ミニFM関連 技術資料(2011.5 作成中)

電波法施行規則(第6条)
無線設備から3メートルの距離において、その電界強度が500μV/mより低いもの
「免許を要しない無線局の用途並びに電波の型式及び周波数」郵政省告示第708号(昭
和32年8月3日)
「発射する電波が著しく微弱な無線局の電界強度の測定方法」郵政省告示第127号(昭
和63年2月25日)

放射される電波の、ある場所における電界強度は、基本的に放射電力の1/2乗に比例し、
距離に反比例する(自由空間に於いて)
近似式E=7*(p^1/2)/dより、3mの距離において500μV/m(54dBμ/m)の電界強度を得られる
送信電力は約50nW(-43dBm)
(送信電力:p[W] 距離:d[m] 電界強度:E[V/m] 半波長ダイポール使用)

0dBu=1e^-6V(1uV)
0dBm=1e^-3W(1mW)
0dBf=1e^-15W(1fW)=-90dBm=0.27uV@75ohm 1uV=+11.25dBf 500uV=65.23dBf=3.33nW
0dBm=+113dBuV(EMF)=+107dBuV(PD)
EMF=Electro Motive Force:開放端
PD=Potentiall Drop:負荷端
ppm=1e-6(1/100万) ppb=1e-9(1/10億)
実用感度 dBf (FM,mono,S/N30dB)
新IHF,S/N50dB感度

電界強度 単位はμV/m(dBμ/m)
尖頭値か準尖頭値で測定、被測定物は回転台高さ1.5m、測定用アンテナは半波長ダイポー
ルで、垂直水平各高さ1mから4mに変化させ最大値
尖頭値検波ピークパワーメータ若しくはスペアナのマックスホールド
TVアンテナ調整用のチェッカの表示は端子電圧であり、電界強度ではない。

送信周波数確度
Phase Locked Loop (PLL)
送信周波数安定度

最大周波数変移±75kHz=100%変調
占有帯域幅(OBW)
全電力の99%を占める周波数帯域幅±100kHz


残留振幅変調雑音(残留AM)=出力電力変動
副搬送波:38kHz
パイロット信号:19kHz 変調度8〜10%
副搬送波抑圧(サブキャリアリーク)

温度特性 温度変化に対する性能変動(温度安定度 動作温度範囲)

不要輻射レベル:空間に放射される目的信号以外の信号量
高調波:目的信号の整数倍の周波数成分
スプリアス:目的信号以外の周波数成分(高調波を含まない場合も有)

リターンロス
入出力端子のインピーダンスが公称値にどれだけ近いかの評価。電波出力端子に当該周波
数の電力を外部より与えその反射電力との比をdBで表した値で大きい程良い。15dB以上で
VSWR<1.5相当

アンテナ利得
最大放射方向における同電界強度での基準アンテナとのアンテナ入力電力比(電界強度比
の2倍)
あらゆる方向に均一に放射する「等方性(アイソトロピック)アンテナ」を基準とした値
を「絶対利得」[dBi]
半波長ダイポール基準の値を「相対利得」[dB][dBd]
無損失の理論的半波長ダイポールは利得1.64=2.15dBi=0dB(0dBd)

指向性
放射強度の偏り(特定方向に基準より強く放射=特定方向に基準より弱く放射)
無指向性アンテナ=等方性アンテナ
指向性アンテナ=利得が1以上のアンテナ
一般的には水平面での電界指向特性(フィールドパターン)で示される
半波長ダイポールは指向性アンテナ(8の字パターンと呼ばれる)但しエレメントに対し
垂直面においては無指向
ミニFMでは指向性アンテナの使用も可能だが、電波到達距離は変えられない為、受信可能
エリアが狭くなる
よって最大の受信可能エリアが得られる無指向アンテナを用いて送信するのが原則
空中に放射された電界強度の距離による減衰量は自由空間(またはニアフィールド)で6d
B/oct、地表伝搬で約12db/oct
どのような指向性のアンテナでも、距離による電界強度の減衰割合は同じ。

偏波
放射される電波の電界振動面を偏波面と呼び、大地に垂直なエレメントのアンテナの偏波
面は大地に対して垂直となり垂直偏波、大地と平行なアンテナは水平偏波となる
送信と受信で偏波面が異なると、3〜6dB程度の損失が発生し、また間接波をより大きく受
けることになる
FM,TV放送は水平偏波が主流だが、既存局との混信を減らし、また無指向性とし易い為、
ミニFMにおいては垂直偏波の方に分がある

VSWR(電圧定在波比)=リターンロス
インピーダンスの整合状態(マッチング)の良否を表す
供給側と負荷側でインピーダンスが整合していない状態では信号は反射する。反射が起こ
ると入射信号との間で干渉し定在波を発生する。その定在波の最大電圧値と最低電圧値の
割合をVSWRとする
完全整合でVSWR=1、例えば50Ωのアンテナと75Ωのケーブルを接続したときの理論上のVS
WRは1.5
VSWRが悪いと輻射効率の劣化、指向性の悪化、各種電波障害の発生
送信器とケーブル、ケーブルとアンテナそれぞれの間で整合状態が複雑に関係し合い問題
となる。
マッチングの良否の目安は大体VSWR1.5以下で良好とされるが、その範囲内の目安は半波
長ダイポール等同調型アンテナでは通常中心周波数から±1〜2%(84MHzでは約±2MHz)程
度であり、FM放送帯14MHzを無調整でフルカバーするのは困難。
市販の受信用によく見られるフォールデッド(折り返し)ダイポールは比較的帯域が広く、
またディスコーン型は10オクターブ程度の広帯域で1.5程度の低いVSWRを確保できるとさ
れる
放射インピーダンス(放射抵抗)=入力インピーダンス
半波長ダイポールの理論値約73Ω(地上高や偏波の関係により上下する。放射方向で1/4
波長以上地面や物体に近づくと大幅に変動)

平衡不平衡変換
電波的に平衡(バランス)しているダイポールアンテナと不平衡(アンバランス)な同軸
ケーブルをそのまま接続し送信すると、ケーブルの外部導体からも相当量の電波が発射さ
れ電波が干渉したり、各種障害が発生しやすい。そこでバラン(balun)と呼ばれる変換器
を用いる。75Ω同軸と300Ω平行フィーダとの接続には1:4のインピーダンス変換を兼ねた
トランス型のバランがよく使われている。

空中線電力
アンテナに供給する電力値

放射能率(輻射効率)
入力電力と放射電力との比 放射能率が低下すると利得も低下 非接地アンテナでは大概は
90%以上

実効放射電力(ERP)
目的方向における見かけ上の放射電力
輻射電力EIRP(Equivalent Isotropically Radiated Power:等価等方輻射電力)

実効長
半波長ダイポールの場合、全長の63%

ケーブルの特性インピーダンス
アンテナと送受信器のインピーダンスと同じ特性インピーダンスを持つケーブルで接続す
べきで、これが異なる場合VSWRが悪化する
市販されている主な同軸ケーブルは50Ωか75Ωの2種類
一般的なテレビ受信器、FMチューナのアンテナ入力端子のインピーダンスは75Ω(一部30
0Ω端子併設)受信用のアンテナのインピーダンスも殆ど75Ωであり、ケーブルも75Ωの
ものを使用。
一般の同軸ケーブルの名称で最初の数字は外部導体の内径
次の文字のDは50Ω/Cは75Ω
ハイフンの次の文字は絶縁方式2はポリエチレン、Fは発泡ポリエチレン、HF高発泡ポリエ
チレン
末尾の文字はVが一重外部導体+PVC被覆、Wは二重外部導体、Bは一重外部導体+アルミ箔で
シールド性を高めたもの、BLは一重外部導体+アルミ箔2重
頭にS-が付くものはBS,CS対応品
ケーブルは一般的に太い方が損失が少なく電波漏洩も少なく高性能。また75Ωより50Ωの
ケーブルの方がロスは少ない。
FM放送帯は衛星放送(〜2600MHz)に比べ周波数が低い為、ケーブルによるロスの差は少な
い。
RG-58は3D-2V相当だが若干細い
5D-2V,5D-FB,RG-58,RG-55U,RG-178等:50Ω(ケーブル外皮は灰色か黒色)
5C-2V,S-5C-FB,RG-59等:75Ω(ケーブル外皮は黒色、白色が多い)
フィーダと呼ばれる平行線は200か300Ω。現在は使われなくなってきている。
ケーブルロス参考値(@80MHz)
3D-2V,RG-58A/U 10m 1.3dB
5D-2V 10m 0.8dB
5C-FB 10m 0.6dB
2Vタイプ同軸ケーブルの短縮率は67%前後
コネクタロスはほぼ無視できるが、BNC型は接触が弱いため長期間安定的に使用するには
ネジ式のTNCやF(75Ω),N(50Ω)型の方が良い。M型は品種による性能差が比較的大きい。
屋外でコネクタを使用する際は、耐候性テープで防水する
アンテナは周囲から1/4波長以上離す


音声周波数特性
規定帯域においての平坦性

0dBu=0.775Vrms=2.19Vp-p(@正弦波)
+4dBu=1.23Vrms=3.47Vp-p(@正弦波)
0dBV=1Vrms=2.83Vp-p@(正弦波)
-10dBV=0.32Vrms=0.89Vp-p(@正弦波)
0dBV=+2.2dBu
0dBm=0.775Vrms@600Ω(1mW)
0dBs=0.775Vrms@Hi-Z
0dBv=1Vrms@Hi-Z
dBv=dBu dBV=dBs
dBf,dBFS
許容最大入力レベル
クレストファクタ(ピークファクタ波高値)ピーク値と実効値の比 正弦波は3dB

VU(volue unit)実効値に近い値
実効値=r.m.s.(root mean square)2乗平均の平方根

シングルエンド(片線接地)
バランス(平衡)入力(差動入力)

端子形状
XLRタイプNC3キャノン,TRS標準ジャックφ6.3フォーン1/4"フォノ、ピンジャックRCA(ホ
ットから先に接触する)、バンタム
バランス伝送用 tip:hot,ring:cold,sleeve:GND
インサート用 tip:send,ring:return,sleeve:GND
プラグ(オス)・ジャック(メス)
バランス信号の伝送に用いるケーブルは、ステレオ用の1芯シールド×2ではなくツイスト
ペアのシールドを使用する。最も一般的なカナレL4E6は2芯ツイストペア×2「クァッド」、
L2E5は2芯ツイストペア、サフィックス"AT"はアルミラップシールド+ドレン
シールドケーブルは静電容量による高域周波数特性の劣化(ハイ落ち)があるのでなるべ
く短く

同相電圧除去比(コモンモード除去比CMRR)
バランス入力の平衡度評価値。アンバランス入力においては無関係
信号送出側のインピーダンスや測定周波数により変動するが、60dBもあれば標準的。

ステレオ分離度(チャネルセパレーション)
規定周波数においての片チャネルからもう一方のチャネルの漏洩音声レベル

信号対雑音比(S/N)SN比(S+N)/N
(A-Weighted)[dB(A),dB-A]IHF-A
ダイナミックレンジ
ひずみ率(THD+N)歪率[わいりつ]とも
相互変調歪(IM3)IMD,IP3 3次混変調、2toneIM
群遅延特性:周波数に対する位相偏移の負の偏微分
レベルリニアリティ
チャネル間レベル差
入力インピーダンス

プリエンファシス特性
エンファシス[emphasis]とは強調という意味で、放送通信ではS/N確保の為送信時に音声
の高域を強めて変調すること。
その特性は使用されるフィルタの時定数で規定され、日本のFM放送では50μsec、TV音声
や海外のFMでは75μsecも存在する。50μsecでは1kHzに対し10kHzで約10dBレベルを上げ
て変調。
送信側で高域強調(プリエンファシス)し受信側では高域を減衰させ(デエンファシス)
総合で平坦な特性とする
送信側と受信側で特性が合っていないと音声周波数特性の平坦性が損なわれる。

DC48Vファンタム電源方式、ごく一部にDC12Vを使用する「AB電源方式」

EMC 
電磁的両立性・電磁気共存性の略
EMI(電磁妨害=エミッション問題)EMS(電磁妨害感受性=イミュニティ問題)双方を両
立させようというのがEMC(電磁的両立性)。つまり、「他のシステムにノイズ障害を与
えず」かつ「他のシステムからノイズの影響を受けず」という考え方に基づくのがEMC。

参考文献:「アンテナ・ハンドブック」CQ出版社



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