ここはWindows版『薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク』のパロディページです。
やおいがどういうものかご存じない方、18歳未満の方は、さようなら。

Windows版『薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク』は[サイク・ロゼ]様制作の18禁ゲームです。
18歳未満の方と高校在籍中の方は所持、購入、プレイしてはいけません。

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未プレイの方、先入観を持ちたくない方はご覧にならないでください。

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閑吟集より』

「恋風が 来ては袂にかい縺れてなう 袖の重さよ 恋風は重い物哉」

どうしてあの男は見守り続けるのだろう
はやく自分の想いを告げてしまえばいいのに
他人事なのにいらいらする
「なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ」
気になって寝られやしない
「来し方より 今の世までも 絶えせぬものは 恋といへる曲者 げに恋は曲者 曲者かな 身はさらさらさら さらさらさら 更に恋こそ寝られね」
どうして俺など気にかけるのだろう
「思ひのたねかや 人の情け」




『酔っ払い』

現代版。大学生。金子、土田、要は同室住まい。


「あははは」

こいつ、笑い上戸だったのか。酔ってふらふら歩く金子の背を追う。
焼酎を初めて飲んだなどと面白い事を言うから、欲しがるだけ飲ませたのは俺だが。
ザルだと思っていたから止めなかった。まさか悪酔いする質とは。
あの時止めていれば。数時間前の己を悔いてみる。

「おや?」
「おや?……じゃないだろう」

転びかけた金子の腕を掴む。
転んで怪我をされても、道に座り込まれても困る。
そのまま肩を担いだら、こちらの気もしらないで背をばんばん叩いてくる。

「あはははは」
「痛いから叩くのはやめろ」
「お前知らないだろう?」
「……何をだ?」
「知りたいか?」
「だから、何を?」

酔うと人はなぜこうも同じ事を繰り返し言うのだろう。

「……知りたいか?」
「ああ」

適当に相づちを打つ。

「俺はお前を好きなんだ」
「……は?」
「知らなかったろう?」

いきなり何を言い出すんだこいつは。

「でも、お前は要を好きなんだよな」
「!」

驚いて金子の顔を覗き込む。
にっと笑ったかと思うと全体重でのしかかってきた。

「こら、寝るな!」


翌朝

「昨日、何かお前に変なことを話さなかったか?」
「……いいや何も?」
「本当に?」

少し間があったのは気のせいか。元々間をおいてしゃべる奴だから、意味があるのかどうか分からない。

「お前をかついで帰るのは大変だったぞ」
「それなら、いいんだが」
「よくはない。次はつぶれるな」

少し返事がわざとらしかっただろうか。




公式通販のテレカの絵柄が元ネタです。
ゲーム内容がアレとはいえ、陰間茶屋か。

金子テレカの絵柄を見たとき思ったこと。
初めて見たとき>何か舐めてるのか。頭押さえつけられて。
2回目見たとき>頭の上の手は金子の右手か。左手を口元に持っていって舌を出しているのか。
3回目見たとき>寝転がっていて左肩の上がり具合と左手の手首の角度から考えると、口元にある左手は金子の手じゃないよ……ね?

土田テレカの絵柄を見て思ったこと。
惜しい。刀を持っている手が右手であったなら。金子の前にいるのは土田で確定なのに!<いい加減目ぇ覚ませ

という訳で、無理矢理同じ部屋にぶち込んでみました。




『刀』

くせのある柔らかい髪
真っ直ぐな鼻筋
細い眉に長い睫
白い肌
人より少し薄い色の瞳


「目が覚めたか」
「誰かさんが明かりを消さないおかげでな」
「まだ夜更けだ。寝ていればいい」


もうしばらく寝顔を見ていたかった。


「どうしてそんなところに座っている。俺に独り寝させるつもりか?」
「独り寝ではなかろう」
「隣に居なけりゃ独り寝と同じだ。それともなにか俺よりそいつの方がいいのか?」


視線は胸元の刀に向いている。


「刀に妬いてどうする」


寝顔は上品で大人しいのに、口を開けばこれだ。

手を伸ばし顎先に触れる。
光伸が悪戯っぽく舌を出して笑った。
何か企んでいるな。
身構えようとした瞬間、腕を強く引かれ、床へ引き込まれた。


「怪我をしたらどうする」
「ほう、刀より俺を心配してくれるのか?」
「当たり前だろう」


「刀に妬いてどうする」
「そんな大切そうに抱えているお前が悪い」


一つ溜息をついて、刀を脇に置いた。

まだ夜は更けない。



ファンディスクねたばれ



『芝居』

「何を隠している?」
「……」
「皆でなにか企みごとをしているだろう?」


努めてにこやかな顔をつくり問いただす。


「劇の女役にお前をかつぎ出そうと」
「ほう?」
「今年の北寮には女顔の者がいない」
「たしかに見あたらんな」
「見目の良い者が他におらんと皆のたっての願いでな、それに」
「それに?」
「俺も、お前が一番奇麗な顔をしていると思う」
「……」


ときどき思う。
こいつは自分が何を言っているか分かっているのだろうか。


「やるかやらんかは別の話として、演目は何だ?」
「人形の家だ」
「……人形の家か」
「主人公のノーラ役をお前にと」


-人形ではなく人として生きる-


「お前はあの本を読んだことはあるのか?」
「ない」
「ノーラの夫、ヘルメル役はだれだ?」
「俺だ」
「は?」


-真面目に話を交わしたことがない-


「お前が?」
「お前の背に釣り合うのは俺ぐらいだと言われてな」
「それはそうだな」


-別れの時が-


「どうする?」
「うけてやろうじゃないか」
「やるのか?」
「ああ、やる」


俺が出るからには西寮になんぞ負けてやらん。




『シャン』

寮祭から数日経ったある日のこと。

「倉庫で待つ」

机の上に書き置き。
同室なのだから、話があるのなら部屋で話せば良いものを。
何かあったのだろうか。


倉庫の前まで来たものの、入るのがためらわれる。
寮祭前のあの夜以降、ここには立ち入っていない。
元々ここへ自分が来るのは金子が好まないようなふしがあったし、ここへ来るとどうにもあの夜を思い出してしまい入れずにいたのだ。

「土田、入れ」

足音でも聞こえたのか、先に中から呼ばれてしまった。
仕方なく足を踏み入れる。中は暗い。

「なぜ明かりをつけない?」
「今つけるさ。こっちへ来いよ」

暗がりの中、窓からの薄明かりを元に奥へと進む。
布がすれる音がして、そばに金子がいるのがわかった。
カチと小さな音がして明かりがともる。

「なんだその格好は」
「なんだとは失敬な」

先日の演劇で使われた衣装を身にまとった金子がいた。
人の顔をじっと見て、にっと笑ったかと思うと首に腕を絡ませてきた。

「待て!」
「嫌か?」
「嫌とかそういうんじゃなく」
「嫌じゃないのか」

金子の肩が小刻みにふるえている。何を笑っているのか。

「なかなかのものだろう?」
「それはその、綺麗だとは思うが」
「ふうん」
「女装がくせになったのか?」
「まさか」

(略)

金子の指の動きにあわてて抗議する。

「ちょっと待て!俺が女役か?」
「ああ」
「どうして」
「このあいだは俺が女役をやっただろう。今日はお前がやれ」
「あれはお前が」

会話の途中で再び口を塞がれた。

「俺に女役をやらせておいて、ただですむと思ったのか?」

思ってはいなかったが。まさか、こんな。

-暗転-




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