『惚れた女』



女王アンジェリークがそのことに気付いたのは主星で真夏日がちらほら出始めたある日の事だった。
「ああ、そうだわ。……何がいいかしら…。手作りのお菓子とかは今更って感じよねえ。うーん。どうしようかなあ。何か買おうかしら…。…でも買うって言っても…。」
結局は、買い物に行きたい、表に出たい、…と言う結論に落ちついてしまうのだ。
もちろんアンジェリークの脱走癖は今に始まったことではない。もうどれだけロザリアやジュリアスに叱られたことだろう。それでも一向に懲りた様子はない。
「なんか、ゼフェルの気持ちがわかるようになってきたわ…なんちゃって…」
などと自分に言い訳をしながらアンジェリークは重い正装を脱ぎ捨てて夏物のワンピに着替えた。肩は太めのストラップで、ピンクのギンガムチェックのさわやかな、くるりと回るとスカートがお皿のように広がる、実家から持ってきたお気に入りの服である。それから髪の毛をまとめて、くるりとお団子を結った。
「さあ、出かけましょう」
ロザリアの目を盗むのもすっかり板についた。いや、もしかするとロザリアは大目に見てくれているのかもしれないが。
とにかくこういう時には、「新しい宇宙、新しい女王♪」と、呪文のように唱えるアンジェリークである。今までの女王とは違うけどいいじゃない?と言う意味らしい。
アンジェリークはお決まりの脱出コースから外に忍び出て街に向かった。



「ふう、なかなかいいのがないなあ。どんなものがいいのかしら…。かえって難しいものねえ。親しくなっちゃうと…。深読みしすぎかしら…。」
聖地にある小さな街の明るい商店街で、アンジェリークは悩んでいる。レースのパラソルでちょっとカムフラージュしているその姿に、誰も彼女の正体を見抜くものはいない。
「うーん、これって…あっ!」
ショーウィンドウばかり見て歩いていたアンジェリークは、なにかにぶつかった。
「きゃっ!ごめんなさい!よそ見していたものだから…。」
見るとそれはアンジェリークのパラソルに顎をしゃくられるような感じで仰け反っている長身の男だった。
「きゃああ!ごめんなさい、ごめんなさい!痛かったでしょ?」
男はパラソルを手で摘み上げると、アンジェリークの顔を覗き込んで言った。
「まったく…。痛くはねえが、そうきゃあきゃあ叫ぶな、頭に響くぜ。」
「きゃっ、ごめんなさい!ほんとに…むぐっ!」
そう言ったアンジェリークの口を男の大きな掌が塞ぐ。
「叫ぶなって言ってんだろ!」
「……ごめんなさい。」
「かまわねえがな、ちゃんと前を見て歩けよ…ん?」
男は、アンジェリークの顔を改めてしげしげと見ている。銀色の、長いとも短いとも言えないような髪が、無造作に片目を隠していた。
(あら、わりとかっこいいかも…)
アンジェリークは立場も忘れて、その視線を真っ向から受けていた。
「おまえ…」
「えっ?え?私がなにか?あ、そうそう、わたし女王陛下に似てるってよく言われるんですよ、似てますか?」
男はそれを聞いて、ちょっと呆れたような顔をした。
「…おまえ、それはちょっと図々しいんじゃねえか?」
「あ、あはは、そうですか?やっぱり?」
(ふう、びっくりした。でももう大丈夫ね。えへ、作戦成功。)
男は、その様子を見てちょっと意味ありげに笑った。それから、アンジェリークの見ていたショーウィンドウを見た。
「男もんだな。」
「……あっ、そ、そうですけど?なにか?」
「いや、なにかあんたの彼氏にプレゼントでもするのかと思ってよ。」
アンジェリークは図星を指されて頬を赤らめた。
「あ…実はそうなんですけど…でも、なに選んでいいか、迷っちゃって。」
「俺が選ぶのを手伝ってやろうか?」
「あなたが?」
「いやか?女が自分の趣味だけで選ぶと、とんでもねえもんを選んじまうかも知れねえだろ?」
アンジェリークはそういわれればそうかも、と思った。でも見ず知らずの男性と一緒に買い物をしたなんて、ジュリアスやロザリアにばれたらどんなに叱られるだろう…。
(…でも、私は女王だわ。一番えらいんだから!新しい宇宙、新しい女王♪)
アンジェリークは意を決して大きく頷いた。この男のことも、悪い人間には感じられない。
「お、お願いするわ、え…えっとお…。」
「…俺は、アリオス。」
「あ、よろしくね、アリオスさん、私は…アンジェリカ。」
もっと気の利いた偽名はなかったのだろうかとちょっと自分にがっかりしながら、アンジェリークはそれでもこのシチュエーションにどきどきして言った。
「アリオスでいいぜ。おまえも、アンジェでいいよな。」
アンジェ、といわれてアンジェリークは更にドキッとした。
(なんか、この口の利き方といい、ゼフェルが大人になったみたい。)
「行こうか、よさそうな店を知ってる。」
アリオスはアンジェリークの肩をぐいとつかむと、すたすたと歩き始めた。



ジュリアスは溜息をついた。もうこれで何度目になるのだろう。あのはねっかえりの女王が宮殿を抜け出していずこかへと行ってしまったのは。ジュリアスはそのたびに口を酸っぱくして小言を言っているはずだが、まったく効果というものがない。
「陛下はご自分をなんと思ってらっしゃるのか…。」
「いや、それより私のことをなんと思ってらっしゃるのか…。」
女王陛下の御翼のもとに集いし守護聖たちの長であり、最も深く忠誠を誓った身であり、しかもプライベートでは永遠を誓った恋人であるはずのジュリアスである。
「…だが、陛下は…」
やはり口うるさい目付け役、とでも思っているのだろうか。本当はジュリアスを遠ざけたいのではあるまいか。どうして、陛下を案ずるこの心根を理解してはくれないのか。
「アンジェリーク…。」
深く落ちこみながらも、アンジェリークを探し出さねばならない、とジュリアスは宮殿を出て街に向かった。アンジェリークの無断外出は圧倒的に買い物が多いのだ。
「年頃の娘というものは、皆そうなのか…。」
やはり、若い娘の考えることなどわからない。ジュリアスは開き直りつつあった。
(私がアンジェリークのことが理解できぬように、アンジェリークも私のことが理解できないのに違いない。世代の溝、というものだ。仕方がない。私だけのせいではない。)
そう考えながら大股に歩きつづけると、街はすぐそこだった。ジュリアスは民たちの物見高い視線を浴びながら、そうとも気付かず町に入って行った。



「どうだ、このシャツなんか、似合いそうか?」
アリオスは上品な雰囲気のドレスシャツを指差して言った。
「俺と同じくらいの体格なんだろ?それでもう少し上品な趣味…だったよな。」
「あの、アリオス。別にあなたが上品じゃないって言っているわけではないのよ。ただあの方は本当に、半端じゃなく…」
「貴族趣味なんだろ。」
アンジェリークは否定できないものを感じて、変な顔をして笑った。アリオスの指差したそのシャツは生成りの絹に渋めの金糸の刺繍の縁取りのある、なるほど上品なものだった。これならジュリアスに似合うかもしれない。でもこういうもの、着てくれるかなあ、とも思う。ジュリアスはああ言う調子なので、あまりシャツやスーツを着ることがない。
(でも、デートでたま〜に他所に出かけるときは目立たないようにって、着るものね。)
「うーん、似合うと思うけど、気に入ってくれるかなあ…」
「好きな女のくれたものなら、口でなんと言おうと、本音は嬉しいはずだぜ。」
アンジェリークはちょっとびっくりした目でアリオスを見た。そんなことを言いそうな男には見えなかったからだ。だが、アリオスはアンジェリークのほうを見ながら、実際は遠くを見ていた。なにか、遠い昔の思い出を見るような切ない目をして…。
「…アリオス?」
「なんだ?」
アンジェリークははっとした。これ以上訊いてはいけない。アンジェリークの女王の心は、アリオスの心が、捨てられて独りぼっちになった子供のように深く傷ついていることを感じた。癒してあげたい。でも、それはきっと余計なこと…。
「ううん、なんでもない。」
「…ヘンなヤツ…。」
アリオスがくすっと笑うと、アンジェリークもつられて微笑んだ。と、その時、
「…アンジェリーク!!」
小さな店のすぐ外で大音声がした。その声の主をアンジェリークはもちろん瞬時に理解していた。
「ジュリアスさま…。」
アリオスには聞き取れないような声でそう呟くと、観念して声のしたほうに振り向く。
「アンジェリーク…そなたは何故…。」
ジュリアスは店の入り口で仁王立ちになって、険しい表情でこちらを見ている。もちろん、そんなことは見なくともわかるのだが…。
「…ゴメンなさい…。」
アンジェリークは俯いてそう言った。
「なんなんだ?この仰々しい恰好の…あ、もしかしてあんたの…?」
この光景を見ていたアリオスがそう口を挟む。それを聞いたジュリアスが訝しげな視線をアリオスに送る。そしてとりあえず二人を店の外に連れ出してから言った。
「そなたは…?」
「あ、アリオス、いいのよ。ジュリアスさま、この方は…ええと…」
さらりと言い訳してのけるつもりが、ジュリアスの真剣な青い目に見入られて思わず口篭もってしまったアンジェリークである。
「ああ、俺はアリオス。ちょっとさっき偶然にパラソルで顔を殴られたもんで、その詫び代わりに俺の服を選んでもらっているだけだ。別にやましいことはなんにもしていねえぜ、ジュリアスさまとやら。」
アリオスが代わりにさらりと言い訳をした。ジュリアスは険しい表情のままアリオスを上から下まで見まわして最後に真正面から見つめた。
「そうか。それは御迷惑をお掛けした。だが彼女は故あって一人では外出を許されぬ身。申し訳ないが、ここまでにしてはくれぬか。」
「女王様だからか?光の守護聖さま。」
アンジェリークは大きな目をますます大きくして、驚いてアリオスを見た。そしてそれからジュリアスを見ると、ジュリアスは険しい目をますます吊りあげたようだった。
「そなた、それと知って彼女を…。」
「別に、知ってたからって何かしようってわけじゃねえぜ。ただこのお嬢さんが彼氏へのプレゼントを選びあぐねていたようだから、アドバイスついでに俺の買い物に付き合ってもらっただけだ。察するところ、あんたへの贈り物のようだがね、ジュリアスさま。」
そう言われたジュリアスは一瞬固まった。アンジェリークはめまいがしそうだった。まさかバレバレだったなんて。
(ああ、もうどうしよう、ジュリアスさま、固まってるわ。)
アンジェリークは穴でも、ダンボールでも、あったら潜り込みたい気分だった。



(この男、軽率そうな態度に見えるが、相当の切れ者のようだ。今の発言に偽りはないようだが…私への贈り物だと?…油断のならぬ男だ…私への…しかし陛下はそのような事までこの男に…?ああ、だめだ…私は何故そのような下世話な…。)
ジュリアスは少し混乱していた。そして落ちつくために、小さく深呼吸をする。
「…確かアリオス、と名乗られたな。陛…彼女が貴殿に大変御迷惑をお掛けしたようで、まことに申し訳ない。私からもお詫び申し上げる。だが勝手を申すようだがこれ以上は同行を御遠慮願いたいのだが…。」
ジュリアスは努めて冷静にそう言った。
アリオスは参った、というような手振りをしながら答える。
「はいはい、あなたのようなやんごとなき方にそんな慇懃にお願いをされたんじゃ、断ったらばちが当たりそうだ。私はここで退散いたします、これでいいだろ、守護聖さま?」
聞きようによっては人を小バカにしたような口の利き方をしたアリオスに、ジュリアスは形のよい眉をしかめながらも言う。
「かたじけない。そうして頂きたい。」
「…でもよ、彼女があんたへの贈り物を探していたのは本当だぜ…おっと、でもそれは彼女が言ったわけじゃない。俺が勝手にそう推測したら図星だっただけだからな。」
アリオスはまたいつもの言葉使いに戻った。嘘を言っているようには見えない。それがわかったので、ジュリアスは自分の品のない(と、ジュリアスは思った)憶測を恥じた。
「アリオス…あ、あの、ジュリアスさま?」
やっと口が利けるほど落ち着いて来たアンジェリークが言う。
「あの、勝手に出てきたこと、ごめんなさい。でも私、本当にジュリアスさまに何か素敵なプレゼントをしたかったの。だからやっぱり誰にも内緒で決めたかったの。あ、アリオスにはバレちゃったけど…。あの…本当にすぐ決めてすぐ帰るつもりだったの…。」
アンジェリークはそう言うと俯いてしまった。
「あんたも彼女に惚れてんだろ?許してやれよ、可愛いもんじゃねえか。」
惚れている…。あまり上品な言葉とは思えない。ジュリアスがそんな言葉を使ったことはもちろん一度もない。だが今のジュリアスがアンジェリークに抱いている気持ちは……。
「…わかっている。この件で彼女をこれ以上叱責するつもりはない…。」
「ジュリアスさま…。」
アンジェリークはジュリアスを見上げた。だがその様子は目を伏せて俯いているジュリアスの目にははいっていない。
アリオスはジュリアスのその様子を見て、あまりの『可愛らしさ』に失笑を禁じえなかった。そして、思わずこう言った。
「惚れた女を、泣かすんじゃねえよ。じゃあな、やんごとなき方々。」
そしてアリオスは踵を返すと大股にその場を去って行った。
「あ、アリオス!ありがとう!本当にありがとう!」
アンジェリークのその言葉に、アリオスは振り向かず右手だけひらひらと振って見せた。
ジュリアスはその様子を黙って見送った。アンジェリークもそれ以上なにも言わなかった。二人はアリオスの姿が見えなくなるまでそうして立っていた。



「あの…ジュリアスさま?」
いつまでも黙りこくっているジュリアスに、沈黙が堪えきれなくなったアンジェリークが思わず声を掛ける。
「……戻りましょう、陛下。」
「…わ、わかりました、ジュリアス。同行してください。」
ジュリアスはさっきから何か考え込んでいる様子である。二人はそのまま黙って並んで歩いた。宮殿の前庭に差し掛かると、ジュリアスはポツリと言った。
「戻る前に、私の執務室においで願えませんか?陛下。」
アンジェリークは少し驚いたが、もちろん断るつもりはなかったのでこくん、と頷いた。
ジュリアスの執務室に入ると、ジュリアスは後ろ手に扉の鍵を掛けた。
「私は…どうかしてしまったようです、陛下。」
「えっ?」
俯いたまま、思いつめた声音でそう言ったジュリアスをアンジェリークは驚いて見つめる。
「あなたはこの宇宙のたった一人の女王でいらっしゃる。それは私が誰よりも承知しているはずだ。…それなのに私は、あなたを……」
「……ジュリアス?」
「…あなたを、私だけのものにしてしまいたいと…誰にも触れさせたくないと…思ってしまうのです…こうして……!」
ジュリアスは顔を上げると、いきなりアンジェリークを抱きしめた。
「こうして、私の腕の中に閉じ込めてしまいたい、アンジェリーク!」
「ジュリアス……さま?」
「先ほど、そなたを見つけた時、見知らぬ男と楽しそうに話すそなたに…胸が焼け付くようであった。…私の心は…醜い嫉妬で一杯になっていた。…こんな…気持ちは初めてだ…。何故…何故私はこんなにそなたが愛しいのだ…。これが…この気持ちが、『惚れる』ということなのか…?!教えてくれ、アンジェリーク!私はいったい…この気持ちを…どうすればよいのだ?」
アンジェリークはジュリアスの狂おしいほどの告白を聞いて、思わずその目に涙を溢れさせた。ジュリアスが、これほどまでに自分を思っていてくれているなどとは、アンジェリークは知らなかった。
「ジュリアスさま…苦しい…」
アンジェリークがそう呟くと、ジュリアスははっとしてアンジェリークを抱きしめる腕を緩めた。それを感じたアンジェリークはすかさず腕を外して、今度は自分から力いっぱいジュリアスを抱きしめた。愛しくて、愛しくてたまらないひと、とアンジェリークは思う。そして言った。
「私も、ジュリアスさまを独り占めしたいっていつも思ってます!ジュリアスさまがあの子たちと話したり、一緒にどこかにいらしたりするのを考えるとたまらなくなる時だってあります。…ううん、いつもそう。私は女王だから、あの子たちは女王候補だからって、いつもそう言い聞かせて我慢しているけど、本当は誰にもジュリアスさまを触らせたくないくらいです!誰にも…そう、オスカーさまや、クラヴィスさまにだって!」
「……アンジェリーク…」
「同じです、ジュリアスさま。きっとそれが普通なんです。ほんとに好きになるって言うこと…『惚れる』ってことは…。私、嬉しいですジュリアスさま。ジュリアスさまも私をそんなふうに思っていてくださるってことが…。」
「本当に…好きになる…『惚れる』と…言うこと…」
ジュリアスはアンジェリークの言葉を繰り返すようにそう呟いた。
「大好き、ジュリアスさま!」
「…アンジェリーク…!」
どちらからともなく、二人は唇を重ねた。再びジュリアスがアンジェリークを抱きしめ、体を重ねるより熱いくちづけを交わしながら、二人はお互いを独占できる時間を持てた幸福を、確かに感じることが出来た。



「でも、あのアリオスっていう人…とても寂しい人でした…。」
長い抱擁から解き放たれたアンジェリークはぽつりとそう言った。
「…寂しい…とは?」
だいぶ冷静さを取り戻したジュリアスは、そう聞き返す。
「あのひと、恋人を亡くしています。本当に、心から愛した人を…。」
「わかるのか?…わかったのか?そんなことが…。」
「わかったんです…あの人にはどうしてか、私のサクリアと同質の力をどこかに感じました。もちろん女王のはずはないけど、でも、もしかすると、何か宇宙に影響を与えるようなことができる、強い力を持っているのかもしれません…。だから、わかったんです。あの人の…心。あの人があなたや私のことを見抜いたのだって、そのせいかもしれません。流れ込んで来たんです、あの人の寂しい気持ち…。」
「そうか…私にもあの者がただ者ではないことはわかる。だからそなたがそう感じるのなら、きっと事実なのであろうな。」
「また、逢えるような…逢ってしまうような…気がします。あの人とは…。」
「…そうか…。ではその時は、あらためて礼を言うことにしよう。」
「礼?」
「私の、この気持ちを…そなたが私にとって『惚れた女性』だということを、あの者の言葉によって…肝に銘じることができた…。」
「ジュリアスさま…」
なんだか『惚れる』の使い方が変わってるなあ、と思いながらもアンジェリークはジュリアスの言葉を嬉しく聞いた。ジュリアスの目が、とても優しい。
「そろそろ、執務に戻らねばな。」
「あ、そうですね!わあ、ロザリア、怒ってるだろうなあ。」
「私も一緒に謝りに行こう。結局そなたの片棒を担いでしまったようなものだからな。」
「ご、ごめんなさい。お願いします。」
アンジェリークはそう言って、既にドアの方に歩み寄っているジュリアスの後を追った。
(ああ、でもどうしよう…ジュリアスさまの誕生日のプレゼント…当分、抜け出せそうもないし…仕方ないなあ。あとでウォンさんにでもお願いしようっと。)
ドアを開けるジュリアスの光り輝く姿を眩しく見つめながら、アンジェリークも優しく微笑んで、その背にある光の翼をふわりと広げたのだった。



おしまい



 また、例によって、詳しいリクエスト内容を覚えていません(爆)が、ジュリリモに誰かお邪魔虫が入って、ジュリ様がやきもきする、というようなこと…でしたよね、花音さん。最初の予定とお邪魔キャラが変わってしまいました。もうほとんど『原作』無視ですが、まあ、天レク以降の『原作』はあまり気に入ってないとこが多いからいいや(核爆)。アリオスとこんな出会いがあったら、ジュリさまたちも、アリオスと言おうかレヴィアスも、だいぶ違った展開を見せるでしょうね。まあ、結局ただのラブラブ甘々になっちゃったけど…。あと、このお話の時期は多分女王試験中で、まだ二人は清い関係のようです。あはは。(はとみ)