよい。

 この関与は、最上の経営層で始まるのが望ましい。これに応じて、最高経営層は、組織の環境方針を確立し、環境マネジメントシステムの実施を確実にするのが望ましい。この関与の一環として、最高経営層は、環境マネジメントシステムを実施するために定められた責任及び権限をもつ特定の管理責任者(複数も可)を指名するのが望ましい。大規模又は複雑な組織では、複数の指名された管理責任者がいてもよい。中小企業では、このような責任は一個人が担ってもよい。また、最高経営層は、環境マネジメントシステムの実施及び維持を確実にするために、適切な資源を確実に準備することが望ましい。また、環境マネジメントシステムのかぎ(鍵)となる責任は、適切に定められ、関連する要員に伝達されることが重要である。

A.4.2 訓練、自覚及び能力
 組織は、訓練のニーズを明確にするための手順を確立し、維持することが望ましい。組織は、その組織のために働く請負者にも従業員がもつ必要な訓練を実施するよう求めることが望ましい。

 経営層は、要員、特に専門的な環境マネジメント業務を行う者の実施能力を確保するために必要な、経験、能力及び訓練の水準を決定することが望ましい。

A.4.3 コミュニケーション
 組織は、利害関係者からの関連する情報及び要望を受け付け、文書化し、対応するための手順を実施することが望ましい。この手順は、利害関係者との対話及び彼らの関心事への配慮を含めてもよい。場合によっては、利害関係者の関心事に対する対応は、組織の操業に伴う環境影響についての関連情報を含めてもよい。また、これらの手順は、緊急事態の計画及び他の関連事項について、公的機関との必要なコミュニケーションを取り扱うのが望ましい。

A.4.4 環境マネジメントシステム文書
 文書化の詳細のレベルは、環境マネジメントシステムの核となる要素及びそれらの相互作用を記述し、かつ、環境マネジメントシステムの特定部分の運用について、より詳細な情報がどこで得られるかを十分に示すことが望ましい。この文書化は、組織によって実施される他のシステムの文書化と統合してもよい。それは、単一のマニュアルの形でなくてもよい。

 関連文書には、次のことを含んでもよい。

a) 工程に関する情報、
b) 組織図、
c) 内部規格と業務手順、
d) サイトの緊急時対応計画。

A.4.5 文書管理
 仕様の4.4.5の意図は、環境マネジメントシステムを実施するために十分であるように、組織が文書を作成し、維持することを確実にすることである。しかし、組織の主たる焦点は、環境マネジメントシステムの効果的な実施及び環境パフォーマンスにあることが望ましく、複雑な文書管理システムにあるのではない。

A.4.6 運用管理
 将来の改訂版では、ここに文章が入るかもしれない。

A.4.7 緊急事態への準備及び対応
 将来の改訂版では、ここに文章が入るかもしれない。

A.5 点検及び是正処置
A.5.1 監視及び測定
 将来の改訂版では、ここに文章が入るかもしれない。

A.5.2 不適合並びに是正及び予防処置
 不適合を調査し、是正するための手順を確立し、維持する際に、組織は、次のような基本要素を含めることが望ましい。

a) 不適合の原因を特定すること、
b) 必要な是正処置を特定し実施すること、
c) 不適合の繰返しを避けるために必要な管理を実施し又は修正すること、
d) 是正処置の結果生じた手順書のあらゆる変更を記録すること。

 状況にもよるが、これは、迅速に、かつ最小の正規の計画で達成されるかもしれないし、又は、より複雑で長期の活動になるかもしれない。これに伴う文書化は、是正処置の程度に応じて適切であることが望ましい。

A.5.3 記録
 記録の特定、維持及び廃棄のための手順は、環境マネジメントシステムの実施及び運用のために必要な記録、並びに計画された目的及び目標との合致の程度を示す記録を主眼にすることが望ましい。

 環境記録は、次の事項を含めてもよい。

a) 適用される環境法律又はその他の要求事項に関する情報、
b) 苦情記録、
c) 教育訓練記録、
d) プロセス情報、
e) 製品情報、
f) 検査、保守及び校(較)正記録、
g) 関係ある請負者及び供給者の情報、
h) 発生事象報告書、
i) 緊急事態への準備及び対応に関する情報、
j) 著しい環境側面の情報、
k) 監査結果、
l) 経営層による見直し。

 機密の事業情報については、適切な配慮をすることが望ましい。

A.5.4 環境マネジメントシステム監査
 監査プログラム及び手順は、次の事項を含むことが望ましい。

a) 監査で考慮されるべき活動及び領域、
b) 監査の頻度、
c) 監査を管理し、実施することに伴う責任、
d) 監査結果のコミュニケーション、
e) 監査人の能力、
f) 監査の実施方法。

 監査は、組織内部からの要員、及び/又は組織が選んだ外部の者が、実施してもよい。いずれの場合にも、監査を実施する者は、公平、かつ客観的な立場にあることが望ましい。

A.6 経営層による見直し
 環境マネジメントシステムの継続的改善、適切性及び有効性、並びにそれによるパフォーマンスを維持するために、組織の経営層は、所定の間隔で環境マネジメントシステムを見直し、評価することが望ましい。環境マネジメントシステムのすべての構成要素を同時に見直す必要はなく、また見直しプロセスに時間をかけてもよいが、見直しの範囲は包括的であることが望ましい。

 方針、目的及び手順の見直しは、それを決めた管理者層によって実施されるのが望ましい。

 見直しは、次の事項を含むことが望ましい。

a) 監査からの結果、
b) 目的及び目標への達成度、
c) 状況及び情報の変化に関連した環境マネジメントシステムの継続的な適切性、
d) 関連する利害関係者の関心事。

 観察、結論及び勧告は、必要な処置のために文書化されることが望ましい。
 

 

附属書B(参考) JIS Q 14001JIS Z 9901とのつながり

 表B.1及びB.2は、JIS Q 14001JIS Z 9901の及びその逆のつながりと大まかな技術的な対応を示している。

 比較の目的は、いずれか一方の規格を既に運用し、今後両者を運用しようとする組織に、両システムの結合の可能性を示すことである。

 両規格の条項の間の直接のつながりは、二つの条項の要求事項がほぼ一致している場合にだけ設定されている。それ以上に、ここに示せなかった多数の弱い関係の詳細なつながりも存在する。

(表B.1及びB.2は省略)

 

 

附属書C(参考) 参考文献

[1] JIS Z 99001994 品質管理及び品質保証の規格−選択及び使用の指針
[2] ISO 900021993 品質管理及び品質保証の規格−第2部:ISO 9001ISO 9002及びISO 9003適用のための一般的指針
[3] ISO 900031991 品質管理及び品質保証の規格−第3部:ISO 9001のソフトウェアの開発、供給及び保守への適用のための指針
[4] ISO 900041993 品質管理及び品質保証の規格−第4部:ディペンダビリティプログラムの管理のための指針
[5] JIS Z 99011994 品質システム−設計、開発、製造、据付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル
[6] JIS Q 14004:環境マネジメントシステム−原則、システム及び支援技法の一般指針
[7] JIS Q 14010:環境監査の指針−一般原則
[8] JIS Q 14011:環境監査の指針−監査手順−環境マネジメントシステムの監査
[9] JIS Q 14012:環境監査の指針−環境監査員のための資格基準