(更 新 日 1 0 月 3 0 日)
今回は高校の時に書いた散文詩(!?)を載せています
時 代 が 見 る 夢
あの娘はかすみ草が好きだった。
いつも抱えきれないほどのかすみ草を抱えてあぜ道を通る。
森に狼が出たと噂が流れた。
けれど、あの娘の耳にはまだ届いていない。
今日もあの娘は変わらずかすみ草を抱えてあぜ道を歩く。
白いかすみ草が赤く染まった。
草の影に隠れていた狼が
赤く染まったかすみ草とあの娘を見て狂喜する。
あぜ道から抱えきれないほどのかすみ草を抱えるあの娘の姿が消えた。
あの娘に恋していた狩猟の息子が
せめての手向けにと銃を持って森の中に消えていった。
狩猟の息子が獲物を抱えて村に帰ってきた。
あの娘を襲った狼は茶色の毛皮を赤く染めていた。
それを誰もが狂喜の目で見つめる。
誰も気づかないところで、
殺された狼の子供がその様子を伺う。
自分の親狼の死を目に焼き付ける。
村にうたかたの平和が訪れる。
けれど、もう二度とかすみ草を抱えた少女が
あぜ道を通ることはない。
☆以前の「月曜日の独り言」☆