はじめに


PICとの出会い



PICを知る以前は、マイコンを仕事以外で使用したことが殆どありませんでした。ザイログ社のZ80や東芝TMPZ84シリーズなどのCPUで、ご丁寧にROMやRAMをつけて開発したり、インテル社8031や旧三菱のM5xシリーズのワンチップマイコンを使っておりましたが、ホビーで使うにはROMライターや紫外線消去装置など、色々と開発環境を揃える必要もあり、お手軽でなかったのがその理由でした。

時代は1994年頃、私が最初にPICを知った年で、その時はPIC16C84でした。以降PICマイコンの製作記事などが次々と発表されるようになりました。その中で私が一番衝撃を覚えたのが、トランジスタ技術1997年5月号の瀬戸口豊氏のあの有名なブレークアウトゲームでした。これぞワンチップマイコンの本来の使い方だと感動して部品を集め、作り、楽しませてもらいました。これが私がPICマイコンを作って動かした最初の作品となりました。

それからいくつかのプログラムを読んでは自分なりにプログラムを動かしてみましたが、命令数は無い割りに独特なアセンブラを書くのが億劫になり、LEDを点滅する位で満足して、それ以上の追求は行っていませんでした。


PICをC言語で動かす



もう少し効率のよいプログラムができないかと、当時(2002年頃)インターネットで色々徘徊しているうちに、HITECH PIC Cというコンパイラがある事を知りました。これは製品版は、12万円位の価格(※最近はもう少し安くなりました)で個人で使うには、とてもではありませんが、まだまだ手が出せる価格帯ではありません。しかし、よく調べるとlite版がある事を知り、早速付属のサンプルなどで試してみました所、かなり使えるコンパイラであると分かりました。

最初のうちは、学生時代に覚えたBASICで多少の心得はあったものの、C言語は初めてでしたので勝手が掴めず、試行錯誤の連続でした。小さなプログラムを書いては動作させるの繰り返しを何度も行いました。そして何度も手を動かしていくうちに、ある程度実用的に動作させられるようになりました。これを色々弄っていたら、いつの間にかそれなりのプログラムが書けるようになりました。私としては、C言語で初めて動かしたマイコンになります。

アセンブラは慣れたら面白いのですが、チップの癖を知らないとならないので、最初のしきいが高く、取り掛かりで挫折する人が多いと感じております。アセンブラは、タイミングのシビアな部分や高速化、省容量を実現する場合に必要になりますが、条件文や演算においてはC言語を使ったほうが人間が理解しやすく、デバッグの時間を短縮させるので、結果としてはソフトの開発期間が短縮され、開発コストを大幅に圧縮することが出来ます。また将来別のマイコンを使う機会があっても、C言語さえ覚えてしまえばすぐに応用ができるので、H8マイコンやAVRマイコンなどデバイスに幅広い選択肢が生まれ、柔軟な設計が可能となるでしょう。



このホームページの意義



この様な素晴らしい無料のソフトなのですが、2004年当時のインターネットでは日本語で解説しているのはまだ少なかった事もあり、できるだけ普及してもらうように、このホームページで取り上げるようになりました。アセンブラで紹介するサイトが多い中、敢えて情報の少ないHI-TECH PIC C を使ったPICのプログラム技法を紹介して行こうと考えて始めた次第です。

これを大学・高専・工業高校・職業訓練学校などの各種学校や、地域の能力開発センターなどで教材として扱えば、企業などに就職して本格的な開発に携わるときに、そのまま応用ができるので即戦力を養う最適な教材となるでしょう。

マイコンをホビーで始める場合でも、今まで難しいとされていた制御が、少額の投資とC言語によって簡単に自分の思う通りになるのは、とても楽しい事です。小学生からご年配まで、幅広い年齢層においての余暇として、大変有意義な趣味の一つになるでしょう。

私が最初に動かした時のソースファイルは、今見ると拙い物でした。それでも、そのプログラムでハードウェアが動いた時の感動は今でも忘れられません。最初は、間違いを恐れず、まず動かす事から始める事が重要とであると感じました。
このホームーページが、貴方のために少しでもお役に立てられたら光栄です。


エアーバリアブル



追記



C言語ではじめるPICマイコン―フリーのCコンパイラではじめよう 著作:中尾 真治 氏 という唯一のHitech PICCの本が出てまいりました。非常にわかりやすく解説しています。これを手元に置きながら私のサイトを眺めると、より一層理解を深められると思います。

HI-TECH社より、2008年7月25日付けでPICC Lite9.60PL2から、HI-TECH C PRO for the PIC10/12/16 MCU Family (Lite mode) に移行しました。Liteモードであれば、従来PICCLite同様無料で使用することができます。
サポートデバイスはミッドレンジ系の殆どをサポートし、メモリー制限も無しなので、18ピン最強といわれる16F88を使用したり、12F683のPWM機能など今まであきらめていた部分も使うことができ、大変期待できるCコンパイラとなっております。
Liteモードは無料であるので、ビルドされたバイナリーコードサイズが従来PICCLiteの2倍以上大きくなりますが、その差を引いても無料では最強コンパイラです。






2008/12/22 修正
2008/12/3 修正、追記
2008/3/23 修正
2007/4/1 修正
2003/12/19 初稿

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