虫歯にならない方法

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    人間の口の中は中性である。ところが食事をすると口の中は酸性になる。なぜ酸性になるかと言うと、一つの理由は、食べ物や飲み物はほとんどが酸性だからである。パンはPH 5.2〜5.4、白米はPH 6〜6.7、野菜はPH 4〜6、醤油はPH 4.7〜5である。なお酸性食品、アルカリ食品と言うのは、その食品を燃焼して灰にした時、リン、硫黄、塩素のような酸性を示すものが、ナトリウム、カリウム、カルシウムのようなアルカリ性を示すものより多ければ酸性食品であり、少なければアルカリ性食品である。アルカリ性食品はアルカリ性を示すということでない。梅干しはアルカリ性食品だが、PHは1.9である。もう一つの理由は糖分が口の中に入ると、口の中の細菌がそれを食べ酸性の排泄物を出すからである。食事を食べ出して5分もすれば細菌は酸性の排泄物を出すと言われる。
    口の中が酸性になると困ったことが起こる。歯が溶けるのである。歯の一番外側はエナメル質と言われるが、それはリン酸カルシウムでできている。リン酸カルシウムはPH 5.5でカルシウムイオンやリン酸イオンとなり溶け出す。これを脱灰と言う。エナメル質がどんどん溶けるとエナメル質が薄くなり、ついにエナメル質に穴があく。これが虫歯である。
    人間は太古から生物として地球上に生き残ってきただけあって、この脱灰に対抗する手段を備えている。それが唾液である。食事が終わると唾液が歯を中性にもどし、さらに溶け出たカルシウムイオンやリン酸イオンをもとのリン酸カルシウムにもどす。これが再石灰化である。食事が終わり、30分〜40分、長い人でも2時間あれば再石灰化は終わり、食事で痛められたエナメル質はもとにもどる。それで虫歯にならない。
    現代は食物があふれている時代である。またおいしい飲料水を自動販売機やコンビニで簡単に手に入れることができる。それでしょっちゅう甘い菓子を食べたり、コーラやジュースを水がわりに飲んでいる。飲食物を口の中に入れる回数が昔よりずいぶんと増えているのである。それで最長2時間かかる歯の再石灰化が終わらない内にまた口の中が酸性になり、歯の脱灰が始まる。歯の再石灰化が終わっていないから、エナメル質がまだ薄い状態から歯の脱灰が始まる。これが繰り返されるとついにエナメル質に穴があき虫歯になる。
    虫歯の原因を尋ねると、歯磨を十分にしていないことを挙げる人が多い。歯磨は歯周病には確かに予防効果があるが、虫歯の予報効果はほとんどない。食べたり飲んだりする回数が多すぎて、歯の再石灰化が完成しない内にまた歯の脱灰が始まるのが虫歯の一番の原因である。また眠る前に食事をするのもよくない。眠ってしまうとあまり口を動かさないから、唾液が十分に口の中を循環せず、中性化と再石灰化が十分にできないからである。風呂あがりにアイスクリームを食べてから眠るのを楽しみにしている人もいるだろうが、歯にとってはよくない。食事と食事、食事と間食、食事と睡眠の間隔を十分にあけ、歯の再石灰化を完成させる。これが虫歯を予防する鉄則である。


参考文献

茨木浩子 (2022) 「保存版【取り過ぎ注意 酸性の食品一覧表】を見ながら酸蝕歯対策」, <https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/2843/> 2025年5月4日アクセス
大久保弘道 (2023) 「虫歯予防、知られざる真実 虫歯ができなくなる魔法の方法」, <https://www.youtube.com/watch?v=CY8QsoEaSWg&list=WL&index=29> 2025年5月4日アクセス
冨岡勤 (2018) 「酸性食品とアルカリ性食品」, <https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/eiyobu/blog/tjoimi000000225i.html> 2025年5月4日アクセス
前岡遼馬 (2025) 「二度と虫歯にならない本気の予防法」, <https://www.youtube.com/watch?v=hIsbgINvunY&list=WL&index=30&t=15s> 2025年5月4日アクセス



2025年5月4日作成