連続ラジオドラマ「そらとぶにちよう劇場 続・上沼恵美子」全8話 脚本


舞台:聖・ドルトユーロ学園

登場人物:

ミ:ミルクティーヌ(通称 ミル)
        学生、実は悪の秘密結社「わるわる団」の一味
ジ:ジョセフィーヌ(通称 ジョセフ)
        学生、ミルの友人
サ:サルマーニ先生
        わるわる団のリーダー
理:理事長
        わるわる団の影の実力者


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。学園最大のイベント、
秋の大運動会での企てはフランソワーズ先生とペペロンチーノ先生によ
って粉砕された。うちひしがれるわるわる団だったが・・・


第一話「そして僕らは恋をする」

ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「(アドリブ)」

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「(アドリブ)」

ミ:ハッハッハ

ジ:傑作だな!

ミ:ところでジョセフィーヌ、今日は生徒会長立候補演説の日だったな。

ジ:そうなんだ。ミルクティーヌ。とっても緊張するよ。うまくいくか
どうか・・・

ミ:ハッハッハ。なんだ、君らしくもない。もう次期生徒会長はジョセ
フィーヌ、君に決まりさ。俺も応援するぜ。

ジ:ありがとう、ミル。

ミ:じゃ、頑張れよ!

ジ:ああ、じゃあまた。


(講堂内壇上)
ジ:私こと、みなみな様のジョセフィーヌめが当選した暁には、この学
園の腐敗した教育体制、生活指導、給食の献立に至るまで、聖域なき構
造改革を断固行って行きたいと思います。
まず、手初めに給食費横流し疑惑の解明、無能外務大臣の更迭!置勉、
早弁の届出制、購買部など特殊法人の分割民営化、これらによる学園の
景気回復を強力に推進する所存であります!

(拍手、歓声)

ありがとうございます!ありがとうございます・・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:はっ、理事長。何か?

理:今回の生徒会長の候補者について、どう思ってるんだ?

サ:はあ。なかなかすばらしい演説でして、誠に同感で・・

理:ぶあかもの。ヤツが当選したらどうなるか考えてみろ。

サ:はあ。理事長の息のかかった役員が次々と追い出され、給食費水増
し請求や、置勉、早弁の許認可で得ている収入もフイになり、給食の献
立も自由に決められなく・・・

理:よく解ってるじゃないか。そもそも先割れスプーンでソフトメンを
食べるのには無理がある。

サ:おっしゃる通りで。

理:なんとかしろ。

サ:は?

理:ヤツの当選を阻止するのだ。

サ:し、しかし彼は人望に厚く、学園内の世論調査では支持率は9割を
超えているとのことでして、もはや当選確実と・・

理:お前はご飯と一緒に牛乳飲みたいのか?

サ:それは断じて。

理:ならさっさとヤツを始末しろ。

サ:は、はあ。できる限り前向きに善処しつつ、誠心誠意努力を惜しま
ない所存で・・



ミ:おーい。

ジ:やあ、ミル。

ミ:ジョセフ、やったな。もうみんな君の話題でもちきりさ。

ジ:な、なんて噂してるんだ?

ミ:ジョセフィーヌ、君の当選は間違いないってことさ。

ジ:そうか。これもみんな君のおかげさ。

ミ:なーにいってんだか。

わーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。学園最大のイベント、
秋の大運動会での企てはフランソワーズ先生とペペロンチーノ先生の結
束によってからくも粉砕された。うちひしがれるわるわる団の次の狙い
は次期生徒会長候補なのか・・・


第二話「僕たちの永遠を信じてみないか」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「(アドリブ)」

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「(アドリブ)」

ミ:ハッハッハ

ジ:傑作だな!

ミ:総入歯、おっとミステイク。そういえば、君のかあさんは何型?

ジ:電話しても相手がなかなか出ない時は魚座らしい。

ミ:ふうん、なるほど。そいつは君らしいや。

ジ:はっはっは・・・・・

ミ:今回は話が続かなさそうだな。

ジ:ああ、先が思いやられるぜ・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:はっ、理事長。何か?

理:ここで、リスナーのために先月分の話をすこし説明するが、次期生
徒会長に立候補したジョセフィーヌは、われわれ「わるわる団」に大変
都合が悪いときたもんだ。そこで私、「わるわる団」影のボスこと理事
長としては、ヤツの当選を阻止せよとサルマーニ君に依頼した。そうだ
ったな?

サ:おっしゃる通りで

理:そこでだ、何か策は思いついたか?

サ:はっ。もちろんにてございます。

理:なら申してみよ。

サ:はあ、しかし今回はその核心に迫らず、話をひっぱれとの上からの
命令でして

理:それは、脚本家のネタ切れではないのか

サ:まあ、世間じゃそう言うようですが・・

理:2回目にしてこれでは私は非常に不安だ

サ:わたくしも。次回に期待してよいやら悪いやら

理:次回は改編期だったな・・

サ:われわれはもしやこのまま・・・

理:うむ。ありうる。



ミ:おーい。

サ:やあ、ミル。

ミ:やはり今回はネタに詰まっていたようだね

サ:それは言わない約束だろ。

わーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。学園最大のイベント、
秋の大運動会での企てはフランソワーズ先生とペペロンチーノ先生の結
束によってからくも粉砕された。立ち直りの早いわるわる団は、次は生
徒会長候補の当選を阻止しようと企てはじめたらしい・・・


第三話「僕の偽り・君の嘘」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「(アドリブ)」

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「(アドリブ)」

ミ:ハッハッハッ、そいつは傑作だ!

ジ:ところてん、おっとミステイク。ところで、ミルクティーヌ。

ミ:なかなか気の利いたアメリカンジョークだな・・なんだい、ジョセ
フィーヌ。

ジ:昨日のイブニング、すなわち昨晩・・

ミ:ようするにイエスタデイの夜だね。

ジ:そう、昨日の夜の10時、言いかえれば23時頃なんだけど、電話して
も出なかったじゃないか。

ミ:おーっと。ソーリー!ちょっと百人一首に熱中しちゃってさ。

ジ:なーんだ。そいつは君らしいや。

ミ:でも、一人でするのは忙しくて大変さ。

ジ:俺を呼んでくれればいいのに。水臭いぜべいびー。

ミ:・・二人で百人一首は、つまらないぜ。

ジ:それ、言えてるかも。

    はっはっは・・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:はっ、理事長。何か?

理:まずここで、リスナーのために先月分の話をすこし説明しよ
う。・・次期生徒会長に立候補したジョセフィーヌは、われわれ「わる
わる団」に大変都合が悪いときたもんだ。そこで私、「わるわる団」影
のボスこと理事長としては、ヤツの当選を阻止せよとサルマーニ君に依
頼した。しかし前々回は脚本家のネタ切れで話が進まなかった。そして
前回は特番ということにしてお茶を濁した。そうだったな?

サ:毎回長ったらしい前説ご苦労様です。

理:まったくだ。では、今度こそヤツの当選阻止の策を申してみよ。

サ:はっ。では、A:殺める、B:脅す、C:呪いのわら人形。さあど
れ?

理:ピンポンッ!

サ:はい。理事長。

理:多少ベタではあるが。「D:他の立候補を擁立して、断固戦う!」

サ:は?理事長にしては実に穏便な。

理:わるわる団は、決して人に危害を加えないのだ。

サ:初耳です。

理:とにかく、ジョセフィーヌを倒せる程の強力な立候補を探せ。

サ:はあ・・・なるほど。これはまた無理難題を・・

理:次回、また話をひっぱってごまかすなよ。

サ:何をおっしゃいますやら。私めにおまかせ下さいませ。必ずや、い
やおそらく、ヤツをぎゃふんと・・



ミ:おーい。ジョセフ!

ジ:やあ、ミル。

ミ:先生見なかった?

ジ:先生?

ミ:フランソワーズ先生だよ。

ジ:そういえば、最近出番がないな・・

ミ:うーん、まあこのままない方が平和かも

ジ:ってゆーか、どうして探してるんだい?

ミ:聞いてくれよ、おれのジャン卓没収されちまってよお。

ジ:まーじかよ

ミ:それで、メンツたんないからって呼びだしあったんだけど。

ジ:生徒指導室でツモってたよ。

ミ:それは言わない約束だろ。

わーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。運動会ののっとりに
失敗した彼らの次のターゲットは、次期生徒会長候補の当選阻止らしい
が・・・


第四話「永遠は無限の一瞬」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「お弁当温ためますか?」ってね。

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「一緒にポテトはいかがですか?」

ミ:ハッハッハッ、そいつは傑作だ!

ジ:ところてん、おっとミステイク。ところで、ミルクティーヌ。

ミ:前回のネタの使いまわしじゃん?みたいな?

ジ:そんなの言わなきゃばれねって。

ミ:だよね。

ジ:ってゆーか。

ミ:・・・なんだい、ジョセフィーヌ。

ジ:ミルは相変わらず話のつなぎが強引だね

ミ:台本通りなんだけどね

ジ:今日はこれから予定あるのかい?

ミ:授業だけど。

ジ:まじ?

ミ:いや、おまえもな。

ジ:それ、言えてるかも。

    はっはっは・・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:理事長、お呼びでしょうか

理:最近脚本家は、やる気あるのか?

サ:このドラマは、皆様のアドリブによって成り立っておりますので。

理:唐突ではあるが、まずリスナーのために先月分の話をすこし説明し
よう。・・次期生徒会長に立候補したジョセフィーヌは、われわれ「わ
るわる団」に大変都合が悪いときたもんだ。そこで私、「わるわる団」
影のボスこと理事長としては、ヤツの当選を阻止するために、他の立候
補を擁立し、断固戦うべしとサルマーニ君に依頼した。そうだったな?

サ:は。おっしゃる通りで。

理:では、ヤツを叩きのめし、われわれの傀儡(カイライ)となるべく
候補者は決まったであろうな。

サ:はっ。ろーうんもーちいでございます。

理:解りづらいぞ。

サ:要するに、未だ。な、わけでして。

理:ほ、ほう。そしてその訳は?

サ:えー、誰かが私の後ろでスカートを踏んでるらしく・・

理:ネタとしては古すぎないか?

サ:とある方の指示だったんだですけど、その方の名前はちょっと控え
させて頂きたい・・

理:大体察しはつくが。

サ:感動した!

理:しねえよ。

サ:・・・

理:ネタ終了か?

サ:今月はこのへんで。

理:これでごまかせたと思うなよ。



ミ:おーい。ジョセフ!

ジ:やあ、ミル。

ミ:先生見なかった?

ジ:先生?

ミ:ペペロンチーノ先生だよ。

ジ:そういえば、最近出番がないな・・

ミ:うーん、まあこのままない方がわりと楽かも

ジ:ってゆーか、どうして探してるんだい?

ミ:聞いてくれよ、おれのリアップ没収されちまってよお。

ジ:そいつは気の毒に。今度は何をしでかしたんだい?

ミ:廊下での欽ちゃん走り禁止って知らなかったんだよ。

ジ:まじで?俺もそいつは初耳だぜ。じゃあどうやって廊下を通れと?

ミ:だろ。まったく、ひどい校則だよ。

ジ:ところで、これからの予定は?

ミ:山へ芝刈りに。ジョセフは?

ジ:川へ洗髪に。

ミ:だと思った。

あーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。運動会ののっとりに
失敗した彼らの次のターゲットは、次期生徒会長候補の当選阻止らしい
が・・・


第五話「君と僕の間には」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「お前、これで赤点何枚目だよ?」っ
てね。

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「お前は今までにした禁煙の回数を覚えているのかい?」

ミ:ハッハッハッ、そいつはご機嫌だ!

ジ:ところで、ミルクティーヌ。

ミ:なんだい、ジョセフィーヌ。

ジ:もう、分かり難い冗句はやめにしたよ。

ミ:それは、いい心がけだ。

ジ:時に、ミルクティーヌ。

ミ:同志社短大?

ジ:なんて?

ミ:同志社短大,どうしたんだい…

ジ:…君は進級出来そうなのかい?

ミ:なあ、フランソワーズ先生何が好きかなあ?

ジ:音楽が危ないのか。

ミ:サルマーニ先生は?

ジ:英語もか。

ミ:ペペロンチーノ先生の弱点は…

ジ:夏休みも大忙しだな。

    はっはっは・・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:理事長、お呼びでしょうか

理:風の噂によると、最近このドラマ、マンネリ化してきたらしいと。

サ:なーにをおっしゃいますやら。とんでもはっぷん…

理:唐突ではあるが、まずリスナーのために先月分の話をすこし説明し
よう。・・次期生徒会長に立候補したジョセフィーヌは、われわれ「わ
るわる団」に大変都合が悪いときたもんだ。そこで私、「わるわる団」
影のボスこと理事長としては、ヤツの当選を阻止するために、他の立候
補を擁立し、断固戦うべしとサルマーニ君に依頼した。そうだったな?

サ:は。おっしゃる通りで。

理:では、ヤツを叩きのめし、われわれの傀儡となるべく候補者は決ま
ったであろうな。

サ:はっ。もちろんでございます。

理:そうか。ちなみに、ここまでの台詞が前回と殆ど変わってないよう
だが?

サ:…気のせいでしょう。

理:ならいいが、で。その我々の擁立する候補者とは?

サ:はっ。我々「わるわる団」メンバー、ミルクティーヌ、その人でご
ざいます。

理:ほほう。彼ならジョセフィーヌに勝てると言うのか。

サ:左様で。実はミルクティーヌは、にっくきジョセフィーヌの友人で
ありまして。

理:で?

サ:で。…まあ、これ以上ここでお話すると、このドラマがつまらなく
なりますので。

理:要するにまだ考えていないと。

サ:いや、流石は理事長。ご明察の通りで。

理:ふん。まあよい。次回、経過報告を待っているぞ。

サ:はっ。ご期待下され。

理:うむ。今回はなんとなく話しが進んだ気がするぞ。ムファファファ
…



ミ:おーい。ジョセフ!

ジ:やあ、ミル。

ミ:先生見なかった?

ジ:先生?

ミ:サルマーニ先生だよ。

ジ:そういえば、最近カラミがないな・・

ミ:まあ、このままない方がわりと楽かも

ジ:ってゆーか、どうして探してるんだい?

ミ:呼び出しくらっちまってよお。

ジ:そいつは気の毒に。今度は何をしでかしたんだい?

ミ:2時間目の休み時間に糞しただけだぜ。

ジ:気の毒に。そいつは、ここじゃまるで犯罪扱いだからな。

ミ:まったく、みんなは糞しないのかよ?

ジ:ところで、その後の予定は?

ミ:バイト。ジョセフは?

ジ:めし。

ミ:ふつうじゃん。

あーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。運動会ののっとりに
失敗した彼らの次のターゲットは、次期生徒会長候補の当選阻止らしい
が・・・


第六話「闘う君に捧ぐ歌」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「お前、これで赤点何枚目だよ?」っ
てね。

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「お前は今までに飲んだビールの本数を覚えているのかい?」

ミ:ハッハッハッ、そいつはご機嫌だ!

ジ:ところで、ミルクティーヌ。

ミ:なんだい、ジョセフィーヌ。

ジ:あらすじも含めてここまで、前回と殆ど台詞が変わってないのに気
づいたかい?

ミ:いうまでも無いことだよ。コピペだからね。

ジ:時に、ミルクティーヌ。

ミ:なんだい?

ジ:サルマーニ先生の呼び出しは何だったんだい?

ミ:そ、それは。別に大したことじゃなかったんだ。

ジ:そっか、困ったことがあったら何でも相談してくれよ。

ミ:ありがとう。そうだ、生徒会長の投票日、もう来週じゃないか。

ジ:そうさ。でも他に立候補がいないから張合いがないよ。

ミ:じゃあ、オレも立候補しようかな。

ジ:えっ。

ミ:い、いや、冗談だよ。冗談。

ジ:だと思った。

    はっはっは・・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:理事長、お呼びでしょうか

理:風の噂によると、最近このドラマ、コピペ化してきたらしいと。

サ:なーにをおっしゃいますやら。ありえないことでございます。

理:…唐突ではあるが、まずリスナーのために前回の話をすこし説明し
よう。・・次期生徒会長に立候補したジョセフィーヌは、われわれ「わ
るわる団」に大変都合が悪い。そこでヤツの当選を阻止するために、対
立候補として「わるわる団」メンバーであるミルクティーヌを擁立し、
断固戦う方針でいく、と。そうだったな?

サ:は。おっしゃる通りで。

理:では、ジョセフィーヌ当選阻止の作戦を聞こう。

サ:はっ。まず、本作戦のコードネームを「ジョセフィーヌ当選阻止作
戦」サブタイトル「先割れスプーンの逆襲」と、したいと思います。

理:そうか。少々センスに欠けるようだが。

サ:でしょうか?

理:まあ、どうでもいいが。で、プランは?

サ:はっ。投票はあと1週間に迫っております。ミルクティーヌがこれ
から立候補しても普通の選挙活動では勝ち目はありません。

理:うむ。それで?

サ:作戦1.ジョセフィーヌのスキャンダルを暴く。

理:なるほど。

サ:これにつきましては、もう手は打っております。

理:で、何かネタはあったのか?

サ:いや、全く。そこで、作戦2.ジョセフィーヌのスキャンダルを作
る。

理:なんてあこぎな。

サ:心外です。理事長は何かいい考えでもおありで?

理:ふーむ、やはり正々堂々と得票数で勝負したいものだ。

サ:はあ。では、カネで票を買うと。

理:なんて姑息な。

サ:では、どのように。

理:もう時間がないぞ。ええい面倒だ、ここは引っ張る方向で。

サ:次回を待て。ということで、ここはひとつ、…



ジ:やあ、ミル。

ミ:あ、ジョセフ。

ジ:なんだよ。元気ないじゃないか。

ミ:そ、そうか?

ジ:まあ、なんとなく理由は判るけど。

ミ:……

ジ:サルマーニ先生になんか言われたんだろう?

ミ:う。そんなわけじゃあ。

ジ:嘘つくなよ。顔に書いてあるぜ。

ミ:…君には隠せないな。

ジ:君がわるわる団のメンバーであることは知ってる。今度は何を企ん
でいるんだ?

ミ:実は、今度の生徒会長選挙で、君を落選させようと…

ジ:はっはっは。なんだそんなことか。

ミ:それで、この俺を対立候補に。

ジ:はっはっは。なんだそんな…何!

ミ:いや。無謀なのは分かってるし。そんなこと俺にはできない。

ジ:うーむ。いや、よく打ち明けてくれた。僕にいい考えがある。

ミ:えっ。

ジ:これは面白いことになるかも知れないぜ。

ミ:と、いうと…

ジ:そーれは、これからのお楽しみさ。

あーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。運動会ののっとりに
失敗した彼らの次のターゲットは、次期生徒会長候補の当選阻止らしい
が・・・


第七話「君の中の永遠」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「お前、これで赤点何枚目だよ?」っ
てね。

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「お前は今までに食ったパスタの本数を覚えているのかい?」って。

ミ:ハッハッハッ、そいつはご機嫌だ!

ジ:ところで、ミルクティーヌ。

ミ:なんだい、ジョセフィーヌ。

ジ:前回の話で、俺は「これは面白いことになるかも知れないぜ」なん
て言ってるけど、実際どうなるのか脚本家もいまだに考えてないらしい
ぜ。

ミ:そいつはびっくりだな。いつもの事だけど。

ジ:まあいいさ。この話もとっとと終わらせて次のシリーズに期待って
ことで。

ミ:おっと、ミルクティーヌ。そいつはちょっと気が早いぜ。

ジ:そうだな。まあせいぜいその「面白いこと」ってのを見物としゃれ
こむとするか。

ミ:おいおい。それは一応君が言ったセリフなんだから責任もってくれ
よ。

ジ:おっと、そいつは失敬。じゃあ「会議の資料がない、どうシリ
ョー」なーんて。はーっはっはっはあ…

ミ:…そんなどーしようもない冗句じゃちっとも面白くないよ。

ジ:全くだ。こんな脚本じゃちっとも話が進まないぜ。

ミ:じゃあ、そろそろ教えてくれよ。君のいい考えってのを。

ジ:なんの話だったっけ?

ミ:だから、今度の生徒会長選挙で当選確実と評判の君ことジョセフ
ィーヌを落選させようと「わるわる団」は、この僕、ミルクティーヌを
対立候補として擁立しようとしてるんだ。それで困った僕が君にその秘
密を打ち明けた。そうしたら君は「僕にいい考えがある、面白いことに
なりそうだ」って言ったんじゃないか。

ジ:おーっとソーリー。思い出したよ。

ミ:それはそうと、妙に長い説明的セリフはなんでいつも俺なんだ?

ジ:いや、偶然だと思うよ。

ミ:いやがらせとしか思えんが。

ジ:で、その「いい考え」ってなんだい?

ミ:そいつはこのドラマの後半を聞いてくれよ。

ジ:ひっぱりすぎじゃないのか?

ミ:だと思った。

    あーっはっはっは・・・


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:理事長、お呼びでしょうか。

理:例の件だが…

サ:ご心配なく。既にニンジンは取り除いて御座います。

理:いや、そのことではない。

サ:あっひょっとして、「ジョセフィーヌ当選阻止作戦」のことで?

理:そうだ。ちなみに今回はあらすじのセリフは割愛させていただく。

サ:そうですね、今まで少々くどかったかも知れません。

理:うむ。で、我らの推すミルクティーヌを当選確実とする公約はどう
するのだ。

サ:は。やはり大衆の心理を鷲づかみにするのは、

理:給食だな。

サ:御意。そこで、ソフトメンのミートソース増量というのはどうでし
ょう。

理:それはいい。あと、コロッケは醤油かソースか選べるようにすべき
だ。

サ:仰る通りで。

理:さらにニンジン、ピーマンも希望者のみと。

サ:それはいかがなものかと。

理:とにかく給食の充実を図る。これだ。

サ:はっ。そして私が極秘でアンケート調査した所、仮眠室設置の要望
が。

理:よきに計らえ。

サ:さらに屋上に混浴露天風呂を、というのも。

理:ムフフフ…。苦しゅうないぞ。

サ:さらに、駄目押しとして。少々お耳を…

理:ム。ムフ。ムフフ。ムファファファ…

サ:これで我が方の勝利は確実と。

理:頼むよ、サルマーニ君。ファファファ…



ミ:あ、ジョセフ。

ジ:やあ、ミル。

ミ:早速だけど…

ジ:おーっと、その先は言わなくても分かるぜ。スイカは野菜なのか果
物なのか悩んでるんだろう。

ミ:少しはドラマの進行のことも考えてくれよ。

ジ:おっと、そうだった。まあ聞いてくれよ。

ミ:僕は一体どうすればいいんだい。

ジ:そう、君は僕と正々堂々戦うんだ。

ミ:えっ。

ジ:君、即ちわるわる団の用意する公約はたぶん強力だ。勝敗の可能性
は五分五分だろう。

ミ:そうかなあ。

ジ:僕の目的は、裏からこの学園を操る真の悪玉を見つけ出すことだ。
恐らく、わるわる団はそいつに利用されている。

ミ:それは…

ジ:サルマーニ先生は言わば傀儡さ。

ミ:確かに、影のボスがいるらしいということは…

ジ:それをつきとめなければいけないんだ。わるわる団自体は人畜無害
だからね。

ミ:それを言うなよ。

ジ:ま、せいぜい選挙活動がんばり給え

ミ:オマエモナー

あーはっはっは・・・


◆


前回までのあらすじ
都の西北、由緒正しき「聖・ドルトユーロ学園」。一見平和な学園内に、
影のように忍びよる悪の秘密結社「わるわる団」。運動会の乗っ取りに
失敗した彼らの次のターゲットは、次期生徒会長候補の当選阻止。対立
候補を擁立し、遂に選挙当日を迎えるが、勝利の女神はどちらに微笑む
のか。


第八話・最終話「たとえば、僕が君だとしても。」


ジ:俺はヤツに言ってやったさ、「お前、これで赤点何枚目だよ?」っ
てね。

ミ:そしたらヤツは何て?

ジ:「お前は今までに吸った煙草の本数を覚えているのかい?」って。

ミ:ハッハッハッ、そいつはファンタスティックだ!

ジ:ところで、ミルクティーヌ。

ミ:なんだい、ジョセフィーヌ。

ジ:もうすぐ発表だな。

ミ:今年はやはり紅組か。

ジ:紅白はもう終わってるよ。そうじゃなくて生徒会長選挙の結果さ。

ミ:そうだな。出口調査では紅優勢と聞いているが。

ジ:おいおい、ネタひっぱり過ぎだよ。おっと、早くも当確が出たよう
だ。

ミ:ふーむ、やっぱりだ。ジョセフィーヌ、負けたよ。おめでとう。

ジ:まだ確定したわけじゃないが、ありがとう。と言っておこう。まあ、
都合のいいことになりそうだ。

ミ:してやったり。だな。

ジ:そうさ。ショーはこれからだ。


(理事長室)
理:サルマーニ君。

サ:理事長、お呼びでしょうか。

理:例の件だが…

サ:はっ。たった今、選挙管理委員会から内々に開票結果の通達が。

理:で。

サ:残念な結果に。

理:では、いつもの通り。

サ:はっ。もみ消すと。。

理:フフフ皆まで言うな。よきに計らえ。

サ:かしこまりました。



ジ:どうだった?

ミ:君がいった通りさ。結局最後の最後でまさかの大逆転。

ジ:勝利は白組の手に。か。

ミ:そうさ。やはりもみ消された。

ジ:そしてその指令者は?

ミ:こっちの罠にまんまとかかったぜ。

ジ:やはり。…か。

ミ:この学園を名実共に牛耳る。支配者。

ジ:理事長こと...

ミ:…理事長だ。

ジ:うーん。確かに本名すら知られていない。

ミ:まさに影の人物。

ジ:予想通りすぎて面白くはないが。

ミ:さて幕は上がった。

ジ:覚悟は出来てるかい。

ミ:なにを今更。もう後戻りは出来ないさ。

ジ:よし、所信表明演説だ。


(理事長室)
理:話が違うじゃないか。サルマーニ君。

サ:はっ、いえ、これには深い訳が。。。

理:ほう、申し開きができると言うのか?

サ:は。我々わるわる団メンバーであったはずのミルクティーヌめが裏
切りまして…

理:それでわるわる団の選挙結果捏造が露呈したというのか。

サ:はあ。誠に遺憾なことです。何故バレてしまったのやら。

理:そして、ジョセフィーヌとミルクティーヌの連立政権が発足。

サ:実に遺憾で…

理:そしてヤツらはどうも私を排斥しようと狙っている。

サ:はあ、遺憾の極みで…

理:…ム。ムフ。ムフフ。ムファファファ…

サ:ど、どうされました?

理:面白い。サルマーニ君。受けて立とうじゃないか。悪の秘密結社
「わるわる団」再結成だ。

サ:はっ。

理:ムファファファ。我々の力を思い知らせてやろうじゃないか。

サ:仰る通りで。全くもって素晴らしきお考え。是非とも今度こそはぎ
ゃふんと。

理:ときに、今回もまた不手際だったな。サルマーニ君。

サ:い、いや、しかし、これ以上人生ゲームでハンデをつけるのは勘弁
していただきたく…

理:いやいや。今度という今度はババンといくぞ。覚悟はよいな?ファ
ファファ…



ミ:我々に対する全学園生徒の支持率はでたのかい?

ジ:83.7%だ。

ミ:まあまあ合格点だな。

ジ:うん。でも、本当の闘いはこれからだぜ。

ミ:そうさ。まあとりあえず今夜は祝杯を上げようじゃないか。

ジ:そいつは大賛成だ。

ミ:しかし、これでこの話もひとまず一件落着だな。

ジ:全くだ、今回も無駄に脚本引っ張ったな。

ミ:それは言わない約束ってことで。

ジ:だと思った。

ミ:パクリかよ。

    あーっはっはっは・・・


−終劇−


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