観音というところで災害があったようです。
ここの復旧工事の依頼が随契で来ました。
着工前の写真からは今ひとつわかりませんが、土手が陥没しています。
今回の工事では、この陥没した場所を復旧しつつ、下にあるU字形側溝を新しくします。
まずは着工前の写真をどうぞ




施工延長は12mです。ええ、12mなんです。
さて、まずは丁張をかけていきます。


丁張りとは赤と白の丁張板で仕上がりの形を表すとともに、この丁張にそって施工を行うので重要な基準になります。また、この丁張は発注者の検査対象になります。
この検査を無事通ると工事を進められます。
U字型側溝の据え換えを行うため床堀を行いますが、既設のU字型が設置されていますので取り壊しながら撤去します。
U字型側溝は細い針金で形を作ってます。細いので衝撃や圧力に対しひ弱です。つり上げただけで写真のように真っ二つに折れているのがおわかりかとおもいます。
既設の構造物を撤去し、さらに数十センチ掘り下げます。すると瓦にするには最適な粘土が露出しました。無性に瓦を作りたくなる気持ちを押さえて床堀完了の写真を一枚。

床堀が完了すると、ここに砕石を入れて基礎を作ります。これにより二次製品の基礎ブロックを据え付ける基礎になるのです。
しかしながら、路床が粘土ということもあり、しっかりしていないと基礎の意味が無く沈下することもありますので、注意しながら基礎を仕上げます。

基礎を作ると、いよいよ基礎ブロックを据え付けることになります。二次製品は決まった規格で作られているので、レゴなどのような感覚がわき上がりますが、こちらは業務用でしかも重量物。慎重を要します

簡単に据え付けているように見えますが、常に危険な作業となります。まずは、つり上げたブロックの下には居ないことでしょう。不測の事態には常に備えておかないと危険です。
基礎ブロックは今回、ほぼ直線に据え付けることになっています。
据え付けが完了すると、まず一番下のブロックを積みます。

このブロック、一つ十数キロありますので持ち運びはかなり辛い作業です。
一番下のブロック、つまり根石を積むと、ここで胴込コンクリートを打ちます。

ブロックの後ろに白い板がありますが、これはコンクリートの部分とその後ろの砕石部分とに分割するためです。
つまり積み上げるブロックはすべてコンクリートを流し込み大きな一つの構造物とし、その後ろの砕石で支える構造となります。
一段づつ施工しなければなりませんので、一段積んだら、型枠をいれ、砕石を裏に詰め、コンクリートを流し込むという工程を踏む必要があります。ゆえにかなり労力がかかります。
天端まで積み上がり、コンクリートを打って仕上げた状態です。
仕上げた後は養生といってコンクリートを休ませます
この養生期間の間にコンクリートは少しずつ強度を上げていくのです。

これで建築ブロック積みはひとまず完了となります。
次は法面の成型を行います。この成型はバックホウ乗りの技量が試される場面です。なにげなく高度なテクニックを披露しているオペレータには脱帽です。

法面成型と平行して新しいU字型側溝を据え付けます。
作業員の内輪では「ガンチョ」と呼ばれる金具でU字型側溝をつり上げ据え付けを行います。

この「ガンチョ」とは地元では蟹を意味する方言です。この愛称をもつ金具はつり上げると、挟む部分がじょじょに締まる構造になっており、挟む重量が重ければ重いほど強力に締め上げることになります。よって、強度がないとあっさり破壊してしまう結果ともなります。
側溝を設置すると、側溝と側溝を接続するため、モルタルで目詰めをします。このようにすると、モルタルが固まることにより、互いのU字型側溝が接続されるのです。
そして、床堀の広さに対しU字型側溝は小さいので、隙間を埋め戻しします。

このころになると、もうバックホウのオペレータさんは法面の成形を既に終えています。見事な盛り土の造形をご覧下さい。

バックホウで成形したとは思えないほど器用で綺麗な法面です。
法面が出来たら、雨などで流出しないように人工張芝を貼り付けます。

使用している人工張芝はシート状になっており、適当に切り取って法面に針金で固定します。このシートは内部に芝生の種を含んでおり、水分を吸収すると芽がでてやがて法面を支えるように根を張ることになるのです。
それでは、完成後の写真をご覧下さい




自然物の中に突如とした建築ブロック。このブロックに綺麗な芝生で彩りを添えるのはもうしばらく先でしょう。